シンガポール中銀、予想外に金融政策引き締め インフレリスク対応
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ややテクニカルですが、ロイターさんが正確に報道しておられるように、シンガポールの政策操作目標は金利ではなく為替レート(名目実効為替レート)ですので、金利に比べ、よりダイレクトに他国に影響する面があります。
もちろん、こうした政策運営は開放小国だからできることですし、通常の政策スケジュールを離れてでも臨機応変にインフレ圧力に対処されようとしたメノン長官のご尽力に敬意を表したいと思います。それでも、やはり他国、とりわけアジア新興国の政策への影響は注目点と思います。シンガポールのインフレ率(消費者物価指数前年同月比伸び率)はこちら。21年10月より3ヶ月連続で3%超、かつ12月には4%に達しました。
https://tradingeconomics.com/singapore/inflation-cpi
こちらが現地紙報道。流石に詳しく書いてあります。通貨高誘導による輸入インフレの抑制。外国からの輸入に頼らざるを得ない経済ですから、ここを放置しておくことは危険なポイントです。
https://www.straitstimes.com/business/economy/mas-surprise-policy-move-seen-as-attempt-to-manage-inflation-expectations-defend-purchasing-power
今後のGST等の税の引き上げのスケジュール、かつ、コロナからの経済回復を考えると、早晩のタイミングの金融引き締めではありました。米国に加えて、英国やノルウェーも既に利上げに舵を切っています。インフレは世界規模で起きているので各国とも金利政策の運営が鍵となっています。オミクロンにより景気が回復しない中で先進国の利上げだけが進むと、途上国の通貨安や現地通貨建て債務・利払いの拡大を招くことが懸念です(観光業などの産業を主な産業とする国が特に心配です)。
日本については国内でも物価は上昇していますが、円安基調となってしまうと輸入インフレが加速する可能性もあります。