[ニューヨーク 7日 ロイター] - 米金融大手ゴールドマン・サックスとウェルズ・ファーゴ(Wファーゴ)のトップは7日、根強いインフレ高進に懸念を示した。米連邦準備理事会(FRB)に対するテーパリング(量的緩和の縮小)加速に向けた圧力が一段と高まった格好となった。

ゴールドマン・サックスのソロモン最高経営責任者(CEO)は米CNBCのインタビューで、一定期間にインフレ率がさらに上昇すると予想しているものの、1970年代に見られたようなコスト高騰が再び起きることはないとの見方を示した。

ソロモン氏は「一定期間、インフレ率がトレンドを上回る可能性は十分にあるが、1970年代のようになるとは限らない」と指摘し、「注意深く、適切にリスクを管理する必要がある」と述べた。

国際通貨基金(IMF)は先週、特に米国でインフレ圧力が強まっていると警告し、FRB当局者はインフレリスクに一段と注視すべきと表明した。

ソロモン氏は、新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」や、米FRBなどの中央銀行が資産購入を縮小するペースを巡る疑問などの要因により、世界の金融市場に「不確実性」があると指摘。「われわれはまだ新型コロナのパンデミック(世界的大流行)から完全には脱していない。そこから生じる不確実性があり、その不確実性は経済活動に影響を与える」と言及した。

その上で「バランスを取るために財政、金融政策の移行が進んでいる。この時期が前例のない時期であることは疑う余地がないため、どのように立ち直るかを予測することは非常に困難だ」との見解を示した。

これとは別にウェルズ・ファーゴのシャーフCEOはゴールドマン・サックス・サービシズ・カンファレンスで、FRBはインフレ懸念に対応するために一段と迅速に行動を起こす必要があるとの考えを示した。

シャーフ氏は「インフレはかなり現実的だ。ほぼ全ての産業にわたり、投入価格が大幅に上昇している。労働力不足と賃金上昇は極めて現実的だ。こうした状況が数年続くかはそれほど関係ないが、来年あたりには確実に影響が出る」と指摘。「適切な行動に向けた迅速な道筋ができてくると予想している」と述べた。

また、バンク・オブ・アメリカ(バンカメ)のモイニハンCEOは同カンファレンスで、1970年代のようなインフレの再来にポートフォリオが耐えられるか内部で健全性審査を実施していると明らかにし、「インフレが現実のものとして存在するだろうとの見通しに基づき、こうした審査を3、4四半期前から実施している」と述べた。