ビタミンD欠乏、コロナ重症化リスク14倍に 新研究結果
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ビタミンD欠乏が免疫にもたらすマイナスの影響は、昔から関心を持たれてきた領域の一つで、あまり新しい話ではありません。インフルエンザなど、他の感染症でも同様の関連が知られており、コロナでの指摘もこれまで数多く報告されています。
ただ、だからといってビタミンDのサプリメントが予防に有効かと言われれば必ずしもそうではありません。
ビタミンD投与の有効性については、過去のランダム化比較試験でもその有効性を示すことはできていません。
これは、インフルエンザなど、他の感染症でも一貫して見られていることで、ビタミンDの未知の側面の一つであり続けています。ビタミンDと気道感染症の関連に関し、2017年にBMJからメタアナリシスが発表されています。
▷Martineau AR, et al. Bmj 2017; 356:i6583.
ビタミンD3もしくはビタミンD2の補充と急性呼吸器感染症の発症率を検討したランダム化比較試験25件(0~95歳; 計11321人)に関するメタアナリシスを実施したところ、
1)ビタミンD内服は参加者の急性呼吸器感染症リスクを低下させた(調整オッズ比 0.88; 95%信頼区間 0.81~0.96; 異質性 P<0.001)。
2)試験開始時のの25-ヒドロキシビタミンD濃度が25nmol/L未満の群(調整後オッズ比0.30; 0.17~0.53)では、試験開始時の25-ヒドロキシビタミンD濃度が25nmol/L以上の群(調整後オッズ比 0.75; 0.60~0.95; 相互作用におけるP=0.006)よりも、ビタミンDを毎日または毎週内服による急性呼吸器感染症の発症リスクが低かった。
となり、ビタミンDが気道感染症をへらす可能性があるという結果になっています。
とはいえ、ビタミンDに関しては、アレルギー分野でもよくある研究で、介入研究でははっきりした結果になっていません。
ひとつの要素くらいに捉えるのが良いと思います。因果か相関かを判断する必要がある。すなわち、ビタミンDが欠乏しているから問題なのか、ビタミンDが欠乏するような状況だから問題なのか、と言う事だ。
ビタミンDの欠乏は例えば肝臓や腎臓の状態の悪さ、栄養状態の悪さなどの結果として起きるが、これらの状況はコロナ重症化リスクを高める要素になることは想像しやすい。
欠乏を避けるために適量をサプリで摂取するなら良いが、過剰な期待や大量摂取は避けるべきだろう。