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記事中で、真鍋博士の「最も偉大な論文」と紹介されている功績や博士の人柄については、こちらの記事もどうぞ。今回の記事でも深く協力してくださった渡部雅浩教授のインタビューです。
https://newspicks.com/news/6273587/body?utm_source=newspicks&utm_medium=urlshare&utm_campaign=np_urlshare&invoker=np_urlshare_uid3618331
物理学賞の真鍋淑郎博士は、7日に米国ですでにメダルを授与されたのですが、改めて「(気候モデルの分野は)面白い、若い人にもっときてほしい」と話されています。
CO2など温室効果ガスが、地球温暖化をもたらすことの研究は、2世紀近くにわたります。特に第2次世界対戦後は、真鍋さんを始め、日本から若手の研究者が、世界の最先端の研究機関へ羽ばたき、気候の予測をする「気候モデル」の開発をリードしてきた歴史があります。
この日本人たちの寄与は、あまり知られていませんが、まだまだコンピュータの計算能力の低い当時に確立された理論的なモデルが、今世界を大きく揺るがす気候変動を予測してきたことは知っておいてもいいのではないかと思います。
その進化の歴史を見れば、なぜ、真鍋さんのノーベル賞が「気候モデルが『科学』となる土台を築いた」ということが見えてくるのではないでしょうか。
今、そうやって研究ができる力はどれぐらい日本は備わっているのか。インターネットの情報の最大公約数ではなく、現象や実物を観察することがスタート地点。
大昔、コンステレーション(群衛星)の研究をしていた際に、先生から「鳥を見てきなさい」と言われました。群れで飛ぶ鳥です。自然界にヒントを求め、思考を巡らす。そういう時間が減ってしまっているとすると、それはなにを失っていることに思います。
地球モデルは、心配しなくてもグローバルでの取り組みです。日本人がやらなくても、アフリカや南米、どこの国の学生からも大発見があり得る分野。戦後な日本にはそういう逸材が大勢いて、しかもそれを米国が根こそぎ引き抜きいた。日本も世界の人材に目をつけ、環境を与えて、その力をお借りしないといけません。
地球モデルの話は人口モデルもそうですし、昔からある概念。私は研究者出身なので、大好きですし信用すべき学問だと思っています。気候変動の問題を単なる予言と捉えている人が、もしまだ日本にいるとすると、そこかれ変えていかなければいけません。まずこれを信用するところからはじめて、人類全体の「想定外」をなくさねばなりません。
行動するのは間違いなく今です。皆で関心を高めて示していきましょう。
天気予報の技術を大学院の研究テーマとして、コンピュータがないので人海戦術で取り扱っていたら、ちょうどコンピュータを使い地球の気候を再現しようという研究が米国で進んでいたこともあってそちらから声がかかり、そのままコンピュータが使え待遇も良く、雑音が少なく研究に没頭できる環境に居心地の良さを感じてずるずると、という風におっしゃっています。
地球の気候を再現する(モデリングする)にあたって、それがうまく動いているかを確かめる目的で、二酸化炭素濃度をあえて変化させて、その正当性を確かめるわけですが、これがのちにノーベル賞の受賞対象となる研究となりました。コンピュータの中にもう一つの地球を作る仕事が、その後の真鍋先生のライフワークとなって、現在に続いています。
地球温暖化懐疑論があるのは事実ですが、真鍋先生らのチームが50年以上かけてもう一つの地球を育てて研究しており、そこで得られた研究結果が基となってIPCCでの議論に結びついています。懐疑するのは当たり前かもしれませんが、こうした研究背景はぜひ知られてほしいと思います。
手にとって理解することの難しい分野であるだけに、気候変動対策推進派にも懐疑派にも、実はメカニズムや科学をよく分かっていない人は圧倒的に多い。私も初めその一人だったので、お勧めされた本を読み、Courseraで気候モデルのオンライン講義を取って、ごく基本のところを学びました。
とっつきにくい分野だからこそ、「世の中がそういう流れだから」というだけでなく、自分で腹落ちする程度には基本部分をかじってみると良いと思います。
気候変動も分からないままだと圧倒的危機で恐怖も多い。それがどう対策していけばよいかを伝えてくれるような予測モデルによって、危機にも対応していけるんじゃないかと思いました…!
フーリエとかアレニウスとか、学生時代に聞いたことがある科学者が出てきたり、何より真鍋氏の1970年の研究がすごい。
そこからより細かくシミュレーションができるようになったり検証が進んでいることは素晴らしいが、そういった段階の前に「中心線」をこれだけ明確にできていることはものすごい。そういうベンチマークとなるものがあるからこそ、研究・検証が加速度的に進む側面もあると思う。
実際に起きた熱波や豪雨といった特定のイベントの発生確率などに気候変動がどれほど影響したかを定量評価する手法ですが、最新のIPCC報告書でもこの分野の大きな進捗が指摘されています。
今後、保険業界や各地で相次ぐ気候変動訴訟など多様な局面で活用されることになると思われます。
この分野のフロントランナーだったオランダの気象研究者は米タイム誌の世界で最も影響力ある100人に選ばれたばかりですが、今年若くしてがんで他界されました。非常に残念な出来事でした。
陰謀論を信じている人は、真鍋氏のノーベル賞受賞もある組織が裏で動いた結果と言っておられました。まったくの嘘っぱちな理論だとも。
それなら、真鍋理論とは違う気候変動モデルを出してきて、地球の温暖化など起こらないと証明してほしいものです。