[ジュネーブ 10日 ロイター] - 中国の李成鋼・世界貿易機関(WTO)大使は10日、中国はWTOで「発展途上」国にとどまるものの、多くの恩恵を諦めることになるだろうと述べた。貿易相手国にとって重要な変化を示唆した格好だ。

WTO加盟から20年を迎えた中国は、この間に顕著な経済成長を果たした。貿易相手国は、中国が豊かになるにつれて途上国として扱われることを批判し、貧困国のための優遇措置を受けるのは不公平だと訴えている。

李大使はロイターとのインタビューで、力強い成長にもかかわらず、中国は残る貧困のために自国を発展途上国と依然見なしていると説明。しかし、農業や金融サービスなど「少数の分野に限って」の優遇措置を求めると述べた。

「われわれはSDT(特別かつ差別化された待遇)の白紙委任状を求めることはない。われわれのニーズを慎重に評価する」と指摘。また、世界の魚種資源を増やすための漁業補助金削減に向けた主要交渉において、漁業大国である中国はそうした適用除外を全て諦める可能性があるとした。

中国がいつ、どのような状況になればWTOルール上、自国を発展途上国と全く見なさなくなるのかについては言及を避けた。

米国、オーストラリア、日本を含むWTO加盟国は10月の貿易レビューで、国有企業への補助金に言及し、これらが2001年のWTO加盟条件に違反しているとして中国を批判した。

一方、李大使は関税率の引き下げやサービス分野の開放を挙げ、加盟基準のいくつかを上回っているとして中国の対応を擁護した。

また、「批判に対してはオープンマインドで臨むが、それは合理的で建設的なものであるべきだ」と述べた。