「日本食に欠かせない“あの食材”が危機に瀕している」─米紙が見た日本の「ワサビ危機」
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参入障壁が高いワサビ栽培。
後発企業に脅かされることが無いメリットはありますが、イノベーションも起こりにくいのかなと思います。
厳しい状況のようですが、現状維持ではなく、生産拡大というイノベーションを起こして、なんとか巻き返してほしいと思います。
期待しています。
注目のコメント
ワサビは農産物ですが
一般的な農産物と大きく違う点があります、それは「農地ではなく山林、しかも国有地である河川沿いの特殊な環境でしか栽培できない」
という点です。いわゆる畑地であれば法的整備によって賃貸借や使用貸借など新規参入の道筋をつけられますが、上記のようにワサビ田自体が特殊な用地が必要なため、既存の所有者と相対の信頼性に基づいた関係構築と地元の理解がなければ参入できない領域です。
つまり、農業行政というよりは林業行政的な対応が必要。
しかも、新規で始めても収穫まで3年はかかるというハードルもあり、そもそも本わさびは高級食材で一般家庭向きではないのでコロナ禍の外食離れの打撃ももろに受けています。
ちなみに東京でも奥多摩わさびは同じ状況で
2年前の台風で壊滅的な打撃を受けたワサビ田がいくつもあります。
危機に瀕しているのは間違いなく、
参入障壁が異様に高く、参入しても商業的なメリットが少なく、リスクも高い。
じゃあどうする?というのは結局ワサビ田を抱えるそれぞれの地域が、外部の力をどれぐらい受入れてどのようにしていきたいのか決めるしかないんですよね。
ワサビという野菜は本当に日本にしかない数少ない農産物で(一般的に出回っているのもは西洋わさびと言って植物的には全く違うもの)
寿司という世界的ブランド力のある日本食に欠かせない調味料という客観的状況を見ると、本当はキャビア並みの「超高級食材」として世界で勝負すべきものだとは思います。気候変動によって繊細な農作物等はどう変わっていき、対応策として日本や世界ではどのようなことが研究されているのか。A-PLAT(気候変動適応情報プラットフォーム)で参考情報を見ることができます。
本記事でも紹介のあった耐暑性をもつわさびの研究だけでなく、高温保管可能なみかん、高温でも生産可能なりんご、気候変動を逆手に取りライチを生産しようとする宮崎県のプロジェクトなどが掲載されており興味深いです。
https://adaptation-platform.nies.go.jp/db/measures/index.html#everything
いずれにせよ、気候変動自体を遅らせ和らげるためのアプローチ、気候変動を残念ながらある程度あるものとしたうえでなお、生産に影響を与えない、品質を損なわないための、研究・実験的アプローチといった両面での対応が必要です。日本の食文化にワサビは欠かせません。
ワサビの栽培を比較的冷涼な北海道などで行うという発想もありではないでしょうか?寒すぎてワイン用の葡萄が栽培出来ないとされていた北海道で、この10年ほどの間に、苗木を育てて葡萄を収穫するまでに育て、それを用いたワインを作る取り組みが進んでいますが、近年ではかなりレベルの高いものが出来るようになってきました。ワサビでも同じことが可能なのでは?
(*)気候変動と葡萄の生産地の北上について、ご参考に。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/cib/17/0/17_J-17-034/_pdf
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO23925170X21C17A1CZ8000/
長期の投資型クラウドファンディングで事業を立ち上げた滝沢ワイナリー
https://takizawawinery.jp/