[ロンドン 18日 ロイター] - 英国の被雇用者数は2021年12月に前月比18万4000人増加し、過去最大の伸びを記録、求人数も記録を更新した。活況な雇用状況を示したが、急速な物価上昇の影響も鮮明となった。

英国では昨年12月に新型コロナウイルスのオミクロン株による感染が急拡大したものの、労働市場への影響は軽微だったことが判明。イングランド銀行(英中央銀行)が来月にも追加利上げを決定する公算が大きくなった。

英国立統計局(ONS)が18日発表した統計によると、9─11月の失業率(ILO方式)は4.1%に改善し2020年6月以来の低水準となった。ロイターがまとめたエコノミスト予想は横ばいの4.2%だった。

スナク財務相は「統計は雇用市場が活況だという証拠だ」と述べた。

英中銀は、先月、パンデミックが始まって以降初めての利上げに踏み切った際、中期的な労働力不足と賃金圧力の可能性を主な理由に挙げていた。

INGのエコノミスト、ジェームズ・スミス氏は「総合インフレ率の上昇に加え、オミクロン株感染拡大の影響が軽微だったことを踏まえると、英中銀が2月に利上げに踏み切る公算は大きい」と指摘。金融市場は2月3日に追加利上げする確率が80%以上とみている。

英国ではオミクロン株の大流行で隔離などのために大量の欠勤者が出たり、対面業務のあるセクターの需要が急減したが、エコノミストの大半は、こうした悪影響は短期的とみている。

9─11月の平均賃金は前年比4.2%上昇、求人数は124万7000人と過去最高だった。

ONSは、2021年の賃金の伸びを大きくした一時的要因は大方剥落したとの見解を示した。

名目ベースの賃金の伸び率は、パンデミック前の2─3%を大幅に上回った。生産性の伸びが弱いことから、英中銀にとっては潜在的なインフレ懸念材料となる。

ただし、賃金の伸びは物価の大幅上昇が打ち消す。インフレ調整後のボーナスを除く9─11月の賃金の伸びは横ばいで、2020年7月以降で最も弱い結果となった。

パンテオン・マクロエコノミクスのサミュエル・トゥーム氏は「従業員引き止めのために賃金を大幅に上げる企業はごくわずかのようだ」と述べた。同氏は2022年の賃金上昇率を3.5%と予想。5%近くと予想するインフレ率を大幅に下回るとみている。