2021/12/13

【投資家討論】企業に「サステナブル経営」がなぜ必要か?

NewsPicks Re:gion 編集長
 NewsPicks Re:gionは11月、大阪府にて第2弾カンファレンス「WestShip」を開催した。
 本記事では“サステナビリティ”に新たな成長可能性を見出すキーパーソンが集い、いま求められる「サステナブル経営」について議論した白熱のセッションを約8000字の大ボリュームで再現する。
INDEX
  • ESG・SDGsは企業の成長を促す
  • 「経営に取り入れる」的発想では足りない
  • サステナブル経営の成果は「遅行指数」だ
  • 日本企業にサステナブル経営の精神は「ある」
  • PLやBSに表れない本質的な企業価値とは
  • 関西はプライドを持って「人材」に投資せよ
  • 「地域による不利」はすでに解消している

ESG・SDGsは企業の成長を促す

夫馬 私は2013年からESGとSDGsの分野で大企業中心にコンサルティングをしてきました。2018年ごろから日本でも「サステナブル経営」が大きなうねりとなり、その波は大企業からスタートアップにまで及んでいます。
 そして地域の産業振興においても、サステナブル経営の視点は重要なテーマであると考えられる時代になりました。
 ここに登壇されている方々は投資家であり、「成長性の高い企業の条件はサステナブル経営に見出せる」と強く思っている方々ばかりです。
 とはいえ、会場のみなさんのなかにはサステナビリティに懐疑的な方も多いのではないでしょうか。サステナブル経営で企業価値を上げられるか? 登壇者のお三方はどのように考えていらっしゃるのでしょうか。
松井 私は27年間務めたゴールドマン・サックス証券を卒業し、今年5月に長年の友人である村上由美子さんと関美和さんと一緒に、日本初となる“ESG重視”のベンチャーキャピタルファンドを立ち上げました。
 第一に知って頂きたいのは、「ESGは単なるコンプライアンスではない」ということです。私たちは、ESGを軸としたサステナブル経営こそが、日本の新たな成長を促すドライバーとなると信じています。
 私たちの投資は、日本企業の場合、ミドルステージあるいはレイターステージにフォーカスしています。数年後にIPOやM&Aといった出口を描いている企業がメインです。
 どの企業もある程度のビジネスを確立していますが、次のステップに進むための成長ドライバーを探さなくてはいけません。そこで必要なのがESGの観点です。
 たとえば、私たちが毎日のように会っているスタートアップの経営チームは95%強が男性だけのチームです。外国籍の人、女性、LGBTQがほとんどいない。そこに一人でも違う考え方の人を入れることによって、「こういう市場にもオポチュニティがあるんじゃないか」という新しい考えが出てくる可能性があります。
 またESGは採用にも影響があります。いま、若者が就職先を選ぶときの最大のポイントは「パーパス」です。これは世界共通です。どんなに素晴らしい事業があっても、パーパスがあいまいだったり、言語化していなかったりする企業は採用が難しくなっています。
 ESGはそれほど企業の成長に関連する、無視できない概念なのです。
 私はウーマノミクスの研究を通して、多様なリーダーシップチームを持っている企業ほど高いROE、高いパフォーマンスを示すというデータを持っています。こうしたエビデンスによってESGが企業の成長とどう結びついているかを明示して、企業の変化を促していきたいと思っています。

