2022/2/13

【深刻】「会社辞めたい病」は、なぜ伝染するのか

INDEX
  • 40人の職場で5人が同時退職
  • 労働者の6割が「離職の伝染」を経験
  • 知られざるオフィスの「ピア効果」
  • 他人の決断に背中を押される
  • SNSが育む「離職者の連帯感」
  • たまたま話した隣人がトリガーに
  • 豪華な「慰留特典」も効果薄

40人の職場で5人が同時退職

あちこちの職場で、ある「感染症」が拡大している。症状は2週間に1度のペースで表れ、感染状況はリアルタイムで確認できる。有効な予防法を知る上司はほとんどいないようだ。
しかも、感染のペースはかなり速い。この病気を「会社辞めたい病」という。
「複数の人が辞めていくとショックです。私には見えていない理由が何かあるのだろうかと不安になります」と、ティフ・チェン(27)は言う。「そして、私も辞めるべきなのか?と考えるようになるのです」
社員40人の代理店でデジタルマーケティングの仕事をしていた彼女は、昨年7月に退職した。親しい同僚のうち5人も同じ時期に辞めている。
アメリカでは昨年8月、9月、10月の離職率が高かった。米労働省のデータによると、その後もさらに上昇。11月には450万人以上が自主的に仕事を辞め、20年にわたる追跡調査で最高の数字となった。
これについて経済学者は、人手不足によって賃金と福利厚生が改善されたため、労働者が新たなチャンスを求めるようになったと説明する。しかし、心理学者はもうひとつの理由を指摘する──退職は伝染するのだ。
(peterhowell/iStock/Getty Images)