株式会社ユーザベースは、2022年2月9日に2021年度 通期決算説明会を開催しました。当日の様子をほぼ全文採録でレポートいたします。

【登壇者】
代表取締役Co-CEO 稲垣 裕介
代表取締役Co-CEO 佐久間 衡
執行役員CFO 千葉 大輔
司会 皆さま、本日はお忙しい中ご参加いただきまして、誠にありがとうございます。定刻となりましたので、ただいまより株式会社ユーザベース、2021年通期決算説明会を開催いたします。それではまずはじめに登壇しております当社役員をご紹介いたします。株式会社ユーザベース 代表取締役 Co-CEO 稲垣 裕介。
稲垣 よろしくお願いします。
司会 代表取締役Co-CEO 佐久間 衡。
佐久間 よろしくお願いします。先週コロナにかかりまして、既に回復してるんですけども、まだ外出できないのでオンラインで参加します。よろしくお願いします。
司会 執行役員CFO 千葉 大輔
千葉 よろしくお願いします。
司会 以上3名でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
佐久間 まずセグメントの変更に関してご説明します。こちらは昨年12月の長期経営戦略説明会でお話した内容と同一です。これまでSPEEDA事業、その他B2B事業・NewsPicks事業という3区分にあったものを、SaaS事業・NewsPicks事業という2区分で開示したいと考えております。
その理由としては、NewsPicks事業の中に含まれるAlphaDrive/NewsPicks事業ですね。NewsPicksを用いた法人ソリューションを提供しています。しかしその意味でいうと、SPEEDA・FORCAS・INITIAL全て同じようにNewsPicksを活用しております。ここに差異はなく、かつクロスセルを促進していく、一体運営を推進していく観点からも、1つのセグメントにまとめて開示させていただくのが適切であろうと考えております。なお旧区分のセグメントの財務数値に関してはAppendixに記載がございます。
佐久間 我々のパーパスは、「経済情報の力で、誰もがビジネスを楽しめる世界をつくる」です。
佐久間 そのために、経済情報をコアなアセットとしてグループで共同活用しております。企業・業界データベース、こちらを共通のアセットとして全SaaSで共同活用していきます。かつ、NewsPicksのコンテンツも共同活用しております。
また一番右側のNewsPicks Expertですね。高い専門性を持つ人の知見を、NewsPicks上でコメントの形で専門性を披露していただいたり、SPEEDA上でエキスパートリサーチという形で、深いリサーチの価値を発揮していただくという形で、グループ全体で経済情報を共同活用していることが我々の最大の特徴です。
佐久間 ビジネスを楽しめる世界を作っていくために、SaaS事業に関しては左側、企業に向けて顧客起点で変化にスピーディーに適応する経営、アジャイル経営を実現するための、経営戦略分野でのSPEEDA、顧客戦略分野へのFORCAS、組織戦略分野でのAlphaDrive/NewsPicksというサービスを提供しております。また個人に向けて、ビジネスを楽しみ、自ら行動する人を増やしていく、そのために、NewsPicks・NewsPicks Expertを手がけております。

連結業績ハイライト

佐久間 続いて連結業績ハイライトですね。まず私の方から通期の業績に関してご説明さしあげて、その後4Qの決算の詳細をCFO千葉からご説明さしあげます。
まず全体のハイライトとしては、何より売上高・EBITDAともに期初業績予想をしっかり達成することができた。これが大きな達成であると考えております。
その最大の要因として、SPEEDA事業が好調で、昨年1年を通して成長率を増加させることができたと。解約率1.0%に低下させることにコミットし、しっかりそれを達成することもできました。SaaS事業においては、SPEEDAに次ぐ事業、FORCASなどのプロダクトも高成長を続けております。
NewsPicks事業に関して、広告売上高は順調に成長しました。有料課金売上高について、一昨年コロナの影響もあり大きく成長したその反動で、低成長にとどまったというのが実態です。
我々が最も重視しているARRについてです。ユーザベース全体で123.7億円という水準に達成することができました。これは昨年に対し23%の成長となっています。特にSaaS事業が大きく伸びて98.2億円、29%の成長を達成することができていると。ここにNewsPicksの25.8億円が加わって123.7億円、そのような内訳になっております。
佐久間 こちらは業績予想の達成の詳細ですね。期初業績予想に対して、当期純利益以外は全て達成することができました。当期純利益については昨年公表済みのことではありますが、NewsPicks GINZAですね、我々の銀座拠点撤退の影響による一過性のものです。この影響等を考慮した修正後の業績予想については全て達成することができました。
こちらを見ていただくと経常利益が12.4億円の期初予想に対して、15.7億円と大きく超過してるんですが、こちらはUB Venturesの保有株式の売却益が、経常利益にヒットしたことによるものです。
やはり業績予想をしっかり達成するというのを、何より重視しております。2019年と2020年はQuartz事業の影響があり、業績予想を達成することができなかった。しかしそれ以外の年は、売上に関しての業績予想は、上場後すべて達成しております。今後も業績予想をしっかり達成し続けて、皆様の信頼を得ていきたいと考えています。
佐久間 昨年の決算のハイライトを2つご紹介させてください。1つは、エンジニアを大幅に拡充することができたことです。共同代表の稲垣がリードした形で、昨年の最大の投資であるエンジニア組織の拡充を達成出来ました。経済情報という共通の強みを活かし、1人ひとりのお客様のニーズに合った機能・プロダクトをどんどん作っていく。そのためにエンジニアを拡充していく。それが結果ここにお示ししている通り、56名増やすことができました。採用計画を達成し、エンジニア組織を増強することができたというのは、昨年の大きな達成であると考えています。