「経営に取り入れる」的発想では足りない

村上 私は現在、スタートアップ投資を中心にさまざまな企業に関わっています。そのなかで今後、経営にサステナビリティを組み込めない企業は、新たな社会課題を解決できず、新たな価値創出ができなくなっていくと感じています。
 サステナブル経営は現場レベルの小さな変化で実現できる話ではなく、これまでの経営のあり方にパラダイムシフトを迫るような、大きな概念です。
 しかし、多くの日本企業が「既存の経営フレームワークにESG/SDGsをどう取り入れるか」という発想から抜け出せていません。このギャップをどう乗り越えるが、今後の重要なテーマになっていくと思います。
 サステナブル経営の実装には、「短期性の罠」からの脱却が必要です。
 これまで経営や金融の領域では、どうしても四半期や1年という短期で物事を考え、成果を出すことを求められてきました。しかし、サステナブル経営は短期ではなく、長期視点で取り組むべきものです。
 目の前の「木」ではなく、大きな社会課題という「森」に向かって長期視点でビジネスを続けられる企業こそが、大きな価値を生むことが可能になります。
 その好例がイーロン・マスク率いるTeslaですよね。Teslaは大きく赤字を出しても、持続可能なエネルギーへと世界のモビリティを加速することで「人類を救済する」という壮大なミッションに向かって突き進んできた結果、2021年には時価総額100兆円を超える巨大企業となっています。
 これからの時代に大きく企業価値を上げる会社は、「毎年確実に1億円の利益を上げる会社」ではありません。そのことに気づいて、逆転の発想で経営を考えていく必要があると思います。

サステナブル経営の成果は「遅行指数」だ

中村 talikiが取り組んでいるのは、「社会課題の解決こそが一番の市場機会ととらえる」企業や事業を育てることです。
 たとえば支援先に、ビーガンやLGBTQといったマイノリティを対象にしたビジネスをしている若者たちがいます。彼らが意識し始めた2015年ごろは、ビーガンやLGBTQに対する世間の解像度は低かった頃です。
 この5、6年で認知度は上がり、市場機会は拡大しました。今後はビーガンやLGBTQの存在も、それが市場になることも、よりあたりまえになっていくはずです。世の中の社会課題を新たな市場機会として捉え、開拓するプレイヤーはもっと増えていくし、そのキーワードが「サステナビリティ」だと考えています。
 ただ、いま村上さんがお話しされたように、企業経営にとってESGのようなサステナブルな取り組みは、成果が出るのに時間がかかります。つまり遅行指数だということです。
 ハーバードビジネスレビューの2021年1月号で、エーザイ専務執行役CFOの柳良平さんがESGの主要KPIやPBRと株価の相関について書かれた論文が掲載されていましたので、ご興味ある方はぜひ読んでみてください。
 短期的なIRに書くために、サステナビリティに関する取り組みをコストをかけてやるかというと、ほとんどの経営者のみなさんが、やらないんですね。書けるような成果はすぐには表れませんから。
 企業が本気でサステナブル経営に取り組むために、成果を得るには時間がかかることを認識してアクションを起こすことは大事です。
 単純に企業価値を上げるためだけに取り組もうと考えると、それこそESGウォッシュとかSDGsウォッシュ、グリーンウォッシュと言われるような表層的なチャレンジに終わってしまうおそれがあります。
 企業価値は市場からの評価なので、市場が愚かだと、せっかくサステナブル経営に取り組んでも本質的価値として評価されない可能性があります。
 理想論かもしれませんが、私は「サステナブル経営で企業価値をどう上げるか?」という問いから脱却する方法を考えたいなと思いました。

