[ロンドン 13日 ロイター] - 新型コロナウイルスのオミクロン株による感染急拡大に見舞われた英国で、年末年始に感染に関連して仕事を休んだ人の割合が過去最大となり、年明け以降も飲食店などの予約件数の減少が続いたものの、エコノミストの間では、感染拡大の波がすでにピークを付けたことで英経済は近く上向くとの見方が出ている。

英国立統計局(ONS)によると昨年12月下旬に新型コロナ感染による症状、もしくは感染者との接触による隔離義務で仕事を休んだ労働者の割合は民間部門で2.7%と、集計開始以来最大となった。業態別では宿泊・外食業で5.5%、他のサービス業で6.7%だった。

ただINGの英国担当エコノミスト、ジェームズ・スミス氏は「オミクロン株による感染拡大が始まった際、衝撃はそれほど大きくならないと考えたが、データの多様な面を分析した結果、こうした見方を変えていない」と指摘。英経済は昨年12月から今年1月にかけて0.5%の縮小が見込まれるものの、今年第1・四半期は0.1─0.2%のプラス成長を確保できるとの見方を示した。

パンテオン・マクロエコノミクスは11日、新型コロナ感染者数が減少し、1月末にイングランドで感染拡大抑制策が緩和されるとの見通しを踏まえ、第1・四半期の成長率見通しをプラス0.2%とし、従来のゼロ成長から上方修正した。

オミクロン株による感染拡大を受け、外食・宿泊業では書き入れ時の12月に予約のキャンセルが相次いだ。一方、小売売上高は12月終盤に予想を上回ったほか、巣ごもり需要でスーパーマーケットの売り上げも増加。INGのスミス氏は、オミクロン株による感染拡大が収束しつつあることで、50%の確率でイングランド銀行(英中央銀行)は来月の金融政策委員会で追加利上げを決定するとの見方を示している。

英中銀は昨年12月、主要中銀として初めて利上げに踏み切り、政策金利を0.1%から0.25%に引き上げた。市場では政策金利は8月までに1%に引き上げられるとの見方も出ているが、スミス氏はこれに懐疑的な見方を示し、エネルギー価格の上昇が止まり、中古車価格が低下に転じれば、英国のインフレ率は2022年終盤から3年にかけて大きく低下するとの予想を示した。