佐久間 もう1つのハイライトは、やはりSaaS事業の高成長です。一番左側がSPEEDA EXPERT RESEARCH事業で、1.2億円から4.7億円、約4倍ですね。1年間で約4倍に大きく成長することができました。これはSPEEDA事業の売り上げの中に含まれておりまして、SPEEDA事業の売上高成長率の増加を牽引するものになっております。AlphaDrive/NewsPicks事業、昨年までNewsPicks事業において開示していたものを、SaaS事業に移動した事業ですね。1年間で4.0億円から7.5億円に、大幅にARRが増加しております。
またFORCASについても12億円から17.1億円と、一定の規模まできたにも関わらず、高成長を維持しています。やはり冒頭にも申し上げました通り、昨年の一番大きな結果は、SPEEDA事業の高成長であると考えております。そこに続いてSPEEDA事業の次を担うようなSaaS事業もしっかり成長してきているところは、素晴らしい状況だと考えております。
続いて、 第4四半期決算に関してCFOの千葉からご説明差し上げます。
千葉 第4四半期、3ヶ月の業績について私からご説明申し上げます。まず連結のハイライトですけれども、3ヶ月間の売上として43.2億円、前年同期比の成長率は16%になっています。また連結のEBITDAに関しては1.3億円という結果になっています。続いて、事業別の内訳ですが、SaaS事業はARR成長率、売上成長率ともにクォーターonクォーターで成長率が上昇していまして、非常に良いモメンタムだと考えています。
一方でNewsPicksに関しては、累計では計画をしっかりクリアして着地したものの、足下ARRの成長率、売上成長率ともに課題が残った決算だったんじゃないかなと思っています。この辺については後ほどご説明する今期の業績予想の中でどういう風に考えているかも、併せてご説明できればと思っています。
千葉 次に、連結売上の四半期の推移のスライドになります。繰り返しになりますが4Qに関しては43.2億円が結果になります。ご覧いただくとお分かりのとおり、下の黒の棒グラフがSaaSの売上なんですけれども、ここを見ていただくと、当社が掲げているCAGR(Compound Average Growth Rate/年平均成長率)30%を超える水準で足下成長していますので、しっかりこの30%超の成長を維持していきたいと考えています。
一方で先ほど触れましたけれども、NewsPicksに関しては広告売り上げが昨年を下回るということもありまして、全体的に昨年を下回る結果となってしまったというのが現状になります。
千葉 続いてEBITDAについてのスライドになります。こちらについては右肩下がりのように見えてしまうかもしれないですけれども、下期に成長投資をしっかり行って、それを計上したために、第4四半期としては1.3億円のEBITDAにとどまった形になっています。
期初からご説明してる通りエンジニア投資を積極的に実施していまして、計上がどんどん後ろに積み重なっていくということもあり、このような形の利益の推移になっていますが、冒頭佐久間からご説明した通り、通年では期初掲げたガイダンスに対して達成しており、さらに上方修正した業績予想も達成したという状況に変わりはありません。
なおちょっとわかりにくいので補足をさせていただきたいのが、その他調整額とある部分になります。こちらに関してはSaaS事業・NewsPicks事業ともに含まれないセグメントで、コーポレート管掌の新規事業ですとか、あとはその各事業に帰属しないグループ間の取引などを一斉にまとめた部分になりますので、こちらについては全部足し合わせていただくと、開示されている数字と完全に一致するような形での開示に変更させていただいています。

SaaS事業ハイライト

千葉 続いて事業別に詳細をご説明できればと思います。まずはSaaS事業からになります。ARRが100億円間近の98.2億円まで拡大してきたと。かつこのペースが改善してきているというところが一番のハイライトかなと思っています。
新しい事業に区分されているINITIAL・FORCAS・AlphaDrive/NewsPicksに関してはともに非常に大きい成長を維持できていますし、新規プロダクトが40%超の売上成長を果たしており、新規3プロダクトとも伸ばせているというところが先ほど佐久間の説明にもあった通り、我々の中では非常に自信を持てている部分になります。SaaS事業全体のARR成長率は30%間近の29%が実績になります。
千葉 次に売上についてです。売上とARRの差分が多少ありますけれども、こちらについては各サービスの初期費用の売上、およびAlphaDrive/NewsPicksのコンサルティング売上ですとか、SPEEDAの売上に含まれているSPEEDA EXPERT RESEARCHの売上が乗っているのが差分になります。こちらが含まれてないのがARRとしてご理解いただければと思っています。
今回SPEEDA EXPERT RESEARCHの売上を初めて実数値で公表させていただいてます。年間では4.7億円という規模まで成長してきていますので、非常に高い成長を達成できているとご理解いただければと思っています。
千葉 続いて、EBITDAに関してです。こちらは先ほどご覧いただいたグラフを、SaaSに特化し、かつどこが稼いでいて、どこが投資事業なのかというところをわかりやすく表示したつもりで作成したグラフになります。プラスに転じているのがSPEEDAとINITIAL、この2つのサービスでして、それ以外の高成長のプロダクトはまだ投資フェーズという形で投資をしています。
長期経営戦略説明会でもご説明した通り、SaaS事業に関してはポートフォリオの方針を明確に持っています。安定成長期および高成長フェーズの後半、安定成長フェーズに入りつつあるプロダクトに関しては、しっかり利益を出し、目標EBITDAのマージンでいうと30%を1つ視野に入れて、利益率を上げに行くということを考えています。
他方で新規事業の立ち上げフェーズおよび高成長フェーズ、主に売上成長率が40%前後というプロダクトに関しては積極的に投資を実行することによって、売上の成長率を維持していきたい、もしくは拡大していきたいと考えていますので、そのポートフォリオの方針に基づいて投資をした結果、このようなEBITDAの内訳になっているとご理解いただければと思います。
累計すると、SaaS事業としてのEBITDAは2.3億円だったという結果になります。ここからSaaS事業の中核であるSPEEDAに関して、皆様の懸念点ですとか我々としても重要だと思ってるポイントを2つほどご説明できればと思います。
