「働きがいがない」が投資撤退の引き金になる日
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働きがいを高めることは従業員、経営者、株主、社会のどの視点からも大切で、四方良しと考えています。
エンゲージメントが高まると、結果的に生産性が高まったり、従業員がストレスを感じにくかったり、離職率が低下したりと色々なエビデンスがあります。
最近は投資家から非財務指標の開示(中でも人的資本)の文脈でも、注目されていおり、非財務指標は未財務指標ともいえ、財務指標の先行指標になりえると思っています。
一方で、多くの企業が働きがいを高める重要性を理解しつつも、現在自分たちがどんな状態なのか、施策の結果はどう変化があったかの確認をせず、直接的に施策を打ってしまうことについては危惧しています。
エンゲージメントを高める栄養素にはロジックがあり、適応課題だからこそ、一人ひとりに合った施策を最終的には考えていく必要性があると思っています。
注目のコメント
企業価値=財務諸表に代表される財務指標+非財務指標で構成されていると考えます。
「働きがい」に限らず、企業価値を構成する非財務指標を可視化していくことは、企業の本質的な価値やフェアバリュー(適正価値)を議論していく上で有用です。財務諸表は発行体と投資家との対話において共通言語となっていますが、財務諸表に反映されるのは基本的には企業活動の結果です。一方で、人的資本などの非財務指標は財務諸表の先行指標になりえますが、定量的な可視化や共通言語はまだ確立されていないため、分析と事例の蓄積が必要です。
私がIRでお会いする投資家の中には、各社の離職率や労働分配率の分析に加えて、CFOやIR担当者の表情なども見ていると聞くこともあります。IR担当者が頻繁に代わる会社は業績も株価も上昇しないのでその会社の株は購入しないとおっしゃっていました。グローバル投資ファンドが、働きがいを何かしらの指標で分析したいというニーズと同様ですね。それを終身雇用と呼ぶかどうかは別として、基本的には会社も労働者もbuy & holdしたいはず。転職活動はかったるいし、一から人間関係作り直すのもかなりしんどいから。企業も採用の諸々のコストを考えたらそりゃ長く働いてもらいたい。
人間関係とか給料とかどうしても我慢できないならロスカットするしかない。ただ転職の経験上、転職者を受け入れる会社は転職元とさしたる違いがないケースが多い。隣の芝生は青く見えるもの。悩みの質がただ変わるだけ。とりわけ、人間関係で苦手だったAさんがBさんにただ変わるだけなんかなと思っている。
転職先は「幸福度」という極めて曖昧模糊とした相対的な価値基準ではなく、定着率で選ぶべきなのではないかと思う。まあ多くの人が残ることを選んだ会社、ということ。自分にもフィットする可能性が高いのかなと。
ただ難点は、定着率の高い会社は頻繁に募集などかけない。
頻繁に募集をかけている会社はつまり、「そういう会社である」というシグナルを発出しているケースが少なくないのが、非常な難点・ディレンマ。
どうせ給料が劇的に上がることなんてほぼほぼないのだから、せめて働き方の柔軟性は欲しい。トータルリワード。
「米バンクレートが21年夏実施した調査でも55%が1年以内の転職を検討しており、新しい職場に求めるものは「働き方の柔軟性」(56%)が最も多かった。」ESGのSって守備範囲が広いんですが、働きがいといった社員のエンゲージメント関連の施策は大きいと思います。
ESG関連の定性的な情報は財務情報とは違って「非財務情報」と呼ばれていますが、いずれ財務情報になるという意味では「未財務情報」と呼ぶのが適切とさえ思います。