2022/1/11

【岡田陽介】AIは、魔法から「幻滅期」に。これから重要なこと

NewsPicks 編集部 記者・編集者
2021年は、人工知能(AI)に対する疑問が大きく湧き上がった最初の一年だったのかもしれない。
象徴的なのは、メタ社(旧フェイスブック)が、FacebookやInstagram上におけるアルゴリズムを適切に監督できていなかったという問題だ。
内部告発した元従業員は、メタ社のアルゴリズムが、利用者より利益優先にしているとし、それが未成年の精神的健康に悪影響を及ぼしているだけでなく、世界各地で社会の分断や紛争を招いていると訴えた。
2021年10月5日、内部告発したフェイスブック元従業員が公聴会で証言(写真:AP/アフロ)
2022年、私たち、そして企業は、AIとどう向き合っていけばよいのか──。
日本ディープラーニング協会(JDLA)で理事、人工知能(AI)を開発するスタートアップ、ABEJA(アベジャ)で代表取締役CEOを務める岡田陽介氏が解説する。
INDEX
  • AIは「幻滅期」に入った
  • それでもAIは進化している
  • 本当のDXはビジネスモデルも変える
  • 2022年は「AIの暴走」も
  • リベラルアーツが重要になる
  • 「難しい問題」と認め、考え続ける

AIは「幻滅期」に入った

AIに関して、この10年を振り返ると、私がABEJAを創業した2012年からの2〜3年は、まさに「闇の時代」でした。
2012〜15年ぐらいまでは、「AIってうさんくさい」とか「そもそもディープラーニング(深層学習)って何?」など、疑問を持たれていた時期でした。
2016年ごろから、東京大学の松尾豊教授がAIの啓蒙に尽力したこともあり、AIの認知も進み、急激にAIブームが到来することになりました。
多くの企業がAIが重要だと感じ始めた一方で、2016〜17年頃は「AI=魔法の杖」と思われるまでに期待が高まりました。
そして、2018年頃は、AIを実際に運用させていくプロセスに入り、「AI運用元年」になりました。