この連載について
技術で勝って、ルールで負ける──。日本企業は長年、世界標準のルール形成が苦手で、不利な立場に甘んじてきた。
ルールとは企業が適応すべき「所与のもの」ではなく、自ら自国政府や外国政府に働きかけることで、変更・形成しうるものだ。
気候変動、デジタル化、グローバルなサプライチェーンなど、世界標準のルールメイクが待ったなしで迫る中、日本は官民協働で、どのようにルール形成するべきか。
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株式会社ファーストリテイリング(英語: Fast Retailing Co., Ltd.)は、株式会社ユニクロなどの衣料品会社を傘下にもつ持株会社である。東京証券取引所第一部上場。世界のカジュアルの企業の中での売り上げは第3位である。 ウィキペディア
業種
カジュアル衣料専門店
時価総額
10.5 兆円
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ダイキン工業株式会社(ダイキンこうぎょう、英名:DAIKIN INDUSTRIES, Ltd.)は、日本の大阪府大阪市に本社を置き、世界五大陸38ヶ国に拠点を持つ空調機、化学製品の世界的メーカーである。略称は「ダイキン」。空調事業の売上高は2010年からキヤリア社を抜き世界第1位、またフッ素化学製品でもデュポン社に次いで世界第2位、換気事業においても世界第1位のシェアを誇る。 ウィキペディア
時価総額
7.84 兆円
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アフターサービスを長期に渡って必要とする製品ほどうまくいっています。アフターサービスの拠点でもある販売店網をインドに張り巡らしているスズキのように、ダイキンもシェア1位を確保しています。
スマートフォンなどは、次々に買い替えることがトレンドについていくことになったりするので、壊れにくいとかアフターサービスといったことは、優先順位が低くなります。
空調でも、韓国のCoway、中国のMideaなど、グローバル展開を図って大攻勢をかけている企業はありますが、アフターサービスではダイキンは他の追随を許していないように見えます。
「いいものをつくりさえすれば売れる」ということはないので、現地政府との緊密な連携関係をつくれる、というのは、とりわけ新興国では必要なことです。何よりも現地生産、それに技術訓練のために学校をつくったりすることは、新興国では高く評価されます。
品質保証を義務付ける、というのは、ルールメイキングの中で大きな部分を占めますが、これは現地政府との緊密な連携が無いと食い込めないことです。
【激録】なぜダイキンだけが「韓国勢」を駆逐したか?
https://newspicks.com/news/4449487/body/
ちなみに、お時間のある方はダイキンの役員一覧を見てください。失礼を承知で言えば「おじ(い)さん」ばかりです。しかし、その経験を最大限に生かして世界1になり、さらに成長しようとしている。ベンチャーなどにも投資している。もちろんダイバーシティは意識されているでしょうが、こうした経営もまたあります。
https://www.daikin.co.jp/corporate/overview/summary/directors
ご自身をダイキンの「ぱっぱらぱー」系統だとしつつも、新たに台頭してきた中国勢を返り討ちにすべく、冷静に自社と中国企業の実力や課題を分析する。
そして次の一手を考え、そしてダイキン流「1流の戦略と2流の実行力よりも、2流の戦略と1流の実行力」を体現するかの如く、一気呵成に勝負に出る。ご本人曰く、「うちは空調しかやっていないから、見えるものがある」だとか。
さて、ESGや脱炭素が叫ばれている今、空調業界でも欧州市場がアツいです。
先日、パナソニックが空調戦略発表会で、欧州を最重要市場と位置づけ、「ルール作りを含めて主導権を握りたい」と話していました。
空調は家電と一緒くたにされることもありますが、据付工事や修理にも一定のノウハウが必要で、消費電力が大きく電力代が家庭や企業の懐具合に直結するので、省エネ技術が差別化要因になる。なので、コモディティ化が進みにくい。
今回は触れられませんでしたが、「キガリ規制」なるルールによって、大きなゲームチェンジ要素もはらんでいます。空調各社の戦いには、ビジネスのヒントが凝縮されているといえます。
ダイキンは、アジア圏だけではなく、アメリカでも仲間づくりに上手く成功されているようです。
