[北京 20日 ロイター] - 北京冬季五輪は20日に閉幕。注目競技の一つだったフィギュアスケートは大会前に期待されていた形とは異なるストーリーとなったが、五輪史上最も記憶に残る大会の一つとなった。

フィギュアで話題の中心となったのは15歳のロシア人、カミラ・ワリエワ。大会前は圧倒的な実力から金メダル候補として注目され、実際に団体戦ではシングルの代表としてロシア・オリンピック委員会(ROC)の優勝に貢献し、前評判通りの輝きを放った。

しかし、その直後にワリエワの運命は暗転した。昨年12月に受けたドーピング検査で禁止薬物「トリメタジジン」の陽性反応を示したことが五輪開幕後の8日に判明。突如起きたドーピング疑惑は世界中に衝撃をもって広がり、ワリエワはその後に控える競技への出場可否を巡って大騒動の中心人物となった。

最終的にスポーツ仲裁裁判所(CAS)が出場を認め、渦中の人となったワリエワは15日のショートプログラム(SP)ではミスがありながらも1位となったが、その後も騒動は拡大。精神的に平静を保つことが難しい状況の中、17日のフリーでは大会前には想像もつかなかったようなミスを連発し、表彰台にも届かなかった。

フリー演技後のワリエワの様子は痛ましいものだったが、コーチのエテリ・トゥトベリゼ氏が取り乱す教え子に対して容赦なく問い詰める一幕があり、一層後味の悪い状況に。国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長がその様子を「冷淡な対応」と批判した。

この一連のスキャンダルは、ロシアがドーピングの歴史を払拭できたのかどうか、また五輪の環境が未成年に適しているのかどうか、再び疑問を投げ掛けることになった。

一方、男子では羽生結弦がソチ大会、平昌大会に続く3連覇を目指して大会前から注目されたものの、開幕後も北京でなかなか姿を見せなかったことで心配の声も上がった。

競技出場直前に中国入りして安心させたものの、SPでは冒頭に予定した4回転サルコーが氷の穴にはまったことで1回転になるミスが起きてしまい、まさかの8位に。

フリーでは前人未踏のクワッドアクセル(4回転半ジャンプ)に挑んだが、転倒で回転不足を取られ、その後の4回転でも転倒して4位に終わった。それでも、クワッドアクセルは国際スケート連盟(ISU)公認大会で初めて認定され、羽生は氷上に立つたびにファンを熱狂させて存在感の高さをあらためて証明した。