「脱原発」の見直しを進める欧州と孤立する環境原理主義のドイツ 安定のメルケル政権後、欧州内外で迷走する新政権の“構造問題”
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ドイツの三党連立政権は、発足して僅か1ヶ月でヨーロッパ内外に不協和音を生んでいます。
環境政党である同盟90/緑の党は、環境政策と外交政策でポストを得た結果、環境政策については汎欧州的な脱・脱原発に抗い、今年末までの脱原発の完遂に固執します。外交政策についても、これまでEUで一種のバランサーであったドイツが、緑の党の下で反中・反露に振り切れてしまい、逆にEU執行部と溝が出来かねない状況です。
翻り、もう一つのパートナーである自由民主党は財政政策のポストを得ましたが、健全財政を推し進めるべきと主張しており、フランスを中心とする財政拡張派との間で温度差が生まれています。
結局、信号連立を組んだことで、各党の原理主義が交錯してしまい、それがマイナスのベクトルを発しているという理解です。
予め想定されていたこととはいえ、ショルツ首相が上手く手綱を裁かなければ、政権の瓦解は早そうですし、ヨーロッパ内外との温度差も益々酷くなる一方だと懸念されます。正に連立政権の罠にはまっているということですね。各党のアイデンティティーを譲らない限り、ぶれまくるのは自明です。そして、アイデンティティーは絶対変えないでしょう。正に「構造問題」。
どのように修正していくのだろうか。ポストメルケルは世界に対する影響度合いもマグニチュード級だと危惧します。注目していきたいと思います。