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「社会的相当性を逸脱した背信的引き抜き行為」という強い言葉の判決文ですが、どこまでを「相当」としていて何が逸脱したのか
人数の問題なのか、例えば進行中の超重要案件が頓挫すると分かっていてそのメンバーをという話なのか、引き抜き方の問題なのか
ただ、自由意志の転職です、と言ってしまえばそもそも「引き抜き」という事実の認定も結構難しい気がします
競業避止期間が設定されていてそれに違反したというのはあるかもですが、判決文から見るとそれではない気がします
特に訴えているDTCが数年前にやりまくって人員数を爆発的に増加させたんじゃないかとさえ思うのですが。。
そんな前提のもと「社会的相当性を逸脱した背信的引き抜き行為」と強く非難されている引き抜きの内容について、NHKの記事ではより詳細に「給与や配属先をあらかじめ確約するなどして移籍を強く呼びかけていた。単なる勧誘にとどまらず、競業他社の人材を流出させ、事業に悪影響を及ぼすための背信的な引き抜き行為だ」という記載がありました。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220216/k10013488001000.html
正直、“給与や配属をあらかじめ確約する”ってジョブ型雇用の時代では当たり前だと思うんです。むしろ給与水準も分からないし配属先も分からない引き抜きってなんなんですかね?
また、ちょっと視点を変えたこちらの記事によると、パートナー間での泥仕合になっているようにも思います。
https://sakisiru.jp/7849
様々な事実を斟酌して判決が下されますが、あまりにもえげつない引き抜き工作は「社会的相当性を逸脱した背信的な引き抜き行為」と判断されます。
「職業選択の自由」は保障されていますが、引き抜きや一緒になって退職というのをやる時には…くれぐれも慎重になさってくださいね。
怨念を晴らすようなあからさまなやり方は、その時は溜飲が下がるかもしれませんけど、このような反撃を喰らいます。
どれほど逸脱したものだったのか、非常に興味深いです。
どの業界でも人材の流動化は一層進んでいくわけで、職業選択の自由を制限するような判決する訳はなく、一体どんな事態???
コンサルタントとは、クライアントファーストに徹し、スタッフを愛しみ育て、それらを通じて社会問題の解決するのが仕事。
報酬や職位や名声は手段であり、目的ではない。目的を見失うと、ダークサイドに落ちる。その顛末がこれ。どっちもどっちで不毛。
しかし、実際に提訴されることがあるとは驚きました。
珍しくないのになぜ表に出ないかというと、
①そもそも引き抜き禁止の手続きが整っていない
②(手続きが整っていても)実際に引き抜きなのか自由意志なのかが難しい
③(引き抜きであっても)どれくらい損害が直接的にもたらされたのかの証明が難しい
と言うあたりだと思います。
その上でそもそも論として、結局プロフェッショナルファームだとお互い様だよねとか、とはいえ次の挑戦を応援したいよねとか、スラップ訴訟はブランド毀損するよね、とか経営リソースとしてコスパ悪いよね(シンプルに面倒臭い)、とかいろんなまっとうですが情緒的な要素が加わります。
この中でも特に損害賠償の立証が難しい。例えば全然違う話で直感的な例ですが、自分自身震災後の福島で東京電力に損害賠償を請求する交渉の仕事をしていたことがありました。
この時震災そのものによる被害と原発による被害を分解して東電には原発分だけを請求するのですが、ここがめちゃくちゃ難易度高い(最終的には東電がとても歩み寄ってくれました)。
こういう話って世の中に山ほどあって、結局損害が出てその原因が明確でも、必要十分な因果関係の証明は難しいし、その時間対効果もしくは費用対効果みてもでやる意味ないというのも相当あると思っています。
そう言う中で、ここまで踏み込んだ企業判断と、ここまで踏み込んだ判決が出たと言うのは、とても興味深いです。