オミクロン株、デルタ株より入院に至るリスク低い=南ア研究
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記事に出ている南アフリカ地域データは実際の臨床成績に基づくもので、これまで言われていたオミクロン株の病毒性が低いことと一致していますが、特に重症化リスクは30%しか低くなく、感染が一斉に拡大した時には、医療システムを麻痺させることから、社会に対してかなり危険な状態を引き起こすことが伺えます。ただし、正確な解釈には以下の内容を読み解く必要があります。
デルタ株の感染者データ(2021年4-11月)とオミクロン株の感染者データ(2021年10-11月)の時期の違いは、ワクチン接種率の違い(それでも2021年12月直近のデータでも南アフリカは30%程度)や治療技術の向上といった背景が違うため、書かれている成績の差よりも「背景を揃えた」場合の「デルタ株とのリスク差は小さい(リスクの絶対値が大きい方向)」と考えてよいと思います。
また別の報道で、オミクロン株で「死亡に至る割合が極めて少ない」と伝えられていることから推察すると、両者は「重症化」の中でも「死に近い状態(重篤)」に至る割合の数字については大きな差があるのではないかとの想像しますが、これは記事に書かれていません。
「前提(時期、評価指標のより細かな判定)が異なることにより、入院リスク、重症化リスクの数字により単純比較することはできない」ということになりますが、特に重症化リスクは30%しか低くなく(記事にはありませんが、データの連続性から推測すると前者「入院からの重症化移行リスクの比較」だと思われます)、感染が一斉に拡大した時には、医療システムを麻痺させることから、社会に対してかなり危険な状態を引き起こすことが伺えます。
オミクロン株の特性(特に感染力に関する内容)を別記事でまとめています。
「『市中感染想定し対応を』オミクロン株感染力『推計4倍』―厚労省助言組織」(時事ドットコム 2021年12月17日)
https://newspicks.com/news/6470070?ref=user_1310166日本での報道もすぐに出ると思いますが、英国内でのデータに基づく初めての評価が出てきました。
Risk of hospital stay 40% lower with Omicron than Delta, UK data suggests
https://www.theguardian.com/world/2021/dec/22/risk-of-hospital-stay-40-lower-with-omicron-than-delta-uk-data-suggests
(追記) オミクロン株、デルタ株より入院リスク40─45%低い=英研究
https://newspicks.com/news/6493995
評価はオミクロン株感染者の入院率はデルタ株と比較して「そこそこ低い」というもの。ただ感染の拡大も速いことなどから来月のピーク時に入院が一日3000人という従来の予測をあまり変えるものではないそうです。
また症例が若い年齢に偏るなど高齢者も含めたより多くのデータが必要なため重症化率や死亡率の評価はまだですが、よりリスクが低くなる可能性はあるそうです。そろそろしっかりとした分析結果が示されてもいいと思うのですが。リスクが低そうなのは各国の状況を見てもそう感じます。このまま風邪のような病気になってくれれば安心なのですが。日本でも正確な報道がなされることを期待します。