英、ワクチン追加接種加速へ オミクロンの「高波」警戒
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注目のコメント
ブースター接種がオミクロン株に対してどれほど有効かについてはまだ十分なデータは出揃っていませんが、これまでのところ比較的有望な結果が出ていると言えます。
例えば、イギリスの政府機関は、ファイザーのワクチンのデルタ株 約5万例とオミクロン株 約500例に対する実際の発症予防効果について検証したデータを発表しました。オミクロン株に対するワクチンの効果はデルタ株よりもさらに落ちてしまっている一方、ブースター接種によって発症予防効果は80%近くにまで高まっています。(ただし患者数が少ないことから今後さらなるデータ蓄積が必要です)
https://assets.publishing.service.gov.uk/government/uploads/system/uploads/attachment_data/file/1040076/Technical_Briefing_31.pdf英国が感染者の増加で大変との報道です。オミクロン株への対策が急がれるとしています。オミクロン株は従来の新型コロナウイルスと比べ、遺伝子配列の変異部位が極端に多かったことから、「これまでの新型コロナウイルスとは大きく異なる性質を有する可能性」とこれまでの新型コロナウイルスと比べても「異様なまでの感染力があった」「ワクチン接種者が容易に感染している(既存ワクチンで免疫が得られにくい可能性)」という事実から非常に警戒されていた経緯をもちます。
病毒性についてはもともと不明で、万が一にもこれが高かった場合はとんでもない事態を引き起こすことから、各国とも「危機管理」の意味で非常に強い感染防止策がとられています。
これまでWHOのほか、米国(主席医務官)、EUのコメントでは、現在までのところ「オミクロン株の重症化傾向はデルタ株ほどは高くない(半分程度)」と伝えていますが、本日の報道にもあるように重症度が確定していない状態なので、最悪の事態を想定して備えていることは理解できます。
今後2週間程度、実際に治療が必要な患者数および重症化する患者数の増加がなされないことの確認によって、「オミクロン株に対する警戒ランク」は各国の判断で、もし何もなければ下げられる方向に動くと思います。一方、英国のようにこれにより病床が逼迫したなら重症化しにくい場合でも下がらないと思います。各国にはブレーキとアクセルをタイムリーに操作することが求められると思います。
オミクロン株の変異部位が多いことにより従来のワクチンの効果が減弱していることは強く示唆されているようですので、今後オミクロン株を基準とし(非常に強い感染力を維持しながら)さらなる変異で強い毒性も獲得した変異が起こった場合への対応策との位置づけとして、オミクロン株の変異に対応するワクチン開発は継続されると思います。
コメントの根拠となる臨床データおよび臨床検査値の変化に関する報道は以下のリンクおよびリンク内のリンクに引用しています。
「3回接種でオミクロン株『7割超の予防効果』英当局」(テレ朝 2021年12月11日)
https://newspicks.com/news/6448441?ref=user_1310166三回目のワクチン接種(ブースター接種)は着実に増えているようです。仮に弱毒化が本当であれば、この辺りの兼ね合いがどうなるかはわからないわけですが、要するに「保険」ということなのでしょう。
英国の状況は確かに悪化しています。一方で、ジョンソン首相の様々な醜聞が明らになっており、首相としてはその火消しに努めざるを得ない。内閣の支持率も低下の一途、次期の総選挙での勝利はますます難しくなっています。そうした中で、感染対策の強化に活路を見出している節がある。