コスタリカでも、ダイキン製品は人気がありました。
市場を獲得するルール形成戦略方法、是非、官公庁や他の日本企業にも伝授して頂きたいです。
https://newspicks.com/news/6650331/body/?ref=user_336510
支援をし、仲間をつくり、ルールを働きかけ、有利な展開にすることで、ブランド力も気づき、その後のマーケティング活動を加速させていく。
最近でいうと、電子契約とか、電子帳簿みたいな動きは、まさにこの流れに近いように思います。顧客便益を圧倒的に高めた実績をつくって、機運を逃さずそれをルールメイキングしていくというのが大事なのでしょうね。
各国の当局に働きかけ規制を変えることで、競合より高くてもエコな空調を売るーーそんなルール形成戦略は長年、国ごとの有識者の助言を集めるところからスタートしたといいます。
・マーケティングだけではないノンマーケティングの重要性
・売りきりではなく、アフターケア重視。
・人材育成とセットで考える
・戦略は半歩先
・重要人物は時に大ぼらを吹いても採りにく
など、参考になるメッセージがギッシリです。
特集を通じて、精神論的に「目の前の仕事を頑張る」ことだけが美徳なのでがなく、
今の仕事の延長戦上を超えたインパクトを考え、関係者に働きかけることの重要性を認識しました。最後までお読み頂き、ありがとうございました。
海外進出の際は、国ごとにルールづくりを働きかける活動「ノン・マーケティング」の重要性が非常に高いといいます。
まずはその国に対して積極的な貢献をし、現地の仲間をつくり、共にルール作りをしていくことで有利な展開にすることができる。その結果、ブランド力が高まり、その後のマーケティング活動も加速していく。
この見事な成功事例は、日本企業が今後グローバルに展開していく上で勇気やヒントを与えてくれますね。
規模は違えど、逆の立場のグローバル企業もしかりで、例えば海外の企業が日本に参入する場合、一遍通りの海外のやり方では、日本では全く通用しません。ダイキンのように政府と協力するほどの規模の商材でなくとも、賢いローカライゼーションされた戦略やマーケティングがないと、日本では成功できません。つまりグローカル(グローバルとローカライゼーションのミックス)が、成功の鍵。
そして、「コロナを理由にするな」というレジリエンス力は、説得力があり、ピンチをチャンスに変える大切さを痛感します。日本企業が、もっとグローバル展開する勇気とヒントを与えてくれますね。
世界が豊かになるとより快適な生活を求め、さらに温暖化が進んでいるから快適な空調が求められ、でも省エネも求められる。ダイキンはそれに対応する省エネエアコンを持ち、根幹技術を使って仲間づくりをしてきた。ルールメイキングではあるが、排他するためというより、仲間づくり。
もちろん、ビジネスの現実もあるから、お人好しでやっているわけではない。でも企業としてのDNAとして、「人を基軸に置く経営」をやってきて、社内外の人への接し方というか捉え方は影響していると思う。
昔、ダイキンをアナリストとしてカバーしていた時期があるのだが、下記のやり取りを見ていて、ダイキンっぽいなぁと思った。前述の「人を基軸に置く経営」をダイキン、特に中興の祖の井上氏が貫いてきた。話す方それぞれ活き活きしていて、大阪の商人感というか、ネアカだけど現実を直視している。
だからチャレンジをしたり業績が厳しいときでも、過度な楽観でもない一方で、頑張るぞという雰囲気もあり、好きだった。
『──2021年度は売上高2.9兆円と、前年度より4000億円以上も増える見通しです。コロナ禍で工場が止まり、半導体不足にも見舞われる中、いかにして販売を伸ばしたのですか。
2.9兆円なんて言わずに、3兆円と言ってください(笑)』
下記記事なども、是非併せて。
ダイキンを空調世界一に導いた現地法人の日本流合宿
https://newspicks.com/news/2702772
新卒100人に2年間「タダ飯」を食わせるダイキンの太っ腹人材育成
https://newspicks.com/news/3008357
【ダイキン会長】今の時代こそ「人が基軸の経営」が重要だ
https://newspicks.com/news/6061901
日本では「ほら吹き」扱いでも、他の国では「ビジョナリー」だとか、「ビッグシンカー(大きな構想を持つ人)」だと捉えられる。
・「キング・オブ・フェイリアー」
失敗してこそ学びがある。
・ルールを制するものが市場を制す
ルールの中で戦うのではなく、ルール自体をつくっていく
私の場合すべて教育に当てはめて読んでいました。パワーもらいました。