[北京 9日 ロイター] - 中国人民銀行(中央銀行)は、現在7%としている金融機関の外貨の預金準備率を12月15日から200ベーシスポイント(bp)引き上げて9%にすると発表した。引き上げは今年2回目となり、市場では最近の急激な人民元上昇を緩和する狙いがあるとの見方が出ている。

人民銀はこれにより、金融機関の外貨流動性の管理を強化する。銀行はより多くの外貨預金を人民銀に預ける必要がある。11月末時点で銀行が預けていた外貨預金は1兆0200億ドルだった。

人民元は7月下旬以降、対ドルで2%超上昇している。通貨バスケットに対する貿易加重平均ベースでは2015年終盤以来の高値となっている。

ナティクシス(香港)のエコノミスト、ゲイリー・ング氏は「外貨の預金準備率の引き上げは、人民銀が人民元の上昇が強すぎ、早すぎると考えていることを示している」と指摘。「この動きは投機コストを増加させ、銀行は外貨を人民元に交換するのではなく、より多くの外貨を保有せざるを得なくなる。今後、経済の下向きの圧力が強まる中で、過度に強い人民元は特に22年第1・四半期の高成長に良い影響を与えない可能性がある」と語った。

人民銀が今週初めに決定した銀行の現地通貨建て預金準備率の50bp引き下げも、減速する景気の押し上げに1兆2000億元(1882億ドル)の長期流動性を供給する効果があるという。

みずほ銀行(香港駐在)のアジア通貨担当チーフストラテジスト、ケン・チャン氏は「米連邦準備理事会(FRB)が既に来年の新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)後初となる利上げに向かっている中で、今回の動きは驚きだった」とし、「中国人民銀が外貨預金の準備率引き上げにこだわったのは、通貨市場を安定させることに熱心なのを示唆している」と指摘した。

人民銀は6月にも金融機関の外貨準備率を同じく200bp引き上げ、銀行がドルを保有するコストを高めていた。