【解説】五輪ドーピング疑惑にひそむ本当の課題
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4年前、平昌五輪で金メダルに輝いたアリーナ・ザキトワ選手の活躍が記憶に新しいだけに、ロシアのフィギュア選手はなぜこんなにも入れ替わりが激しいのだろうと、気になっていました。
今回、ロシア・オリンピック委員会(ROC)として出場したワリエワ選手を始め、シェルバコワ選手、トゥルソワ選手、いずれも素晴らしい演技を見せてくれました。高速で回転する4回転ジャンプは、見る者を圧倒する迫力があります。
もちろん、彼女たちの血の滲むような努力の賜物なのですが、残念ながら北京五輪はその裏に暗い影を感じる大会となってしまいました。
ドーピングには選手たちが積み上げてきた努力を、一瞬で消し去ってしまう威力があります。当該の選手だけではありません。その試合にかかわった全ての関係者がアンフェアな環境に置かれることになるのです。
それがもし、当該の選手すら知らないところで進行していることだとしたら?ドーピングに止まらない選手の尊厳に関わる問題を孕んでいるとしたら?
今後の徹底的な調査が望まれます。北京五輪で突如浮上したフィギュア界の新星、ワリエワ選手のドーピング疑惑。特に10代アスリートのドーピングの深刻な影響、そして今回の疑惑の背景にある「見過ごされてきた課題」について、中居記者が取材しました。
ワリエワ選手のシングルフリーでの別人のような演技、その後の泣き崩れる姿に胸が痛んだ1人ですが、調査でどんな結果が出たとしても、適切なサポートを受け、またいつか素晴らしい演技を見せてほしいと願っています。ドクター内田が体重が軽いとジャンプに有利だということについて言及されていますが、体(ヒップ)の幅が狭いとジャンプ・回転に有利だというのも事実です。そのために、女性らしい体つきに発達・成長しないよう、ロシアの選手は性同一性障害のホルモン療法に使われるGnRHアナログ製剤(エストロゲンの分泌を抑えるので、子宮筋腫を小さくする治療法にも使われます)を飲まされることでスケート界では有名です。アビューズが疑われる、と言うより、間違いなく未成年者のアビューズが存在する、と言っていいかと。薬物半減期を計算してドーピング検査にのぞむと言われますから。メダルをとれば600万円+のボーナスが国から出ますし、家族からしても子どもを稼げるうちに出稼ぎに出しているようなものです。
「大人と同じことで競うんだから、大人と同じ扱いにすべきだ、知識・判断力があるべきだ」と簡単にコメントする方もいますが、14〜15歳の子どもを育てた経験があるのでしょうか?もし自分の子供がティーンエイジャーだったら、自分の子供に大人のような判断ができると考えるでしょうか。(少なくとも私は14〜15歳の時、まだまだ何もわかっていませんでした。皆さんはどうですか?)
このようなアビューズや不公平を減らすために出場年齢制限を引き上げる、というやり方には一理あると思います。