[シドニー 16日 ロイター] - 豪連邦統計局が16日発表した11月の雇用統計は、就業者数が前月比36万6100人増と過去最大の伸びを記録し、市場予想(20万5000人増)を大幅に上回った。ロックダウン(都市封鎖)の解除や小売部門のほぼ全面的な営業再開が寄与した。

失業率は前月の5.2%から4.6%に急低下。市場予想の5.0%も下回った。景気見通しの改善につながるとみられる。

オーストラリア準備銀行(RBA)のロウ総裁は16日の講演で、予想よりも速いペースで景気が回復した場合、債券買い入れプログラムを早期に終了する可能性を示唆した。

今回の雇用統計はこの基準を満たしたとみられる。

統計では労働時間も4.5%急増し、力強い景気回復を示した。

求職者が増え、労働参加率は66.1%に上昇、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)前のピーク水準に近づいた。

中銀は来年半ばまで失業率は4.5%に達しないと予想していたが、この見通しも修正が必要になるとみられる。

キャピタル・エコノミクスのシニアエコノミスト、マルセル・ティエリアント氏は「労働市場はロックダウンからほぼ回復したと言っていいだろう」と述べ、こうした目覚ましい回復は中銀が来年2月に資産買い入れを完全に終了する可能性を示唆していると指摘した。

資産買い入れの早期終了は、同様のプログラムの3月終了を見込む米連邦準備理事会(FRB)に追随する動きとなるが、豪中銀は利上げについて来年に実施する可能性は低いとしている。

ロウ総裁は16日、豪国内のインフレ率や賃金の伸びは依然として米国を下回っており抑制されているとし、利上げを急がない姿勢を示した。

だが、市場では来年6月までの0.25%への利上げが完全に織り込まれているほか、来年末にかけて予想される金利は1.0%に近づいている。

適切な人材が不足しているとの企業からの声も高まっている。