千葉 1つはSPEEDAの解約率です。昨年来上昇を続けていて、ここが下降トレンドになるのかということを多くの投資家の方からご心配いただいたり、質問をいただいたりしてきましたけれども、お約束した通り、12月末時点で1.0%の解約率までの回復を実現できたというところがお伝えしたい1つ目のポイントになります。
千葉 2つ目が売り上げをブレイクダウンした顧客数と顧客単価の内訳になります。こちらに関しては引き続き顧客数を伸ばしてはいきますが、今後の成長ドライバーとしては顧客単価の増加ということをお伝えしていますので、実際15%増の34万5,000円までへと上昇してきているということを表したスライドになります。
千葉 次にSaaS事業のトピックスをいくつかご説明できればと思っています。まず昨年12月16日に公表をさせていただきましたが、エキスパートネットワーク事業を東南アジアを中心とした海外で主に展開するスタートアップであるArches株式会社と資本業務提携を実施しました。
Archesは日本の方が代表の会社であるものの、東南アジアを中心に、エキスパートハントの優れた極めて高いオペレーション能力を持った会社になります。我々とは元々ビジネスで接点を持っていたんですけれども、今回彼らの増資というお話をいただきまして、資本業務提携に踏み込んだというような形になっています。今後グローバルでエキスパートリサーチ事業を拡大するために東南アジアの重要なパートナーとして位置づけていきます。
千葉 続いて同じく海外展開に関しての我々の現状を1枚のスライドにまとめたものがこちらになります。向かって左側が、昨年中国事業が非常に順調な伸びを示したことを表したものになります。
まずSPEEDA事業のだいたい10%超が今、日本国外の売上になるわけですが、、その中でも非常に好調なのが中国事業になります。中国市場に特化したリサーチのトップページを開発し、評価を得ています。SPEEDAはグローバルリサーチプラットフォームですが、ここに地域ごとのローカル性が強い分析も今後強化していきたいと思っています。
しかし、まだ英語と中国語メインのユーザーが多く取得できているわけではないので、この点が今後さらに伸ばしていくための、注力ポイントになってくると思っています。向かって右側が昨年マイルストーン投資をすると言っていたSPEEDA Edgeになります。
SPEEDA Edgeは、中国版のSPEEDAと異なって、皆さんが想像してるSPEEDAをそのままアメリカで展開しているわけではなく、エマージングマーケット、新興市場やこれから世の中を変えていくであろう、テクノロジートレンドみたいなものを把握することが出来る、そのようなサービスだとご理解いただければと思っています。
まだ顧客名で挙げさせていただいてる通りユーザー企業としてはまだまだ少ないフェーズではあるんですが、我々が日本のSPEEDAとしてはリーチできていないSwiss Reさんのようなグローバルカンパニーからの契約も受注できてきていますので、今後の成長を期待していただきたいなと思っています。
千葉 SaaS事業の事例としては最後になりますけれども、今期からSaaS事業として開示してます、AlphaDrive/NewsPicksのプロダクトについて補足できればと思っています。元々NewsPicks事業の中にあったエンタープライズ向けのサービスなんですが、まだ馴染みがない方もいらっしゃるかなと思いまして、こちらに取り上げさせていただいています。
向かって右側のサービスイメージをご覧いただければと思います。基本的にはAlphaDrive/NewsPicksをSaaSに組み込んだ理由としては、我々がSaaS事業で実現したいTAMである経営コンサルティングマーケットのうちの、組織開発や人材開発のSaaSプロダクトだと位置づけています。
NewsPicksのオリジナル記事ですとか、あとはクライアントの企業様の中で作成されたオリジナル記事をきっかけに、部門を越えたり、年次を超えたコミュニケーションを誘発するというような社内SNSのようなプロダクトになっています。
ここから優秀な人材の発掘やプロジェクトの立案といったところに広がり、さらに我々はIncubation Suite(インキュベーションスイート)というプロダクトを別サービスで持っていて、新規事業の立案までサポートしていきます。
こちらについても顧客事例を徐々に出しながら、皆さま方の理解度を上げていただければと思っています。ここまでがSaaS事業のご説明になります。続いてNewsPicksに関してご説明できればと思います。

NewsPicks事業ハイライト

千葉 まずこちらについてはNewsPicksのARRになります。AlphaDrive/NewsPicks、いわゆるNewsPicksの中での法人向け課金事業を、SaaS事業に組み替えていますので、こちらのグラフは個人課金のみのARRだとご理解いただければと思います。冒頭、佐久間からも少し説明がありましたけれども、コロナウイルスが蔓延し始め、かつ緊急事態宣言が発令された2020年の第2四半期、ここで言うと2020年6月と書かれたところで大きく有料会員数を伸ばすことに成功しました。
その後解約と新規獲得がバランスするような形で、ほぼ横ばいで推移をしているのが足下の状況です。今期は再び拡大のフェーズに戻していく、モメンタムを上げていくところを注力していきたいと思っていますので、その点についても業績予想の内訳のところでご説明できればと思っています。
千葉 次のスライドが売上についてです。先ほど触れた課金事業以外のところについて、ご説明できればと思っています。最も影響が大きかったのが広告売上かなと思ってますので、広告売上について補足でご説明できればと思っています。
2020年はコロナウイルスが前半に発生したこともありまして、我々で言うところの上半期に広告出稿を抑える企業さんが増えました。その結果、反動から下半期に広告出稿の需要が逆に増えまして、その需要をしっかりキャッチアップして受注に繋げられたというところが、季節性としては明確にあったかなと思ってます。
ですので、1Q、2Q比較的弱いスタートの後に、3Q、4Qは非常に強い売上を獲得できたのが2020年だったかなと思います。それに対して、昨年2021年は1Qから順調に受注を積み上げられて、年間を通じて見ると、季節性がやや平準化されたような形になったんじゃないかなと思ってます。こちらは広告主さんの出稿意欲と我々の受注体制が合わさって、結果このような流れになったと我々としては分析してます。
