[オタワ 8日 ロイター] - カナダ銀行(中央銀行)は8日、政策金利である翌日物金利の誘導目標を予想通り0.25%に据え置いた。来年4月にも利上げに着手する可能性があるとのフォワード・ガイダンスも維持した。

中銀は声明で、11月に西部ブリティッシュコロンビア州を襲った集中豪雨による洪水被害のほか、新型コロナウイルスのオミクロン変異株で経済活動が阻害される恐れがあると指摘。「供給網の混乱が悪化し、一部のサービスに対する需要が減少することで、経済成長が押し下げられる可能性がある」とした。

ただそれでも、このところのデータで求人増や賃金の伸びの加速などが示されており、カナダ経済は「かなりの勢い」を持って第4・四半期に入ったと指摘。物価上昇圧力は「一過性」との表現を取り下げ、インフレ高進は来年上半期に入っても継続し、下半期に入って初めて中銀の目標に戻るとの見方を示した。

中銀はインフレ目標のレンジを1─3%に設定しているが、世界的な供給網の混乱やエネルギー価格の上昇などを背景に過去7カ月にわたりこれを上回っている。

中銀は「インフレは高まっており、世界的な供給上の制約による影響がより広範囲の商品価格に波及している」とした上で、「現在見られている供給バックログを踏まえると、物価に対するこうした制約が解消するにはある程度の時間がかかる」と指摘。経済のスラック(需給の緩み)が吸収され、物価目標が持続的に達成されるまで、政策金利を過去最低水準にとどめると改めて確約した。

スコシアバンクのキャピタル市場経済部門担当バイスプレジデント、デレック・ホルト氏は、中銀が今回示したスタンスは「ややハト派的」だったとし、来年1月に何らかの動きがある可能性は何も示されなかったと指摘。ただ「来年に100ベーシスポイント(bp)の利上げが実施されるとの見方を変えていない」とし、「利上げは4月にも開始される可能性がある」と述べた。

CIBCキャピタル・マーケッツのチーフエコノミスト、アベリー・シェンフェルド氏は「中銀は、オミクロン変異株とブリティッシュコロンビア州の洪水に起因する大幅な阻害について言及した。これらによる不確実性を受け、来年1月は政策据え置きを決定する可能性があるが、4月時点では見通しは幾分か明確になっているだろう」と指摘。

デジャルダンのチーフエコノミスト、ジミー・ジーン氏も、1月は尚早だが、4月に利上げに着手する可能性があるとの見方を示した。

今回の決定を受け、カナダドルは約3週間ぶり高値から押し戻され、1米ドル=1.2641カナダドルとほぼ横ばいで推移。

フォレックスライブのチーフ為替アナリスト、アダム・バトン氏は「市場の一部は利上げが間近に迫っていることを示すシグナルを求めていたが、顕著には見られなかった。そのためカナダドルに売りが出た」と述べた。