コインハイブ事件の有罪判決、破棄自判で「無罪」に 最高裁
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注目のコメント
本当に良かったです。
今回罪に問われたのは「不正指令電磁的記録保管の罪」(いわゆるウイルス罪)なのですが、2つの論点がありました。「意図に反する」(反意図性)と「不正な操作」(不正性)です。そして問題になったのは後者です。
各裁判所の判断は以下のとおりです。
①横浜地裁:「反意図性」◯、「不正性」✕
②東京高裁:「反意図性」◯、「不正性」◯
③最高裁 :「反意図性」◯、「不正性」✕
不正性について、横浜地裁は、「男性がサイトに設置したコインハイブが社会的に許容されていなかったと断定することはできない」としていました。
この記事にあるように最高裁も、”ウェブサイトの運営者が閲覧を通じて利益を得る仕組みは「ウェブサイトによる情報の流通にとって重要」とし、「広告表示と比較しても影響に有意な差異は認められず、社会的に許容し得る範囲内」と述べ、「プログラムコードの反意図性は認められるが不正性は認められないため、不正指令電磁的記録とは認められない」”としました。
弁護人が特に強調していたのは、他人のWebサイトを細工・改ざんしてマイニングを行うこと(クリプトジャッキング)と、自分のWebサイトにJavaScriptを設置してマイニングをすることは違う(今回は後者である)という点でした。しかし、検察官の主張はどうやら後者もクリプトジャッキングであるという主張のように思えます。
正直、不正性を認めるには①社会的議論が進んでいなかったこと、②自分のサイト上でしていたこと、③取得した利益の大きさなどから、あまりにも厳しいものではないかと思っていたので、ホッとしています。有罪になったら本当に終わりみたいな案件だし、裁判費用の寄付にも参加していたので、本当に良かった。
……と思ったけど、コメントには有罪を望んでいた人もいそうな。ちょっとびっくり。
Coinhiveが広告なしのネット社会の希望になるか、って言ったら、全くそうは思わないし、正直Coinhiveの使える/使えないに関してはネット社会に影響は与えないと思う。広告と比べて利益が2,3桁下がるので。
ただ、現在のネット社会においても、Javascriptで裏で動いているプログラムというのは無数にあるので、これが有罪になると境界がかなり曖昧になりそうで、プログラマとしては物凄く困る案件だった。「反意図性」はほぼ全てのサイトに存在するとして、ここに「不正性」が認められてしまうと、どこから不正になるかがとても難しいので……。10万円の罰金事件で、最高裁まで争うことは容易ではなかったと思います。
高裁判決は、インターネットの実情への理解が乏しいものでした。仮に、ご本人が高裁判決であきらめてしまっていれば、その高裁判決の内容が確定して先例化してしまうところでした。
最高裁まで争い続けたご本人、そして弁護人に敬意を表したいです。