日本企業にサステナブル経営の精神は「ある」

夫馬 村上さん、中村さんが指摘された点について、非常に共感できます。
 日本で急速にサステナビリティやESGの重要性が語られ始めています。すると何がおきるかというと、企業の経営陣は「半年でうちのサステナビリティの計画をつくれ」と社員に指示するんですね。
 まるで「宿題」のようなお題が社内で飛び交い、言われた側はとりあえずの短期的な解を出してしまう。そんな計画には迫力がないし、視座もない。そういうシーンを、私もコンサルティングの現場でよく見てきました。
 サステナブル経営は、従来の日本の意思決定のプロセスや事業計画のフレームとは大きく違うものである、という認識を最初に持つことが大事かもしれないですね。
中村 日本は昔から、個人も組織も、社会に貢献することを大切に考えてきたと思います。たとえば京都の島津製作所の初代は仏具商でした。それが時代の移り変わりとともに仏具から医療機器の会社になり、一部上場企業になりました。
 社会の役に立つことを長期的な視点で続けることに価値を見出してきたはずなのに、いまはそれ以外の評価軸の声が大きくなり過ぎていると思います。
 サステナブル経営は、新しい概念を取り入れる行為ではありますが、グローバルのまったく新しい、キャッチーな概念を企業に取り入れるようなイメージは捨てたほうがいいんじゃないでしょうか。
夫馬 特にスタートアップは、短期的に急成長しなければいけないと思われていますよね。でも本質的価値を出していくためには長期的な視点でビジネスを続けることが必要です。
 この相反する時間軸の考えをどう組み合わせるか、悩んでいる人は多いと思います。キャシーさんは日頃、スタートアップにどんなアドバイスをされていますか?
松井 スタートアップは大企業と異なり、資源も時間の余裕もないので、ESGは後回しになりがちという懸念はあります。しかし、5年先、10年先にどういうKPIを達成したいかというジャーニーを描けない企業とは、私たちとしてもパートナーシップを組むのは難しくなるでしょう。
 私たちは投資先に、形やポーズではない、ESGへの全社的なコミットを求めています。そうすることが社会の一員である企業にとって健全なあり方だからです。
 ESGの重要性を理解すると、みなさん、ものすごい勢いでいろんなことを考え直し始めます。自分たちのパーパスは何か、採用の仕方にバイアスが入っていないか、などなど。
 先ほど中村さんのお話を聞いていて思い出しました。日本は変化が遅いと言われるけれども、世界一、寿命の長い会社の数が多いのも日本ですよね。
 企業が何百年も続いてきたということは、常に工夫し、改良し、イノベートしてきたから。同じことをし続けてサバイブできるはずがないんです。だから日本企業にサステナビリティのスピリットは存在するはずです。
 ただ、トップダウンではなく、ボトムアップで社内外の人たちを巻き込んでいかなければなりません。
 サステナブル経営は「スプリント」ではなく、「マラソン」です。一回やって終わりではなく、長期的なコミットメントが必要です。そうしたコミットメントなしにESGに取り組んでも「なんちゃってESG」になるだけです。
 いまの投資家はこのあたりを厳しい目でチェックしています。本音ベースのサステナビリティが問われる時代になったと思います。

PLやBSに表れない本質的な企業価値とは

村上 そもそも「価値」って極めてあいまいなものだと思っています。価値の測り方もそうです。
 現に、Teslaの株価の上がり方をロジカルに予測した人はいません。いま言われている説明は後付けなんです。だから、旧来型の価値基準で物事を見ている限りはサステナブル経営はできないと思います。
 いま、スタートアップが一番苦労していることは、資金集めではなくて、売上をつくることです。なぜ売上がつくれないかというと、スタートアップの描く未来に消費者がついてこないからです。
 逆に、スタートアップの描く未来に消費者が共感し、購入を始めたものにとてつもないバリューがつく。明らかにそういうトレンドが来ているのを、いま、みなさん感じ始めていると思います。私たちは価値の測り方から変えていかないといけません。
 いま、企業の経営の現場の人たち自身が、自社の価値を認識できていません。プロダクトを作って売上が立った瞬間に、プロダクトやそのスペック自体が市場を生み出すと勘違いして、比較可能なスペックに価値を見出すようになってしまうんです。
 僕は「違うでしょう」と言いたい。あなたたちの一番の価値はいま現在のプロダクトじゃなくて、世の中のトレンドや社会課題に大きくアドレスしていることです。
 そこに消費者が共感することによって価値が生まれ、より長期的な未来への推進力になるのです。持続的に発展する未来にこそ、大きなビジネスオポチュニティが生まれるし、そこに世界の投資家はお金を張りたいんだと伝えたい。
 このギャップを埋めること、すなわち経営の解像度を上げ、目線を上げ、本来のミッションやパーパスに立ち返りながら、その意味を更に高めていく。そんなことが、いまの僕の仕事になっています。
 経営者が気が付かないうちに、目の前のことに捕らわれてしまう。それは本来の価値を毀損しかねない、極めてもったいないことなのです。 
 企業の価値はPLやキャッシュフローではなく、別のところにある。それがパーパスやミッションのような大きな視点であり、人的資本や消費者の会社やプロダクトに対する愛情や熱量ですし、それがサステナブル経営の軸になっていくんだと思います。
中村 「企業価値=金融資産」と捉えると、大事なことを見失ってしまう危険性があると思っています。
 金融資産ができるためには、人的資産や組織資産といった本質的価値が不可欠です。だから企業はまず、本質的価値をつくらなければいけない。そのために「パーパス」が必要です。
 社会課題解決をする事業は儲からないと言われますが、じつは社会的価値の高い事業ほど、人的資産や組織資産が蓄積しやすいんです。それはまさに「パーパス」があるからです。
 パーパスがあるからこそ、そこにファンがつくし、類似商品が出てもお客さんが逃げていかない。超ハイスキル人材がなぜか「月5万でいいから」と言って参画してくれたりする。そういう諸々の要因で、結果的に販管費のようなコストが下がり、サービスの価値は向上して売上につながっていく。それが結果として金融資産につながっていくんです。
 だから、「企業価値=金融資産=株価」じゃないんですね。金融資産に連動する本質的価値としてサステナブルなアクションの必然性があるんだと思います。

