【3分解説】シェルの「サハリン2撤退」で、今後どうなる
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日本は、ロシアからのLNG輸出先としてはトップの国(22%)です。この場合のLNGというのは、液化させて凍結した天然ガスをタンカーで運ぶもののことをいいます。
ロシアの天然ガス輸出は、LNGにしたものよりも、パイプラインでガスのまま輸出する量の方がはるかに多いです。
パイプラインによる天然ガス輸出+LNGで見ると、日本は輸出先としては11位です。
1位はドイツ、
2位はイタリア、
3位はフランス、
です。
北欧油田を持つ一部北欧諸国を除けば、ほとんどのヨーロッパ諸国は、天然ガスの最大の依存先はロシアです。
ヨーロッパ諸国は、輸入元を米国に変えたり、米国だけでは賄いきれないので、カタールやオーストラリアに打診したりしています。それでも確実に足りないので、アフリカ諸国から調達できないか、など、模索していますが、どう手当てしても、2022年は、2021年よりも使える電力が2割は減ります。
ヨーロッパへの新しい輸出ルートとなるはずであったノルドストリーム2の管理運営会社は、全従業員を解雇しており、破産する可能性が高いです。
日本の場合、輸入しているガスの8%がロシア産ですから、ヨーロッパ諸国に比べれば、はるかに影響は少ないです。ただし、広島ガスの場合、供給源の半分がロシアなので、ガス会社や地域によってはかなりの新規調達が必要になります。
https://mobile.twitter.com/gomatsuo/status/1497921305446092802自分がLNGを一番追いかけていたのは震災後のことでした。
世界最大のLNG輸入国だった日本の依存度が高まるなかで、当時の調達上のリスクは中東をつなぐ「ホルムズ海峡」だと叫ばれてました。一方で経産省内部やエネルギー業界から、北極海に、サハリン近くのもう一個の基地など、ロシア絡みの案件を次々に耳にしたものです。
なかでも、そもそもLNG船で運ぶのではなく、「パイプライン」でつないだほうが価格や調達の多様化にとって良いということで、新潟とウラジオストクをつなぐ構想は、そのインパクトもあって強烈でした(色々政治的事情はあったのでしょうが…)。
当時からリスクは言われていましたが、界隈はなかなかのロシア熱だったのを思い出します。
そして、そこから約10年経つだけで「エネルギー安保にとって正しいこと」が真逆になっていることに、隔世の感を感じるとともに、エネルギーという産業の複雑さを改めて痛感する次第です。ロシア侵攻を機に化石燃料依存度が減るかもしれません。新たなクリーンエネルギーに移行するチャンス。今は我慢の時です。捨ててこそ浮かぶ瀬もある。日本にも、断固とした厳しい対応が求められます。