1000人近くが有罪判決 不法残留外国人調査公表へ
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不法残留外国人は、近年増え続けていましたが、2020年は、コロナ禍のせいでしょうが、増えませんでした。
8万3千人いるとされる不法残留者ですが(ただし、最初から密入国していたり、日本で生まれて出生届の出されていない外国人などは、把握されていないでしょう)、どういう経緯で不法残留になるかというと、6割は短期滞在のビザで入って滞在し続けたケースです。
つまり、観光ビザで入国して、そのまま不法就労するなどして、日本に住み続けている外国人、が5万人くらいいます。
この記事の最初でいわれている「不法残留外国人のうち1000人近くが有罪判決を受けた」というのは、オーバーステイだけでも有罪にはなりますが、「摘発されて退去命令を受けたのに出国しなかった外国人が3100人いて、その中の1000人は刑事裁判でも有罪判決を受けている」という意味でしょう。
強制退去命令を受けたのになぜ出国していないのか、ですが、1つには彼らが難民申請をしているからです。入管法には難民申請者の「送還停止効」というのがあり、難民申請中は強制送還はできないことになっています。難民申請をしていれば、多くは仮放免となり、日本滞在を続けられます。
今、こういう数字がメディアに流されているのは、政府が入管法を改正しようとしているからでしょう。この改正は、強制退去命令を拒否することを、刑事罰の対象とするものです。強制退去命令を拒否すれば実刑を受ける、ということになれば、拒否する外国人は減るであろう、という見込みに基づく改正です。
本邦における不法残留者数について(令和3年1月1日現在)
https://www.moj.go.jp/isa/publications/press/13_00013.html
送還拒否の3分の1に前科 改正法再提出へ
https://www.sankei.com/article/20211129-EFJUBVDLUBK5BBSPABDZHC2O5Y/記事にもある「国内で不法に残留している外国人」は「非正規滞在」、英語では”Undocumented”とも表記され、外国人が何かの理由で在留資格が無い状態に陥った状態を表す言葉です。
例えば、出稼ぎにきた親が在留資格がないタイミングに出産し、生まれてこのかた在留資格がない子どももいます。
技能実習生が劣悪な環境職場を変えることが許されず逃げ出しオーバーステイということもあります。
命の危険がある祖国を後にし日本に辿り着き、空港から送られた収容施設で難民申請した後に仮放免という状態で数年後待っている人もいます。
「不法」という用語から犯罪等が想像されるかもしれませんが、他者を傷つけるなどの犯罪をした人が「不法滞在者」と呼ばれるのではありません。
非正規滞在の人数は、1990年代前半の30万人弱をピークに減少しています。その少し前、バブルの日本は人手不足の労働市場でした。
日本には人口減少と労働力不足の中で、外国人労働者を呼び込み活用しようという文脈がありますが、外国人や移民の全体母数が多くなれば、もちろん非正規滞在の人数も増えます。
在留資格やルートの拡大は、何らかの理由で在留資格を更新できなくなっても残りたいと思う人の人数も連動して増えるということだからです。
人はそれぞれの正義の中で、線の引き方を持っています。
それは恣意的だし、自らのイデオロギーや経験にも左右される。
同じ人の境界線も場合によって変わりうる。
それぞれの中で引かれる線引きは、非常にあやふやなものなのです。
短い報道でその人に怒りを覚えるかもしれないし、背景に同情したら「それなら仕方ない」と思うかもしれない。
だから、一律に線引きをするため社会に”制度”が存在します。
誰までをワクチンの対象にし、誰までがハローワークの就労支援を受けられ、誰までが在留特別許可を得られ、誰までが保険を使え、誰までに参政権を与え、誰までが「日本人」になれるか。
制度は人と人の間に明確な線を引くことができます。
と同時に、権力側が引く線は非常に暴力的になることもあります。
どんな制度にも「制度の狭間に落っこちる人」の存在があることを、私たちはコロナ禍でより目にしました。
この調査の実態は、単に感情的ににゼノファビアを増強させるものにせず、社会全体で共有し考える材料にできたらいいのではと思います。自分も外国人ですが、犯罪を犯した外国人の人が日本に居座ることによって、真面目に生活している人たちにまで「これだから外国人は〜」の世論が向けられてしまう。すごく迷惑です。
厳しく残留資格のカテゴリーを精査してもらい、犯罪を犯した人は送還するべきだと思います。