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元になった論文はこちら。現在は未査読の状況で、今後内容が修正される可能性があります。
https://secureservercdn.net/50.62.198.70/1mx.c5c.myftpupload.com/wp-content/uploads/2021/12/MEDRXIV-2021-268439v1-Sigal_corr.pdf

オミクロン株に感染した患者で、デルタ株に対する中和抗体が上昇していたことから、一旦オミクロンに感染すると従来のデルタ株に対する免疫も誘導されるのでは、という点が研究で述べられています。爆発的な感染力があるオミクロン株が流行すればデルタ株が淘汰される可能性を示唆しており、どちらかというとポジティブな研究結果と言えます。
新型コロナウイルスで度々見られていたように感染力の強い変異株が現れるとそれ以前に流行していた株は感染力のより強い株にに置き換わることが事実として確認されていますが、その原因が「従来株に対する免疫誘導」だとする考察はひょっとすると議論を呼ぶかもしれません(専門家が考えることではありますが)。

仮に「従来株に対する免疫誘導」だとすると、移行状態の時には一時的に複数種の株に感染する状態が発見されていても不思議ではないことや、デルタ株に感染しながらオミクロン株に移行感染する事例の存在があることなど、オミクロン株に対する免疫誘導よりも先に他の株の免疫が優先的に作動することの説明が必要だと思うのですが・・・

このあたりが解決されているのであれば、原文通りの説明力は高いと思います。査読前の論文での作用機序の説明がそのまま同僚研究者の査読(ピアレビュー)に通るかは別として、事実としてこのような成果が出ていることの意義は大きく、今後の解明に役立有意義な研究だと感じます。

なお余談ですが、(ウイルスではありませんが)細菌を殺す医薬品の作用機序として、カビや細菌が出す他の細菌の抑制物質の存在が広範囲に知られています。このような物質は多種発見され、それぞれに種類の異なる抗生物質として商品化されています。

細菌の場合は当論文とは違うメカニズムですが、機序の解明は医薬品の開発(抗生物質)に結び付きました。

最初の抗生物質として商品化された「ペニシリン」のケースは特に有名です。ブドウ球菌を培養中していた培地にカビの胞子が落ちたところを観察したところ、カビの周りのブドウ球菌が死滅したことが分かったもので、アオカビは自身の増殖のために物質を出して他の生物(菌)の発育を抑制していたことが発見され、この物質が後に「ペニシリン」として開発され(1928年)、非常に多くの方の命を感染症から救いました。発見者のフレミング氏はノーベル生理学医学賞受賞を受賞(1945年)しています。医薬品に関係している人ならだれでも知っている有名なエピソードです。なお、ウイルスと細菌は働きが全く異なるため、抗生物質はウイルスに全く効果を示しません。
言い換えると、オミクロン用のワクチンを作ってもオミクロンには効かずに、変異前のウイルスにしか効果ない可能性も。いわゆる免疫原罪という可能性。