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注目のコメント
「メタバース 」という言葉を生み出した米国のSF作家、ニール・スティーヴンスンのロング・インタビュー。実現しつつある現在のメタバースをどう見ているのか、だけでも十分に面白いですが、気候変動問題やSFのあり方、人類の宇宙進出についても存分に語っています。
火星への進出や地球の「真価」についての見解が印象的でした。時代の風潮に安易に乗らず、普段から自分で科学的な思考を重ねている人ならではの言葉だなあと思います。
最新作の「ターミネーション・ショック」を読みたくなってしまったので、早く邦訳版が出てほしい。シリコンバレーの起業家に影響を与えたSF作家として必ず名前が挙がるニール・スティーヴンスン。メタバースが盛り上がる昨今、その概念を30年前に生み出したオリジネーターとしても改めて脚光を浴びています。
「シリコンバレーの起業家に影響を与えた」というサワリだけがよく紹介されるので、スティーヴンスンがどんな作家なのか、気になっている人も多いはず。この記事では、米ニューヨーク・タイムズのPodcast番組「Sway」より、昨年12月に公開されたスティーヴンスンのロングインタビューを独占翻訳してお届けします。
「生みの親」として、現在のメタバースをどう見ているのか。最新作『ターミネーション・ショック』に込められた、気候変動へのスタンス。いまの時代に「SF」が果たすべき役割。そして、ベゾスのブルーオリジン社で働いていたこともある彼が最も可能性を感じる「宇宙事業」とは……。まさに、いまが旬のトピックを縦横無尽に語り尽くす、SF界きっての賢人のトークをお楽しみください。技術は常に思想の産物です。開発者が意図していようといまいと、です。
その技術を最も最適な方法で使う人間がすぐに現れますが、開発者とは別の思想を持っているので開発者が予想もしていなかった方法で使います。大砲で共和制を守りやがて帝政を打ち立てたナポレオンがそうです。そのナポレオンの敗北の情報を、電信技術を使って巨万の富に変えたロスチャイルドもそうです。
技術は使用者の思想によって、開発者が考えてもいなかったような社会の変化を起こします。インターネット関連の技術も、その多くは、当初考えられてもいなかったような使われ方をしています。
AIもソーシャル・メディアも、現在は個人情報を収集してビッグデータを活用することで中小国家のGDPを超えるような富を集める手段になっています。それを官民一体で活用する中国が、最適な使用方法を編み出している、といえます。人体データまでスキャンするであろうメタバースならば、なおさらです。
SF作家の描く世界もまた思想の産物です。科学知識と思想を合わせて、思い描いた世界を好きなように組み立てられるのがSFです。
メタバースというのは、VRについて長年議論されてきたものとだいたい同じ内容ですが、『スノウ・クラッシュ』は1992年の作品で、さすがに先駆的です。日本でVR世界に閉じ込められたゲームプレイヤーたちを描いた『ソードアートオンライン』の連載が始まったのは2002年です。
『スノウ・クラッシュ』の世界は、メタバースが生活の中心になって、メタバースを運営する企業が力を持ち、米国政府は実質的に分割されて「フランチャイズ国家」の集合体になっています。米国は先端技術を独占する国家ではなくなっていて、十分にディストピアといえる世界です。むしろメタバース技術の未来に警鐘を鳴らし、米国の没落を恐れる作品、といえます。
「メタバース世界にも労働組合のようなものが必要」というのも、SF作家なりの思想で、この労働組合、というのは、自治組織でも、ギルドでも、あるいは多くのSF作品で出てくるようなレジスタンスなどといった呼び方をしてもいいでしょうが、そういう活動がなければ、メタバース技術はディストピアを生む、という思想の表明でしょう。
現実がどう転ぶかは、わかりません。SF作家が望むのとは、全く違った使い方をする使用者も出てくるでしょう。
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