ただそれを加味してでも、この4Qの広告の売上自体は少し弱かったと考えています。理由は2020年から続いていた動画の大型受注の契約が、2021年の3Qで契約満了に伴って終わっています。これがクォーターでの売上で、だいたい1億円程度ありましたので、この1億円の部分が昨年の4Qと一昨年を比較したときに、弱く見えてしまう1つの要因だとご理解いただければと思ってます。
広告の体制や、在庫、あとはメディアとしてのポジショニングというところに大きな変更はないと思っていますので、今年もしっかり広告売上についても伸ばしていきたいと考えています。
千葉 続いてEBITDAに関してです。NewsPicksは年間を通じてEBITDAをマネージしてますので、
上半期が計画に対してかなり上回る着地を示したこともあって、3Q・4Qはその発生した有利差異を投資に回すということをやっています。ですので社内で持っている目標に対して、年間を通じてはしっかり達成できているとご理解いただければと思っています。
千葉 最後にNewsPicks事業のトピックスについて簡単に触れて、私からの説明を終えられればと思っています。現在、冒頭少し早く入っていただいた方にはご覧いただけたかもしれませんが、動画コンテンツを強化しています。
2018年に制作子会社を設立して以来、動画番組への投資というのはかなり積極的に実行してきたんですけれども、当初はスポットの企画動画から始まって、現在、帯番組が毎日配信できるような形になっています。これについては非常にユーザーさんからの支持も得ていると感じていますので、今後はNewsPicks編集部が作る動画番組の強化も含めて、動画コンテンツを一気に強化していきたいと考えています。
こちらについてはまだご覧になってない方もいらっしゃるかと思いますが、ぜひお時間がある時にご覧いただければと思っています。以上が第4四半期のハイライトになります。続いて今期の業績予想について、佐久間からご説明させていただきます。

2022年12月期 業績予想

佐久間 今期の業績についてお話しします。最初に2つ説明させてください。
1つは利益指標の変更について。こちらも長期戦略説明会でお話した内容なのですが、株式報酬制度を導入します。そして、その影響としてEBITDAに株式報酬費用を足して開示していきます。なので、今期以降EBITDAに言及する場合は、この株式報酬費用を足したものであるとご理解いただければと思います。
もう1つが、収益認識基準の変更です。こちら2つありまして、1つは初期費用の取り扱いです。SaaS事業等でサービス導入の初期費用を頂戴する場合があるのですが、これまでは契約開始時点で一括計上していたものを、契約期間において按分して計上していきます。この収益認識基準を変更する最初のタイミングは、売上・利益ともに減少します。ただこの影響は、それほど大きくはないです。
もう1つNewsPicks事業に影響があるものとして、広告売上高を総額表示していたものを、純額表示、ネット表示していくというものです。こちらは、例えばTwitter等の外部プラットフォームを活用した広告提案をした際に、その外部プラットフォームに出すコストをグロスで売り上げに含めていたものを、ネットで計上していきます。これによって利益には影響はなく、ただ売上と原価に対して影響があります。
佐久間 今年の大方針としては、長期戦略説明会でご説明差し上げた通りで、SaaSの高成長にしっかりと投資していく。具体的には、SPEEDA EXPERT RESEARCH、FORCAS、AlphaDrive/NewsPicksの3つです。先ほどご説明させていただいたように、しっかりと高成長を実現してきておりますので、これらが我々の投資リターンを最大化させる投資先であると考えています。
2番目に、主にSaaSに活用される共通データへ投資を強化していきます。3番目にNewsPicksのマーケティングに段階的に投資し、NewsPicksの成長の再加速を目指していきます。4番目、5番目が、SaaSとNewsPicksの融合です。
4番目として、ユーザーIDの共通化を進める。同じNewsPicks IDで全てのSaaSが使えるという状態を実現していきます。これによりSaaS内のクロスセルも促進できると考えています。
5番目に、NewsPicksをSaaSのマーケティングチャネルにしていく。NewsPicksをしっかり成長加速し、そこからSaaSのユーザーがどんどん生まれていくという構図を作ります。このために、昨年のNewsPicks Stage.という、NewsPicksのイベントマーケティング事業を発表しました。こちらが特に、NewsPicksをSaaSのマーケティングチャネルにしていくキーになると考えています。
佐久間 今期の業績予想の数字です。売上高として195〜200億円、これは21〜25%の売上成長率になります。EBITDAとして、長期戦略説明会でお話した同じ数値ですね、10〜15億円という数値を今期の業績予想とします。SaaSとNewsPicksそれぞれの今年の売上の成長のイメージも載せております。
SaaSについては30〜33%。我々として目標にしている、全社30%成長をクリアしていく、順調な成長を見込んでいます。NewsPicksに関しては6〜9%と、ちょっとこれだけを見ると成長率が低いのではないかと思われるかもしれませんが、次のページでご説明させてください。
佐久間 NewsPicks事業については、ご説明した収益認識基準の変更、これが昨年の数字で言うと3.3億円あります。さらにNewsPicks GINZAから撤退していくと。このコロナの状況で、オフラインのスクールの事業を行う場所のコストを持ち続けるのは厳しく、我々としては撤退すべきだと考えて、撤退しております。
この2つが、ともにNewsPicks事業に大きく影響しております。これらを考慮したベースですと、先ほどの数値とは少し異なって、NewsPicks事業は18〜21%成長していくと。すなわち昨年の成長率が15%なので、それと比較して成長率が回復していくという計画になっています。
この会計基準の変更と事業撤退の影響を勘案した、全体の売上高成長としては26〜30%。実質的な売上高成長率として30%、200億円を達成すれば、30%成長に実質的に到達することができるという数値であると考えています。
