貿易収支2月は7カ月連続の赤字、原油高や円安で当面赤字へ
Reuters
2022/03/16
(エコノミストのコメントや為替についての説明を追加し再構成しました)
[東京 16日 ロイター] - 財務省が16日発表した2月貿易統計速報によると、貿易収支は6683億円の赤字だった。輸出額、輸入額ともに2月としては過去最大だったが、原油価格上昇や円安などの影響で輸入の伸びが輸出を上回り、貿易赤字は7カ月連続となった。ウクライナ情勢を背景とした資源価格の高止まりや円安の影響による輸入増で赤字が続く見込みで、専門家は今後、サプライチェーンが混乱した場合、日本の貿易にも影響が出る可能性を指摘する。
輸出は7兆1901億円で前年比19.1%増加。2月としては比較可能な1979年1月以降で最大だった。前年同月比で12カ月連続のプラス。
韓国向けの鉄鋼やオーストラリア向けの鉱物性燃料、米国向けの自動車などの輸出が伸びた。
一方、輸入は前年比34.0%増の7兆8583億円となった。アラブ首長国連邦(UAE)からの原粗油やオーストラリアからの液化天然ガス、ベルギーからの医薬品などの輸入が増えた。輸入も13カ月連続で前年を上回っている。
貿易収支が7カ月連続で赤字となるのは、2012年7月から2015年2月まで32カ月連続以来となる。
三菱UFJリサーチ&コンサルティングの丸山健太研究員は貿易収支について、「原油をはじめとする資源価格の高騰と円安で当面、赤字が定着するだろう」と見込む。「ウクライナ情勢が長期化したり激化した場合などは、サプライチェーンの混乱による影響で日本の輸出の下振れ要因となり得る」との見方を示した。
財務省の資料によると、今年2月の為替レートの平均値は対ドルで114.84円だった。前年同月比で9.9%の円安。今週ドルは一時118.45円まで上昇し、2017年以来の高値を付けた。
また、財務省によると、原粗油の2月輸入状況は金額ベースで前年同月比93.2%増の8086億円だった。円建ての輸入通関単価は1キロリットルあたり6万2611円となり、対前年同月伸び率はプラス70.7%となった。
*財務省の発表資料は以下のURLをクリックしてご覧ください。
http://www.customs.go.jp/toukei/latest/index.htm
(金子かおり 編集:田中志保)
(c) Thomson Reuters 2023 All rights reserved.