新型コロナワクチン接種証明書アプリ、公開は12月20日 iPhoneとAndroid向け
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単体アプリとかじゃなくてウォレットアプリとかに入れられるようにして欲しいんすけど。。なんかクソアプリがまた一つ増えそうで、すげぇやだ。
この証明書アプリはデジタル庁にとって試金石だったわけですが、個人的にEUのデジタルCOVID証明書(EUDCC)の動向を追ってきただけに、比較すると色々と問題点も見えてきます。
一点目は技術情報の公開。個人的にEUDCCに関心をもったのは3月に公開された技術仕様が非常に詳細で実践的なものだったためです。ドラフトの段階で概要のみならずJSONスキーマ等も公開され、技術者であれば読み取りアプリを自前でかける程度に充実したものでした。また並行してGitHubで様々なコードも公開されました。
EUDCCは国際プロジェクトなのでオープンソース的な手法をとる必要があったのは事実です。日本にも内輪で回覧される仕様はあるのでしょう。しかしクローズドでつまんないのは正直なところです。
二点目はデジタルディバイドの軽視。今回は紙の接種証明書の仕様も更新され、海外渡航専用だったのが国内用にも対応し、QRコードも印刷されデジタル化されます。しかしその取得には未だに役所に出向く必要があります。
つまりデジタル化の恩恵はマイナカードと対応スマホを持つ人かわざわざ役所に出向く奇特な人に限られ、それ以外はアナログで頑張ってというわけです。
EUDCCでは3月の段階で紙とアプリ両方のデジタル証明書が定義され、それに併せ各国では「国民一人もデジタル化で取りこぼさない」政策がとられました。例えばフランスでは接種したその場で全員に紙のデジタル証明書が手渡され、事実高齢者の多くはそれを利用しています。
日本も例えばブースター接種時にデジタル証明書を配布するなどの対応はとれたはずです。しかし出てくる議論はマイナカード利用に前のめりなものだけで、デジタルディバイドに関する議論がデジタル庁方面からさっぱりなのは困る
さらにプライバシーに関する議論。これは前述の仕様の公開とも一部重なりますが、飲食店や施設など証明書を読み取る側に向けたガイドラインが見つかりません。
EUDCCの場合はプライバシー保護のためのルールを含む(読み取った接種情報の保存禁止など)各シナリオに応じた技術ガイドラインが公開され、その一部はEU法のレベルで合意されています。
自治体や民間が独自の証明書アプリを展開する中でプライバシーに関する議論をデジタル庁が主導出来ないのも困った話です。
最後にスピード。4ヶ月は遅い。イギリスでは驚くほどあっという間に開発されて、しれっと既存のNHSアプリ(厚生労働省のようなところの提供するポータルアプリ)の追加機能として導入されていました。
そして気づくと、そのアプリから発行されるQRコードはフランスの同様のアプリで取り込めて、証明書として利用できるようになっていました。
何気に稼働後も微妙にバージョンアップが、これまたしれっと行われて、使い勝手もどんどん良くなっています。
日本に欲しいのはそれくらいの開発スピードです。