円相場 1ドル120円台に 6年1か月ぶり 米の利上げ加速の観測で
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需給に駆動された円安だとすると、ウクライナ危機を受けた貿易赤字拡大はこれからが本番ゆえ、まだ先があります。なお、貿易赤字という事実自体は足許で確かに拡がってはいますが、為替予約に伴うリーズ&ラグズを踏まえれば、実務的に円売りがかさむのはこれからでしょう。
その上で記事中で言及されている米金利上昇を加味すれば、需給・金利という2大要因において円売り一択という話になります。この状況を多少なりとも緩和できる手段が原発再稼働と見受けられますが、「節電要請」で乗り切ろうとしているのが現状です。
次の節目は125.86円。アベノミクス高値。15年6月10日の数字です。大胆な金融緩和を主張する安倍元総理の誕生から黒田バズーカ第一弾に向けての円安(80円前後→100円前後)と黒田バズーカ第二弾による円安(100円前後→125円前後)は、思惑に導かれたかなり投機的なものでした。リーマンショックで世界の資金がリスクオフになって欧米と新興国から逃げ出して金融機関が比較的健全で取引量も多い“安全資産”の円に集中し、110円台だったドル円相場が70円台になって行きました。その後、ECBの大胆な政策で欧州の金融危機が小康状態になって資金がリスクオンになり、2012年の秋頃からさしもの円高圧力も緩んで行きました。そのタイミングで大胆な金融緩和を唱える安倍政権が誕生して黒田日銀総裁が誕生したゆえに、円安が一気に進んで125円を超える円安になったのです。行き過ぎた円安が修正されたのち、ドル円相場がリーマンショック前後の110円台に長く留まって来た形です。
それに対して今回の円安は、コロナ禍で露呈した日本の成長力の無さ、量的緩和による低金利、資源高で赤字に転じた経常収支といった日本の弱さに基づくように感じられるだけに心配です。120円台に入りつつある円はかつてなら行き過ぎた円安と見做されて不思議でない水準なのに、反発しそうな様子がないですからね・・・
円安が日本経済にプラスに働くとの主張を日銀は続けていますけど、果たして本当にそうなのか。異次元緩和以来の円安で日本の賃金は世界の中で実質的に3割以上低下しています。通貨の強さは中長期的な国の強さです。円安に向かう日本経済の底流にある弱さに目を向け、本気で改善に取り組む必要があるように感じます。政府の借金によるばら撒きと分配の見直しだけで解決できるものではなさそうです。(・・;