佐久間 今年、EBITDAを減らして投資していきますので、その内訳です。先ほどお話したように、SaaS事業にしっかり投資をしていくと。それが全体で20億円です。主にエンジニアの投資とセールス等の人員の増加です。この部分が大きくなっています。
またNewsPicks事業の成長の加速に向けた投資も行います。主にマーケティングの投資です。いきなりこれだけの金額を投資するのではなく、効果を1つひとつ確かめながら、段階的に投資していきます。なので、この7.3億円が全て投資された場合は、NewsPicksが成長加速する目処が立っているとご理解いただければと思います。
佐久間 こちら、2025年に向けての成長のイメージです。2021年から2025年まで、CAGR30%の成長を目指しております。2025年12月期に450億円。今期の195〜200億円という数字は会計基準の変更等の影響があるのですが、我々が目指す成長率に達していない数字であります。
しかし200億円を達成すれば、実質的に30%を達成できる企業としての力はついてきていると言えると思いますので、2023年以降にビハインドを取り戻し、450億円をしっかり達成していきたいと考えております。

Sustainability 経済情報の力で、誰もがビジネスを楽しめる世界をつくる

佐久間 最後にサステナビリティに関してご説明します。我々のパーパスは、冒頭に申し上げた通り「経済情報の力で、誰もがビジネスを楽しめる世界をつくる」です。
ある意味、我々のパーパスはサステナビリティそのものであると考えています。なぜならば、誰もがビジネスを楽しめる、そのためには社会、企業、個人のパーパスが調和的に実現されて、サステナブルな社会が実現されないといけない。ビジネスを楽しむ喜びにあふれた世界は、サステナブルに発展する世界そのものであると考えています。
そのため我々ユーザベースは、経済情報の力を信じ、ビジネスパーソンの皆様が日々お使いいただくインフラとしてのSaaSを提供し、日々経済を楽しみ、そこから自律的な行動に繋がるような情報を発信していくNewsPicksというメディア。これらの2つを通じて、パーパスに共感していただく皆様とともに、誰もがビジネスを楽しめる世界を実現していきます。
佐久間 そのためのマテリアリティです。我々が積極的に解決すべき社会課題を抽出し、その重要性評価を行って、ユーザベースのマテリアリティを抽出しました。それがこのページ、価値創造プロセスの真ん中の7個です。
「社会」の分野で、「人の知見の循環」、「異能は才能」、「誰もがビジネスを楽しめる世界」、「テクノロジーカンパニー」。「環境」の分野で、「気候変動への対策」。「ガバナンス」の分野で、「持続的なデータ・コンテンツマネジメント」、「SaaSとメディアの融合」。これらにしっかり取り組んでいきます。それぞれ具体的にどういうことをやるのかというのは、後ろの方のページに詳細がございます。
佐久間 こちらはマテリアリティの設定過程を説明しているスライドです。
佐久間 このような形で、一つひとつマテリアリティで我々が実際にどういうことに取り組むのかを説明しております。かなり分量あるので割愛させていただきますが、やはり我々のパーパスそのものが、サステナブルな社会に直接的に繋がっています。なので、我々の事業の推進と社会課題の解決は密接に関係していると感じています。
佐久間 また、ESG委員会を設置し、私が委員長を務めていきます。そして今後は業績とともに、各マテリアリティに沿った取り組みについても継続的にお伝えしていきたいと考えております。以上です。

質疑応答

※質問の内容は、事業・サービス名を除き、会場からの口頭でのご質問以外は原則Slidoに記載いただいたものをそのまま転記しております。
※過激な表現や内容を伴う質問への回答は差し控えます。
司会 それではまずはじめに、会場の皆様よりご質問ございますでしょうか?
Q1:先ほどご説明の中で「NewsPicks(事業に回復)の目処が立ったら7.3億円を使いたい」ということですが、この目処ってどういったことになるんでしょうか? お願いします。
佐久間 お答えする前に、今回からQ&Aの立て付けを変えておりまして、皆様から頂戴した質問に全てお答えするということを続けていたんですが、それによってかなり説明会の時間が押してしまうと。時間が押してしまい、説明会に全て参加することができないというご意見をたくさん頂戴いたしまして、時間通りに終わるということをやっていきたいと考えております。その分この場で答えられない質問が出てくると思いますので、明日出します決算説明会のレポートにて全問しっかりご回答させていただきます。
NewsPicksのマーケティングの段階的投資のクライテリアについてのご質問ですね。マーケティング投資の効果を示す、CAC(Customer Acquisition Cost/顧客獲得費用)とライフタイムバリュー(LTV/顧客生涯価値)のバランスを見ていきます。マーケティングによりユーザーの獲得ができていて、獲得したユーザーが、しっかりNewsPicksをご活用いただき、有料会員に転換するような状態を実現できているかどうかが重要です。そのことを、CACとLTVを主に用いて計測していきます。
Q2:今期のNewsPicksの売上高の計画を課金と広告で分けると、なんかどういったイメージでされてるんでしょうか?
佐久間 そうですね。広告事業に関しては会計基準変更の影響がございますので、会計基準変更の影響をなかりせば、だいたい20%の成長を目指していきます。課金はそれを除いた分という形でご理解いただければと思います。
Q3:ちょっと細かい質問で恐縮なんですけど、36ページに「その他費用を7.3億」って書いてあって、結構増えるなあと思ったんですが、これはどういった費用を見込んでるんでしょうか?
千葉 (ご質問の意図は)EBITDAのブレイクダウンのところの7.3億かなと思います。こちらに関して、SaaS事業、NewsPicks事業ではない費用やコーポレート費用ですとか、あとは移転を計画してますので、その移転の費用等々もろもろ全社にかかる費用がこの程度かかるとご理解いただければと思います。
Q4:SPEEDAはもう一度解約率が上がったが、どういった取り組みが奏功したのか、もう少し説明いただけますでしょうか?