関西はプライドを持って「人材」に投資せよ

夫馬 続いて、地域の話題に移りたいと思います。関西に限らず、地方でビジネスをするからには「人口減少」のトレンドは無視できません。そして関西の産業割合では重工業が非常に多い。関西では工業地帯の未来を描けないと、自治体の未来は描けないと思われています。
 そんな状況のなかで、サステナブル経営は、関西という場にどんなチャンスをもたらすでしょうか?
松井 私の両親は奈良県出身で、親戚は全員、奈良と大阪にいます。彼らのところに遊びに行っていつも感じるのが、日本のインバランス。人も企業も関東一極集中で、不均衡だということです。
 ただ、よくよく考えると関西のGDPは2017年時点で約8,000億ドル強です。これはオランダやスイスのGDP並みです。それほど関西経済にはクリティカルマスがありますし、関西には長年継続してきた企業があります。
 パナソニック、京セラ、日本電産、任天堂も関西地区から生まれた企業です。関西には日本を代表するイノベーティブな企業が山ほどあります。そのプライドを持って、今後はぜひ人材に投資してほしいと思います。
 関西にはIT、医療、観光のポテンシャルがあり、2025年には大阪・関西万博があります。東南アジアに近い地理的優位性もある。もっと外を向いて外国籍の人を入れたり、海外の企業を招いたりすると、関西の未来はより明るくなると思います。
 もちろん、関西から関東へ出ていく人をどう引き止めるか、Uターンしてもらえるかを考えることも大事です。私たちが最近会っているスタートアップにも関西出身の企業が少しずつ増えています。
村上 最近、とあるエリアの地銀の方と、とある地方出身の18歳の大学生の方と、別々にお話をする機会がありました。偶然ですが、二人には共通点があって、彼らは自分たちの地域やその可能性を全然評価していなかったんです。
 地方の可能性はゼロで、東京にしか可能性がないから、いかにして東京のコミュニティに入り込むか、東京のベネフィットを享受しようかと考えている。東京しか見ていない。これは非常にもったいないと思います。
 みなさんも感じておられるとおり、日本が地盤沈下したのは、東京の力が失われたからです。そして東京の人口は日本の人口のたった1割で、東京のGDPは日本全体の3割しか生み出していません。
 それなのに残りの9割の人たちが「地方はもうダメ」と言って、日本経済再生のチャンスを1割の人に託そうとしている。自らチャンスを10分の1にしようとしているんです。
 これからの経済は、いかに人と違う競争優位性をつくり、市場を創っていけるかが鍵になります。新しい価値観を自分で規定して、人材やアセットのユニークネスを武器に、共感を得ながら長期的な勝負を仕掛けていかねばなりません。そこにある市場にモノを売るだけの時代は終わりました。
 食料が不足し、不便な時代はそれを解消してほしいという明確なニーズがありました。だから大量生産・大量消費のビジネスはもっとも効率が良かった。今はそうではありません。モノは溢れている。だからこそ、市場や需要を創造できるか、消費する明確な理由を消費者に与えられるかが鍵なのです。
 地方は、こういう戦い方をするのに非常に有利な場所です東京で5割の人の共感を得るサービスをつくろうと思っても難しいですが、地方都市で多くの人が共感する商品をつくれる可能性は高い。そのためには何より「人材」が必要です。
 地方の人は、東京に行くことを考えるより、東京から優秀な人が来るような流れをつくらなければいけない。
 そこでポイントになるのが「賃金を上げること」と、その地域でチャレンジすることに意味があると思わせる「地域の魅力をつくること」です。そうすれば、市場はつくれる可能性が大きい。
 もし、エネルギーの未来に対して非常に共感性の高い地域があれば、そこでは地域発のEVがめちゃくちゃ売れるかもしれません。そこで優秀な人が活躍して市場が立ち上がれば、別に東京の力を借りる必要はない。地域から直接、グローバルに売っていけるんです。
 地方が自分たちのオリジナリティを認識して、人材を活用して、長期的に勝負できる共感市場を生み出す。そういう思想を持った瞬間、日本の重心は東京から地方に移っていくでしょう。ぜひ関西の人たちも、東京のまねはせずに、地域の価値を自覚してほしいと思います。

