米欧、プーチン大統領や外相に制裁 ウクライナ侵攻で (写真=AP)
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ロシアは、経済制裁をかけられたからといってウクライナ侵攻を止めることはありません。経済制裁の効果自体も非常に限定されるでしょう。ロシアとの金の流れを止めるには、日本、米国、欧州でロシア企業と関連のある個人や企業を罰することのできる枠組みが必要になります。資産は名義を帰れば凍結を免れるかもしれません。
軍事力を用いた暴挙を止めるには軍事力を示すしかありません。しかし、米国やNATOは、そもそもウクライナを助けるために自国兵士の血を流しても良いとは考えていないと見受けられます。ウクライナがロシアに占領されるのを、欧米は(もちろん日本も)実質的に見逃すということです。
NATOのストルテンベルグ事務総長は、改めてウクライナに派兵しないと表明しました。ドイツのショルツ首相は、ロシアを強く非難しましたが、「同盟国全てを防衛するというNATOの決意を見くびってはなりません。これはバルト諸国、ポーランド、ルーマニア、ブルガリア、スロバキアに特に当てはまる」と述べています。NATOは、同盟国は軍事力で守りますが、ウクライナはこれに含まれていないのです。
ドイツ首相がこのような発言をしたのは、プーチン氏の狙いがウクライナだけではないと知っているからです。プーチン氏は、ロシアの緩衝地帯としてバルト三国からもNATOの兵力を退かせ、ポーランド、ルーマニア、ブルガリア、スロバキアもロシアの影響下に戻したいのです。NATOの東方拡大の前の状態に戻したいということです。
欧米の出方次第で、プーチン氏はウクライナに次いでバルト三国(エストニア、ラトビア、リトアニア)等に軍事攻撃を仕掛ける可能性があります。それが分かっているからこそ、欧米諸国は、東欧諸国に増援部隊を送り、もし、ロシアが東欧諸国に軍事力を行使すれば、軍事的に対抗する姿勢を示しているのです。
いずれにしても、ウクライナが見捨てられるのは悔しい限りです。ウクライナ国民のことを考えれば、やりきれません。あってはならないことだと思いますが、各国は自国の国益にかなうようにしか行動しないのです。また、何もしない日本から、米国等に要求することはできません。各国が軍事的にウクライナを守ろうとするためには、各国世論が「深刻な人権侵害」に対して声を上げ、各国の政府を動かすしかありませんが、多くの国の世論は他人事だと感じているようです。