佐久間 大きくは2つですね。1つはターゲティング。SPEEDAを継続的にご活用いただける企業様を、しっかり獲得していくような体制の変更。もう1つは、やっぱりカスタマーサクセスの強化ですね。しっかり人員を強化し、オペレーションを整理し、お客様にサービスを導入する段階から、その後更新していくタイミングもしっかり接点を持ってコンサルティングも含めて、SPEEDAの価値を訴求していくと。この2点を愚直にやるというのが大きかったですね。
司会 それでは他に、会場よりご質問ある方いらっしゃいますでしょうか? それではSli.doの質問へと移らせていただきます。
佐久間 それではSli.doに関して、「いいね」が集まっている上の方の質問から、順次ご回答させていただきます。
Q5:現状の一貫した株価下落の状況で今後10年間で10%のダイリューションや株式報酬費用の計上をするだけの業績向上の確信があるのでしょうか?
佐久間 そうですね、この10年で10%っていうのは、我々の株式報酬費用を1年間1%を基準にします、ということから書かれているんだと思うんですけども。必ず1%出すというものではないです。優秀な人材を採用し、成果を出せるという効果を見極めて株式報酬を出していきたいと考えております。
現状の株価下落の状況に関しては非常に申し訳ないと考えております。我々としては業績予想を達成する30%成長の蓋然性を高めていく、そのために実績を出していく。それしかないと考えております。そのためにも優秀な人材を採用し、維持するというのは最重要ですね。
株式報酬制度というのは、世界が発明した非常に重要な報酬制度だと考えておりまして、優秀な人材を採用し、維持するためには、この制度を最大限活用することが重要であると考えております。そして業績をしっかり上げていくことで、株価を上昇させて、株価リターンに関しても矛盾がない状況が作れるのではないかと考えております。
Q6:素晴らしい成長だと思います。ただ、よく語られている30%成長には届いていません。30%成長とはノルマ的な目標なのか、理想的な目標なのか。純粋にどう考えているのか、教えていただければ幸いです。
佐久間 30%の成長目標は、「ちょっとでも近づければいいよね」というものだとは全く考えていません。これは我々として必ず達成したい目標です。やはり「経済情報の力で、誰もがビジネスを楽しめる世界をつくる」、その壮大な目標のためには高い成長を維持していくことが不可欠であると考えております。
なので、今回30%成長を達成する業績予想を出せなかったことは本当に忸怩(じくじ)たる思いです。来年に向けて、NewsPicks事業の成長率の回復、SaaS事業のさらなる成長という体制をしっかり作り、30%成長を持続的に実現できる体制をつくっていきます。
Q7:Which products will be most valuable? Uzabase has media content type information and also more data driven type SaaAAS solutions for sales / marketing?(ユーザベースはメディア・コンテンツタイプの情報を持ち、よりデータドリブンなSaaSをセールス・マーケティング向けに持っている。どういうプロダクトがこれから最も価値のあるものになっていくと考えているか?)
佐久間 もちろん我々の全てのプロダクトに非常に価値があると考えております。ただ現時点ということを申し上げますと、やはりSPEEDAですね。SPEEDAがしっかり成長率も増加させることができてきておりますし、利益率も非常に高い。やはりSPEEDAが我々の屋台骨であり、しっかり成長させることが一丁目一番地であると考えております。その成長と収益があるので、次々と高い成長を目指す新規プロダクトを作ることができると考えております。
Q8:赤字のUS事業を撤退したのに今期営業利益予想が低迷しているのは、アクセルを踏んでいるためだと理解していますが、株式報酬費用2億円弱を計上する代わりに役員報酬、人件費の削減はできているのでしょうか?人件費を削減してほしいとは言いませんが
千葉 こちらについては、株式報酬と役員報酬に関しては総額を変えずに内訳の変更だとご説明しますので、ここの部分だけを切り取ると、総額は増加していません。ただ人件費に関しては昨年も今年の計画上も、多くの仲間を採用する計画になってますので、人員の増加に伴う人件費の増加というのは一定折り込まれているとご理解いただければと思います。
ただ今年、先ほどご質問いただいた「その他費用」の中にもシステム投資、これは社内の業務改善を伴うシステムの投資がかなり多く含まれています。これによって単純に人の数を、頭数を増やすだけではなくて、業務の効率化を図るというところにもしっかり投資をしていきたいと思っていますので、単純に人員の増加による売上の増加を我々として志向してるわけではないことをご理解いただければと思います。
Q9:来期売上成長率が26〜30%と、いきなり来期の売上が約束の30%を割ることもあり得る予定のようだが何故か。30%は必達目標ではないのか?
佐久間 先ほどお答えした通り、30%は必ず達成して行きたい目標だと考えています。ただ、CAGR30%として、年によっては30%を超えたり、年によって30%下がることもあり得て、最終的に450億を2025年に達成していくと。
今期、残念ながら26〜30%、これは会計基準等の影響を考慮した成長率ですけども、30%を超える数字にはなっておりません。先ほど申し上げましたように、NewsPicksの再成長、成長の加速を実現する。SaaSは30%を超える成長が実現できておりますので、これを1%でも高めていく。そうすることで全体として30%の成長を達成していきたいと考えております。
司会 ご質問の受付は以上となります。大変恐れ入りますが、以降のご質問はお控えください。それでは引き続き、Sli.doよりご質問に回答させていただきます。
Q10:NewsPicksは直近2年、有料会員事業は横ばいだが、マーケティング費用の投下だけで伸びると確信している理由を説明いただけますか?
