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近年は、アメリカで研究が進む「ニュース砂漠」(新聞が発行されなくなり、ニュースメディアが枯渇する地域)が日本でも広がるのではないかという指摘が出るようになりました。
ただ、僕はこれに異を唱えます。新聞社で東京、京都、兵庫、福岡で勤務し、アメリカやアジア諸国での経験も踏まえて言えば、日本には昔からニュース砂漠が広がっています。
アメリカで問題視されているニュース砂漠とは、全米で3000を超える郡レベルでのローカル新聞が消えていることです。これは日本で言えば市町村レベルの大きさの自治体での話です。では、日本の1700自治体の一体いくつにその自治体の選挙や行政について日常的に情報発信をするニュースメディアが存在するでしょう?
僕の知る限り、人口10万人に満たない市町村で、その市町村の選挙に関して候補者情報などを十分に提供し、社会課題について報じているメディアはほとんどないのではないでしょうか?
アメリカのニュース砂漠問題を「これから来る危機」と捉えるのは間違いで、日本においてはニュース砂漠が広大に広がっており、そのことが放置されてきたというのが実情だと考えています。
このあたりの事情は、下山進さんの好著『2050年のメディア』に詳しいです。手っ取り早く知るには、高橋洋一さんが現代ビジネスで何度も書いている記事が参考になります。この手の批判記事を書くとき、高橋さんは本当にイキイキとされていますね……。https://gendai.ismedia.jp/articles/-/80030
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新聞は、(1)日刊新聞紙法、(2)価格カルテル、(3)消費税軽減税率、(4)国有地低廉売却だ。
(1)で新聞の株式には譲渡制限があり、(2)で新聞は独禁法の再販規制で実質的な価格カルテルが認められ、(3)で消費税の軽減税率を受け、(4)で過去に国有地を低廉で譲り受け、それが今日の不動産収入の礎になっている。
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新聞の部数減の記事はよく読まれるのですが、それだけ関心が高いことの裏返しだと思います。ニュースへの関心は、薄まるどころか、ネット時代により高まっているはずです。問題は、それを支えるビジネスモデルが崩壊しつつあることです。
日刊新聞紙法のような法律は、すぐに廃止するべきと思いますが、不思議なことに新聞業界から「廃止せよ」という主張が出てきたことはありません。念のため、「日刊新聞紙法」で日経テレコンで記事検索しましたが、この法律に触れた全国紙、地方紙の記事は過去5年でゼロです。衰退産業とされながら、構造改革は議論しない。その欺瞞が、「マスゴミ」という言葉の淵源のひとつと感じます。
附言すれば、構造改革に前向きな新聞社はいくつもあります。しかし、法律がそれを阻んでいる。業界もそれをよしとしない。そしてすべての新聞社は強烈な成功体験をもっています。過去を否定し、未来に賭ける。それが極めて難しいのは、「イノベーションのジレンマ」で指摘されたとおりです。
何故なら意図せざる発見があるからです。これはアルゴリズムで上がってくるような「おすすめ」や「候補」とは全く異なります。養豚の業界紙が、下水道の業界紙があるのか!そんな発見でも良いと思います。
本来なら、学識経験者ほど警鐘を鳴らすべきPV主義に与する昨今、紙の意味もあると思っています。
私は日経新聞を何十年も購読しているのですが、最近とみに広告ページが増えたような気がします。
部数の減少を広告費で埋め合わせしようとしているのかもしれませんが、これでは悪循環です。
新聞は一覧性があり、自分が普段関心を持っていない分野のニュースも自然に目に飛び込んできます。
ネットのターゲットニュースばかりだと視野が狭くなるので、多くのメリットがあると思うのですが…内容が劣化するのは困ります。