「地域による不利」はすでに解消している

中村 昨年、私はコロナ禍の真っただ中にファンドを立ち上げたので、投資面談も全部オンラインです。投資先には関西の企業もあれば、東京の企業もある。関西の企業が海外の投資家から調達する例もあります。
 つまり、いまは東京にいないことによるディスアドバンテージは圧倒的に減っているんです。
 私は東京出身です。実家に帰るついでにビジネス界隈の若い方とお話をしていると、言ってることがみんないっしょで、均質化されているような印象を受けることがあります。一方で、私たちが事業起ち上げを伴走しているような京都の学生はやぼったいけれど、一人ひとりの個性が強くて言うことが面白い。
 世界とつながれるツールはすでにあるので、関西の人は個性を生かしつつ、戦えばいい。いまの時代、地域ということにコンプレックスを感じることはないし、必要以上に自負することもないと思っています。
村上 おっしゃるとおり、地域による情報やお金の面での不利はもうすでに解決してきていると思います。
 関西企業のみなさんにはぜひ、今後は優秀な人材を関西で雇用してほしいと思います。そのために給料を上げる。賃金は「出費」と思わず「投資」と思ってください。いま、もっともリターンが出る投資は人材への投資です。
 投資的観点で若くて優秀な人材を雇って、彼らを長期的な視点で頑張らせてあげてください。投資でリターンを得るためには、長期的な視点で見てあげることが大事です。
 大阪が一番給料が高いから、一番優秀な人が集まるし、長期的なミッションで勝負できるとなると、それ自体が差別化の大きな要素になっていきます。そうすると情報もお金も自然と集まります。さらに優秀な人材が集まってくる循環ができます。
 そう考えていくと、より企業はサステナブルになりますし、社会課題を解決できますし、グローバルで戦える。関西は長期的に人材に投資していくべきだと思います。
松井 もともと、日本の資本主義のスタイルは「三方よし」だと思うんです。関西には、その三方よしの哲学に基づいた企業が多いと感じます。ですから、関西企業の方々には株主だけのためではなく、全ステークホルダーのための企業、事業をぜひつくってほしい。
 毎日スタートアップの若者と接していて思うのは、私たちがサステナブル経営の「Why」を教える必要はほとんどない。彼らが私たちの力を必要としているのは、サステナブル経営を実装するための「How」です。その理由で、私は日本の未来は明るい、と感じます。
 サステナビリティもESGも、考えてみれば大事にするのがあたりまえの常識です。そういう常識を、若い企業に実装していくためのサポートをこれからも続けていきたいと思います。