佐久間 マーケティング費用の投下だけで伸びるとは全く考えておりません。プロダクトの進化、コンテンツの進化が不可欠です。特に長期戦略説明会でもご説明しましたけども、動画の分野ですね。動画の分野が大きく伸びてきていまして、直近でも動画番組から多くの有料会員が獲得できている状況です。
スマホの動画分野というのは大きな市場があり、それは今後も伸びていく。この市場機会をプロダクト、コンテンツの進化でしっかり捉えていきたいと。その価値を広く訴求していくためにもマーケティング費用の増加が不可欠ではないかと考えております。
Q11:「過去コミットした売上目標については着実に達成し今後も継続」という趣旨のご発言がありましたが、損益コミットの考え方について教えて下さい。過去、御社経営陣から米国Quartz投資一巡後の損益急回復見通しや、Quartz影響で投資を控えていた国内投資再開後の22年度損益改善を目指すとも説明されてきました。一貫性が乏しいように感じます。
佐久間 この点、長期戦略説明会でも同じ主旨の質問をいただきまして、我々がしっかり説明していきたいと考えています。
今回のご説明にもありましたように、やはりSaaS事業が大きく伸びてきていると。しかも安定しているSPEEDA事業も伸びてきておりますし、FORCAS、AlphaDrive/NewsPicksという比較的新しい事業ですね。AlphaDrive/NewsPicksでいうと、まだ2年程度の事業でして、それが大きく伸びているので、ここにはしっかり投資すべきではないかということを経営方針として変更し、2022年、今年に関しても投資をしていくことを決めました。
今後の投資方針に関しては、特にSaaSに関しては、その収益を重視して成長を犠牲にすることがないようにしたいので、SaaSに関する収益性と成長性をバランスさせるような事業ポートフォリオのマネジメント方針を、長期戦略説明会にてご説明させていただきました。そこに則って、しっかり成長・収益性の両にらみで経営を続けていきたいと考えております。
Q12:NewsPicks事業の成長率回復に向け、マーケティング投資の活発化はご説明いただきましたが、それだけでは説得力が乏しいように感じます。サービスをどう進化させるのか、足元の状況など、投資が結果に結びつく背景を具体的にご説明いただけますでしょうか。
佐久間 先ほど申し上げたものと一部重なるかと思いますけれども、当然マーケティング投資だけで高成長が実現できるとは考えておりません。プロダクト・コンテンツの発展が必要であり、その一つの大きなテーマが動画であると考えております。
例えば直近でも、『HORIE ONE』の成田さん(成田悠輔氏/経済学者で米イェール大学助教授)が出ていた回で多くの有料会員を獲得できておりまして、やはり動画が持つパワーというのは非常に大きいなと、足下の結果からも認識しております。そのようなプロダクト・コンテンツの価値のシフトとともに、しっかり成長を実現していきたいと考えております。
Q13:P34の⑤のNewsPicksをSaaSマーケティングチャネルに⇒どんなマーケ活動を計画しておりますでしょうか?
佐久間 NewsPicks Stage.事業というものを昨年12月に発表しております。SaaSの最大のマーケティングチャネルは、オンラインイベントなんですね。そのオンラインイベントに関しても、例えばスマートシティですとか、Mobility as a Service(MaaS)ですとか、NewsPicksのコンテンツとしても大きな価値があるものを作ることができていると考えております。
なので、そのコンテンツをNewsPicksとSaaSで融合して展開し、NewsPicks上でのオンラインイベントを、NewsPicksのユーザーに対する価値としてもそうですし、SaaSのマーケティングチャネルにもできる。そのような融合した形でのマーケティングを考えております。
Q14:既存事業の成長はもとよりAlphaDrive/NewsPicksのような事業が立ち上がってきているところが素晴らしいと思います。今後クロスセルが一層重要になってくると思いますが、具体的にどのような戦略、またクロスセルを評価する指標などはお持ちでしょうか。
佐久間 まさにクロスセルをどういうふうに進めていくのかが、我々として最重要のテーマの1つです。昨年グループ執行役員制度というものを発表しまして、私や稲垣の代表取締役以外に、ユーザベース横断して特定のミッションを持っていく役員を増やしております。13人ですね。
その中で今回、NewsPicksのCEOも務めていた坂本が、このグループ横断のクロスセルを担っていく役割を今年1月から務めております。既に具体的な動きがいくつも出ておりますので、今後クロスセルは加速していく、我々として意思を持って加速させていきたいと考えております。
Q15:NewsPicks事業でその他人件費(編集や記者)の増加を+3.7億円増加計画としているが、どのようなコンテンツ(ターゲットの地域、年齢、業種)を強化していくのか?
佐久間 この中に動画クリエイターの採用が多く含まれているのが特徴だと思います。当然記者・編集者の拡充も重要ですが、特に近年の特徴としては、やはり動画で価値をしっかり作ることのできる方に、ユーザベースにジョインしていただきたいと考えています。
どのようなコンテンツ──ターゲットの地域・年齢・業種、これは今後コンテンツを強化する対象に関するご質問でしょうか。コンテンツごとにターゲットが決まりますので、ちょっと一言での回答というのは難しいんですが、特に20代〜40代という方々に広くご支持をいただいている経済ニュースアプリでございまして、特に、そのような方々にしっかり経済を楽しんでいただくコンテンツを出していきたいと考えております。
Q16:Is the company focusing its resources sufficiently on the areas likely to have the highest growth and profitability?(最も高い成長率や収益性を持つ領域に、十分にリソースを投下できているのか?)
佐久間 そうですね。やはり今後最も伸びるのは、SaaSの高成長3事業です。SPEEDA EXPERT RESEARCH、FORCAS、AlphaDrive/NewsPicksですね。そこに最大投資をして、かつNewsPicksの再成長も段階的に投資効果を見極めながらやっていくということが、我々として成長性と収益性の上で、最上の投資方針ではないかと考えています。
Q17:NewsPicksの22年9月期売上計画は、マーケティング費用増加額+7.3億円を全て使い切れた時の売上高か?
