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【解説】ゼレンスキー演説は、アメリカを動かしたか

NewsPicks編集部
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注目のコメント

  • 塩崎 悠輝
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    静岡県立大学国際関係学部 准教授

    米国人の多くは、市民が銃をとって侵略者と戦うのも、リーダーがその先頭に立つのも大好きです。独立戦争以来の米国の建国神話の中核となるイメージです。
     米国の世論が、ウクライナ政府に好感を持つ条件は、すでに十分過ぎるくらいに満たされています。
     あとは、損得の問題で、損得勘定の微妙なところで、どれだけ米国の中枢にいる人間たちを動かせるか、です。この場合、緊急の話なので、動かす必要があるのは、バイデン大統領以下ホワイトハウスの幹部と、米国議会の議員たちです。
     ウクライナ政府は、一般市民も動員して、低コストな戦いを続けていますが、それでも通常の国家予算では、1か月以上の戦争を続けることは不可能です。1発打つだけで、スティンガーが400万円、ジャベリンは2000万円くらいはします。
     ウクライナの国家予算は、年間4兆円です。今、ウクライナ軍は、対戦車ミサイルだけで2万発近く持っていますが、これは、2014年にロシア軍がクリミア半島を占領して以来、欧米諸国からの支援を蓄積して準備されたものです。
     S-300は、1970年代から使われている対空ミサイルで、性能からいえば、後継のS-400やS-500の方が上です。しかし、S-300なら、東ヨーロッパ諸国が、中古品として払い下げてもいいくらいなので、米国政府としても手配が比較的容易です。
     今、ウクライナが持っているS-300は、10台も無いのではないでしょうか。開戦後、ロシア軍にいくつかは破壊されています。1つでも多く、米国政府に斡旋してもらいたいでしょう。
     ゼレンスキー大統領は、これまで米国、カナダ、ドイツの国会で演説を行い、今後もイスラエルや日本の国会で演説します。各国の政府に働きかけて、少しでも多くの支援をもぎ取っていく、というのは、大統領にしかできない、大統領の仕事です。

    ウクライナ大統領 米連邦議会で演説「自由に生きる権利攻撃」
    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220316/k10013535671000.html


  • キアラシ ダナ
    NewsPicks 記者

    この戦争で最大の「誤算」はウクライナのゼレンスキー大統領の存在だったでしょう。
    3年前まで政治経験すらなく、ロシア侵攻前は30%程度の支持率しかなかったゼレンスキー大統領。ロシア軍からしたら、せいぜい亡命するかすぐに降伏すると思っていたことでしょう。西側の情報機関もまさかゼレンスキーがここまで「化ける」とは思っていなかったはずです。

    SNSや演説を通じて国民を鼓舞し続けるゼレンスキーは今や「キャプテン・ウクライナ」「ウィンストン・ゼレンスキー」(チャーチルに引っ掛けて)などと呼ばれているほどです。ウクライナ軍の抵抗やロシア軍の大苦戦にこの大統領の存在が大きなファクターを締めているのは間違いありません。

    そんなゼレンスキー大統領が、米国議会で演説を行いました。一部ではすでに宋美齢(蒋介石の妻)やチャーチルとまで比較されるほど絶賛されていて、泣き出す議員も居たそうです。
    その演説の内容をふんだんに盛り込んだ上で、この演説内容にはどんな意味があるのか、前後関係も含めて専門家の見解とともに解説していきます。今後を占う上でも、ぜひご覧ください。


  • 洪 由姫
    NewsPicks 編集部(シリコンバレー支局長)

    アメリカでスピーチをする1週間前には、イギリス議会でオンライン演説を行いました。そこではイギリスの劇作家・詩人のウィリアム・シェイクスピアの言葉を引用しました。

    「生きるべきか、死ぬべきか?」。
    (中略)
    返事は明らかに「生きるべき」です。 明らかに、自由であるべきです。

    各国の一人一人が深く感じ入る、題材、そして言葉に今のウクライナの状況を重ね合わせて各国の協力を仰いでいる様子がよく伝わってきました。オンラインのスピーチ後は多くの議員が「Moving」という言葉を使って、気持ちが揺さぶられたと表現しました。ただ、このMovingがActionにつながるかというと、そこに政治の難しさがあるなと感じます。


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