米、異例の機密共有 ロシアのウクライナ侵攻警戒
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地図を改めて眺めると、ロシアの首都のモスクワは、領土の西の端に位置しています。ソ連崩壊後、ロシアを守る砦だった東欧諸国が次々と西側に寝返って、気付けばモスクワは丸裸。喉元には西側軍事同盟のNATOに属すトルコが短刀を突き付けるような形です。モスクワを守る大事な壁である隣国のベラルーシとウクライナ、なかでも黒海を経て地中海に至る要衝のクリミア半島を取り戻したい気持ちは強かったはず。その黒海にはミサイルという短刀をモスクワに突き付けるトルコがありましたし。
東西冷戦終結直後で米欧の結束が固いうちはロシアも手が出せなかったけれど、米欧の溝が深まってNATOが揺らぎ、力の空白が生まれれば、当然の如く動きが始まります。先ずは要衝のクリミア半島を手に入れた。そのかいあってかトルコはNATOの制止を振り切って、今ではロシアからミサイルを買う関係です。ベラルーシは相当程度勢力圏下に置いたので、残るはロシアへの強硬姿勢を取り続けるウクライナ本体といったところでしょうか・・・
対立が勢力圏の問題に及べば経済的に損でも降りないのが国家同士の争いの常ですし、プーチン大統領は“外国からの挑発があれば対応は非対称で過激なものになる。一線を越えるな”と西側諸国に警告しています。モスクワを守る勢力圏を取り戻すロシアの行動は、経済制裁を受けながらも成功を収めて来たように思えます。
中国による南シナ海の軍事基地化と香港の“併合”、更には台湾への圧力強化も、クリミア半島併合に端を発するロシアの成功に触発された側面があるかも知れません。「侵略の代償をロシア側にはっきり示す狙いもある」とのことですが、米欧が結束して動きを止めることが出来なければ、力による現状変更が世界のあちこちで加速しそうに感じて何となく不安です。日本にとっても対岸の火事ではないのかも。 (・・;