佐久間 これは2022年12月期ですかね。今年の売り上げに関して、マーケティング費用の増加はそれほど大きく影響しないんですよね。有料会員の増加は年間を通して影響していくもので、我々のマーケティング投資を+7.3億円使い切る場合も、大きくは下期に投資していくので、今年の売上高に対する影響としてはそこまで大きくないです。来年以降に大きく効いてきます。
なので195億円と200億円の差分としては、NewsPicksだけはなく、SaaS事業も含めた振れ幅を吸収するものであると考えていただければと思います。
Q18:エンジニア採用拡大を達成したとのことですが、今後優秀なエンジニアメンバーのリテンション施策はどのように考えられているのでしょうか?
稲垣 私から回答させていただきます。エンジニアチームは採用はもちろん、入社後のチームビルドに対してもしっかりと取り組んでいます。また個人としても、意義のあるモノづくりができる、正当な報酬として対価を受け取ることができるという点は他の職種とも同じ観点で、納得して働いてもらえるように取り組んでいます。そのうえで、特にエンジニアのやりがいの観点として大切なのが、技術的な挑戦や投資ができて面白い課題解決ができるということです。技術が日々進化していく中でその進化に追いついていくことが、課題解決の可能性を広げますし、個人としても会社としても未来の可能性を広げていくことそのものにもなるんですよね。
これを自走的に自分たちで新しい技術選定や挑戦ができるような土台を作っていけるようにしていくこと、現場のエンジニアたちが現状や未来を考えながら必要な意思決定をしていける世界を作っていくことが大切だと思っています。R&Dなどの投資も同じです。
そのリーダーシップの形としてCTOのような執行役員とは別に、現場で技術の意思決定をリードできる技術リーダーとしてFellowという制度を導入しています。このFellowという肩書やロールが実態的に機能して、他のエンジニアたちにとっても憧れであり追随していきたいと思えるような技術的な意思決定の仕組みを作っていくことが、リテンションに最も効くと考えています。
佐久間 以上で時間になりましたので、決算説明会を終わらせていただきます。
こちらでお答えできなかった質問に関しては、全て明日お出しする決算説明会のレポートにてご回答差し上げます。よろしくお願いいたします。
司会 たくさんのご質問いただき誠にありがとうございました。
以上をもちまして、株式会社ユーザベース2021年通期決算説明会を終了いたします。本日はお忙しい中ご参加いただきまして、誠にありがとうございました。
※以下、決算説明会中に回答しきれなかったご質問に回答いたします。
Q19:2025年EBITDA率15%を目指すとありますが成長投資を除く収益性はどの程度を想定されてますか。
佐久間 成長投資は継続的に必要だと考えており、成長投資除きの収益性は想定しておりません。2025年のEBITDAマージン15%はもちろん、その後も高成長を継続するための成長投資を含んだ数値として達成を目指しております。
Q20:How much will revenue be reduced in FY2022 due to SAAS accounting change to distribute revenue over the entire contact period?(SaaSの会計処理変更により、2022年度に初期費用を全期間にわたって配分することになったが、どの程度の減収になるのか?)
千葉 2,000〜3,000万円程度です。
Q21:NewsPicks事業のマーケティング投資7億円を全額投資前提としていないという事でしたが、事業計画上、7億円の投資効果は含まれていないのでしょうか。現在の説明だと、売上やEBITDAの状況を見て、マーケティング費用を抑え利益調整幅にしているようにしか感じられません。
佐久間 7億円の投資効果の一部は含まれております。しかし、今年後半にかけての有料課金事業の増加へ影響するため、今年より、来年以降に売上増加の効果は表れてくると考えております。
Q22:現在の株価について、どのような印象をお持ちですか。個人的には地合いの悪さに引っ張られている印象があります。
千葉 株価については株主の皆様の期待に応えることが出来ておらず、申し訳ないと思っています。業績予想をしっかり達成し、株式市場との信頼関係を構築していくと共に、新規投資家の開拓に注力していくことで株価上昇を果たしていきたいと思っています。
Q23:動画コンテンツに継続性がないように見受けられます。人気コンテンツはせめて週に一回決まった時間曜日に配信することは難しいのか?
佐久間 現在、隔週で配信する形の動画コンテンツが多いですが、毎週の定期コンテンツを増やすことも、検討いたします。
Q24:NewsPicksはニッチを目指すべきだ、と御社コンテンツのHORIE ONEで発言されていたが、どう感じているか。このあたり、決断できる人はいるのか?
佐久間 もちろん、ご出演いただく方には自由に発信いただきたいと考えております。我々としては、「経済情報の力で、誰もがビジネスを楽しめる世界をつくる」というパーパス実現のため、NewsPicksを通じて、ニッチではなく、多くの人にコンテンツ価値や、コメントの価値を届けていきたいと考えております。
Q25:業績予測でも最高で30%達成ということを考えると、30%成長という言葉に自縄自縛になっている印象があります。30%成長という考えを取り下げる議論はあったりするのでしょうか?
佐久間 もちろん、弊社内で常に成長目線についての議論はございます。30%の成長目線については、パーパス実現のために目指さなくてはならない成長水準であると考えております。
Q26:ARRベースでベンチマークとなる他社と比較して貴社の適正な株価水準はどの程度とお考えですか?
千葉 他社のARRマルチプルからすると現在の株価水準は3分の1程度になっていると考えています。当社はピュアSaaS企業ではないのでSaaS企業と単純比較はできないと思いますが、SaaS事業だけで考えても、適切な株価水準との乖離は大きいと考えています。
Q27:来期のEBITDA率の目処を教えて下さい。
千葉 来期のEBITDAマージンについては、 2025年12月期15%を目安に掲げているため、10%程度を目安に考えています。
※Appendixを含む決算資料はこちらよりご覧いただけます。