個人的にも、ここ数年はメディア所属のジャーナリストによる「調査報道(investigative journalism)」に力がはいっているなと感じる一方、調査報道ジャーナリストを抱える上位メディアではお金を払わないと記事が読めないケースがどんどん増え、仕方なくサブスク契約をするようになりました。逆にいうと、今や有料にしても読む人がそれなりに増えたということだと思います。
展示会などで自分もメディアパスを取って取材の真似事をする身として、本業のジャーナリストとの違いを痛感しています。最近でいえばセラノスの詐欺事件を暴いたウォールストリートジャーナルの記者のような、フルタイムで調査報道をやっていて、しかも何かあっても会社が守ってくれる(実際、セラノスでは記者自身も会社も脅迫されました)立場でないと、ああいう記事は書けません。誰も守ってくれないフリーランスや片手間のブロガーでは絶対に無理です。
日本でそこまで覚悟をもって調査報道をやる姿勢を持っているのは、私が知る限りでは文春ぐらいですが、他の「新聞社」はやっているのでしょうか?紙で読むかモバイルで読むかなどはどうでもよい。商売としても、もはや広告モデルはオワコンで、サブスクが本流。他の人たちではできない、調査報道コンテンツで勝負できる、本来のジャーナリズムの役割をきちんと新聞が果たしていれば、アメリカより市場はとても小さいですが、それでも日本ほどの識字人口があれば、サブスクで商売ができるはず。そのために必要なら、M&Aでロールアップして、競争を減らして優秀な人材を集中させることもやるべきでしょう。
下山進氏の2050年のメディアに詳しく、昔の販売方法、ヤフーの登場や日経のデジタルシフト、その中での販売店との関係含めた構造改革の難しさ。
一方でユーザーには関係なく、時間が有限ななかで、ネットでヤフーやTwitterなどで情報を摂取する時間が増えている。
2050年のメディア
https://amzn.to/321WjjG
では持続するのか?個人的にはメディアの形は変わり、新聞という物理性(紙・販売店)を伴った形ではなく、もっとライトな信頼できる個人のメディアが広がっていくと思っている(特に地方紙領域)。
ニュース・情報は、何らか根源的な価値があるから、これだけ社会に広がってきた。フェイクニュースなどが話題になり、また総発信時代のなかでは情報過多になってきていると思う。音楽とかでも無料のNP3から金額が小さければ個別買いや定額制となっていったように、そういった形による「小さいマネタイズ」が増えていくと思う。
全国紙的な部分は、販売店との関係性が難しいが、そこの構造改革を早くやるメディアが出てくるか、もしくは最後はヤフーなどが自社でもっとやっていくか?
ただ、現在の苦境は、昔の経済価値の大部分が、情報価値に依拠したものではなく物理的な顧客接点(また販売店を通じたそれの組織化)に依拠したもので、現在それが構造改革を難しくているという現実を如実に表現していると自分は感じる。
https://newspicks.com/news/6525827
この差こそが、紙媒体の存在価値なのですが、ここが何なのか、ということについてあまり深められていないのかもしれません。でも、その部分に何か新聞の価値があるようにも思ったりします。
私はラジオもよく聞くのですけれど、ラジオを聞いていて良いと思うのは、自分が興味がないこと、興味がない人の話が聞けることです。インターネットはフィルターバブルの世界ですが、それを超えてきてくれるハードウェアとしての紙媒体の威力はありますし、ラジオなども同じような働きがあります。
そういえば、ラジオは最近復権しているようなのですが、もしかするとこの復権と新聞の生き残りには関連があるのかもしれないとふと思いました。
メディア業界人的には三紙でも少ないのかもしれません。
とはいえ、ニュース報道にかかわらなければ、新聞を読まない人はメディア界隈でももはやめずらしくないでしょう。
いわゆる「ニュース」を新聞で初めて知るというケースは減り、どんなニュースが大きく取り上げられているかという見方や報道のされ方の「確認」が増えたかもしれません。
また、おもしろさを感じるのは「人生案内」だったり、「私の履歴書」といった報道ではないものだったりします。