2022/3/7
【入門】目指すべきは、ミックスジュース型の組織だ
性別や国籍、価値観の異なる人たちが一つの組織で働くようになってきた今、多様性を理解し、それぞれの能力を活かしていくことが求められている。これからの社会ではまさに、ダイバーシティ(多様性)をインクルージョン(受容)することが必須だ。
ダイバーシティ&インクルージョンの実践によって、組織は何を得ることができるのだろうか。
「女性と経済」について語り合う国際会議「グローバルサミットオブウィメン」のコアメンバーとして活躍し、『ダイバーシティ&インクルージョン経営』などの著書を持つ荒金 雅子氏。荒金氏は「多様性そのものが組織の力になっていく」のが理想のあり方だと話す。
この記事では、NewsPicks Learningの『ダイバーシティ&インクルージョン 入門』 Episode1の内容を紹介する。ダイバーシティ&インクルージョンの基本的な考え方を学んでいこう。
性別、価値観、あらゆる背景を受容しよう
ダイバーシティ&インクルージョンというと、女性が活躍する組織作りをイメージする人が多いのではないだろうか。しかし、組織には性別だけではなく、国籍や価値観、能力などさまざまな背景を持った人が所属している。
こうした背景は大きく3つの種類に分けられる。
・デモグラフィ型:性別、年齢、国籍、人種など
・サイコグラフィ型:価値観、ライフスタイル、性格など
・タスク型:能力、資質、スキルなど
・サイコグラフィ型:価値観、ライフスタイル、性格など
・タスク型:能力、資質、スキルなど
性別や年齢、国籍など、人が生まれ持った特性・属性のダイバーシティ(多様性)をデモグラフィ型という。サイコグラフィ型は価値観、ライフスタイルなど人の内面にある心理的属性のダイバーシティだ。タスク型は能力、スキルなど業務に関するダイバーシティを指す。
中でもデモグラフィ型ダイバーシティとサイコグラフィ型ダイバーシティの2つは、組織の土台を作り、健全性を保つために必要な観点だという。
こうした多様性を受け入れ、ビジネスに生かすことがダイバーシティ&インクルージョンの本質だ。
荒金 雅子(あらかね まさこ)都市計画コンサルタント会社、NPO法人理事、会社経営等を経て、株式会社クオリアを設立、代表取締役に就任。長年女性の能力開発、キャリア開発、組織活性化などのコンサルティングを実践。国際ファシリテーターズ協会認定プロフェッショナルファシリテーター(CPF)、Standing in the fire認定(2015年)ダイバーシティスペシャリスト。内閣府「性別による無意識の思い込みに関する調査研究」調査検討委員会委員。
多様な人が存在するだけでなく活躍する組織に
荒金氏は「従来の組織はフルーツバスケットのような状態」だと話す。メロンやリンゴ、バナナなどが単に一つのカゴに入っているだけの状態だ。性別や性格、仕事のスキルが異なる人たちが一つの組織で働いているが、多様な人同士のシナジーまでは生み出せていない。
これから必要なのは多様な人が「いる」だけでなく、インクルージョンされていることだと荒金氏は考えている。多様な人が「インクルージョンされている」組織とは、フルーツが混ざり合い、独自の味を出す「ミックスジュース」のような組織だ。それぞれの持ち味を活かしながら、一つの新しい価値を生み出す状態が理想だという。
ミックスジュースのような組織を作るためには、組織の外と内、両面からのアプローチが必要だ。それによって多様化する社会に貢献し、内なる多様性をイノベーションに生かすことができる。
外と繋がるダイバーシティの代表例として、SDGsやESG投資があげられる。採用の際に顔写真や性別の記載を求めないことでジェンダーの多様性を考慮したり、差別に当たるような広告表現を避けたりすることがそれに当たる。
自社のダイバーシティ&インクルージョンを外に発信することで、多くの人から共感を得て自社の価値を高めることができる。
現在、様々な企業が組織の外へ発信するダイバーシティ&インクルージョンを実施している。
【企業の取り組み事例】
・ユニリーバ・ジャパン:履歴書の顔写真と性別表記を廃止
・花王:化粧品の「美白」表記を廃止
・シスコ・ジャパン:サプライチェーンの10%を多様性の高いパートナーより実施
・ユニリーバ・ジャパン:履歴書の顔写真と性別表記を廃止
・花王:化粧品の「美白」表記を廃止
・シスコ・ジャパン:サプライチェーンの10%を多様性の高いパートナーより実施
一方、内側からのダイバーシティ&インクルージョンとは、多様性を持った働き手を組織の一員として受け入れ、活躍できる環境を整えていくことである。様々な考えを持つ人が自由に働けるため、新たなイノベーションを生み出せる組織になるという。
組織の外と内からダイバーシティ&インクルージョンに取り組むことで、多様化する時代に対応し、従業員の個性を活かした新たな事業を作り出すことができる。さらに、多様化への配慮が足りないことによるリスク回避にもつながる。
他のEpisodeでは、ダイバーシティ&インクルージョンに取り組むメリットや、ミックスジュースのような組織を作るために欠かせない個人のスキルなどについて解説している。
組織や社会の多様性は増すばかりだ。多様な人が尊重され、生き生きと活躍できる組織を作るためには、知識と実践、その両方が重要だ。まずはこうした情報にアンテナを立てることからはじめてみよう。
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