2021/12/16
【心理的安全性】コミュニティ選びは「居心地の良さ」で決めていい
LGエレクトロニクス・ジャパン | NewsPicks Brand Design
自らの生き方やビジネスを通じて「前進しつづける姿勢」を見せる人たちがいる。彼らはどんな仕事観を持ち、何をモチベーションにしているのだろうか。
そこで、本記事ではフジテレビで番組プロデューサーを務め、独立後もコンテンツプロデューサーとして最前線を走る、高瀬敦也氏にインタビュー。
ヒットコンテンツを世に送り出しつづける人の法則とは。令和時代に生きる全ビジネスパーソンが前を向き、成長するための秘訣を聞いた。
そこで、本記事ではフジテレビで番組プロデューサーを務め、独立後もコンテンツプロデューサーとして最前線を走る、高瀬敦也氏にインタビュー。
ヒットコンテンツを世に送り出しつづける人の法則とは。令和時代に生きる全ビジネスパーソンが前を向き、成長するための秘訣を聞いた。
「自分にとって面白いか」を軸に考えたことは一度もない
──高瀬さんは現在、フリーランスのコンテンツプロデューサーとして活躍されています。なぜ数々のヒット企画を世に送り出すことができたのでしょうか。
高瀬 昔からずっと自分に自信がなくて、他人から「面白い」と思われることで、存在意義を確認したいタイプでした。
たとえば、小学校のときは迷路ゲームを作って友達に遊んでもらったり、中学生のときはクイズ大会を企画して、賞品を出してみたり。誰にも頼まれていないのに、自発的にやっていました。
「高瀬の作った迷路ゲーム面白いな」「次は俺もやらせてくれよ」と言ってもらえるのがすごく嬉しくて。
これは純粋無垢なサービス精神とはちょっと違う気がしていて、他者の反応にとても敏感だからこそ、肯定的な評価をもらえたときに承認欲求が強く満たされる。
その性格が仕事にも強く影響していて、これまで数えきれないほど企画を作ってきましたが、一度も「自分にとって面白いかどうか」を軸にして考えたことはありません。
自分自身の思いよりも、企画やコンテンツの受け手に満足感や面白さを感じてもらえることのほうが重要なんです。
ずっとこうしたスタンスで生きてきたので、「社会の空気を読むこと」は得意ですし、これが僕の企画者としての強みですね。
この特性が顕著に働いたのが、岐阜の老舗酒造、渡辺酒造店の日本酒「騨飛龍(ダブリュウ)」の商品プロデュースをしたときのこと。
元々は、2020年に見込まれるインバウンド需要に合わせてキャンペーンを展開する予定でした。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大で大会延期の話題が出はじめた。そのとき、ふと「高い酒で乾杯する空気じゃなくなってきたな」と感じました。
それですぐさま、キャンペーン内容を「コロナで頑張る人たちへの陣中見舞い」をテーマにしたプレゼント企画に変更しました。結果的に、Twitterで10万リツイートも拡散されたことで、商品の認知度向上に貢献することができました。
なぜヒットメーカーはフジテレビを辞めたのか
──コンテンツプロデューサーとしての下地が作られたのは、やはりフジテレビ時代ですか。
フジテレビに入社してからの最初の5年間は、営業部でスポットセールスをやっていました。その後、編成部に移動して、半分見習いみたいな形で番組の企画やプロデュースをする仕事をはじめました。
その後、深夜アニメ枠「ノイタミナ」の立ち上げや、「逃走中」「Numer0n(ヌメロン)」「有吉の夏休み」といったバラエティ番組を企画・制作させてもらいました。コンテンツプロデューサーとしての下地ができたのはこの頃ですね。
そこからいろいろなヒット作にも恵まれましたが、気持ちの面では不完全燃焼でした。テレビ局のビジネスは、とにかく番組を作り、広告を回せばマネタイズできる、すごくよくできた仕組みなんです。
だから、そのフォーマットのなかで仕事をしていればいい。
でも、僕自身は純粋な番組作りよりも、ゲーム化やアプリ化といったテレビの枠を超えた展開のほうに興味があった。それで、自然と気持ちが社外に向いていきました。
──では、独立されたのはそれが理由ですか。
テレビ局のプロデューサーという仕事柄、起業家やフリーランスの人たちと知り合うことも多く、サラリーマンの僕からすると、彼らがすごく輝いて見えたんです。一番大きな理由はそこですね。
彼らと一緒にいたい、仲間になりたいという気持ちが強くなっていって、仕事を手伝わせてもらうようになりました。ただ、フジテレビは副業は禁止だったので、外での仕事は無報酬でしたし、責任も背負えない形でした。
そのような事情もあり、直接言われてはいないですが、『こちらの仕事がうまくいかなくても、お前は会社に戻れるんだろう』という空気を仕事仲間から感じて。
責任を背負えない自分の不自由な状況。それを打破するために、38歳くらいのときには「近い将来、独立しよう」と考えていました。
1年ごとに「コミュニティホッパー」になってもいい
──高瀬さんは独立後、すぐに活躍の場を広げられた印象です。収入や仕事の保証がないシビアな環境で、思い通りの仕事をする秘訣はなんでしょうか。
独立後を振り返ってみると、フリーランスってなんだかんだ、「あいつ困ってそうだし」とか「あいつと過ごすと楽しいから」とか言いながら、助け合って仕事をしているんですよ。
僕が「独立」という形でキャリアをステップアップできたのは、「仕事仲間とのつながり」があったからだと思います。
もちろん仕事仲間なので多少の利害関係はありますが、一方で金銭のつながりだけでない面も多い。そのプロ同士の距離感がとても心地いいし、おかげで自然と切磋琢磨できたのもよかったですね。
好きな人や仲間がいるコミュニティに所属することが、仕事や生活の質に直結するんだと実感しました。
仕事に絞れば、コミュニティの存在はあらゆる場面でプラスです。
たとえばビジネスパーソンの交友関係は「家族」「会社」「学生時代の友人」と、案外狭いことが多い。
ですが、自分の企画に対して意見をもらいたいとき、コミュニティの中にいれば「こんな企画作ったんだけど」「今度こういうゲームやるんだよね」と、フランクに聞くことができます。
それで相手のリアクションがよくなくても、嘘がないので素直に受け入れられる。結果的に、成長が早くなるメリットもあると思います。
──では、コミュニティに所属することの生活面でのメリットとはなんでしょうか。
僕は仕事仲間の付き合いや自分が運営するサロンなど、異なるレイヤーのコミュニティを選んで所属していますが、ポイントは心理的安全性の高さ。
何かしらの輪にいないと不安でたまらない性格なので、心理的安全性を感じる環境に所属すること自体が、ストレスのない生活、ひいては生産性の向上につながっています。
とはいえ、その時々の精神状態や興味によって、居心地のよいコミュニティは変わるはず。現代では、自発的に所属するコミュニティを選べるインターネットを介した仕組みがたくさんあります。
極端な話、そうした仕組みを利用して、1年ごとに所属するコミュニティを変える「コミュニティホッパー」になってもいいと思うんですよ。
最初に火をつけて、燃え広がる景色を見守っていたい
──高瀬さんは現在、数多くのプロジェクトの発起人をされています。プロジェクトを広げる段階でも、コミュニティの存在は重要ですか。
僕は企画の根っこができたら、すぐにコミュニティの中で声がけして、「やってみたいです」と言ってくれた人にボールを渡すようにしています。
もちろん自分が考えた企画なので、「細部まで作り込みたい」「制作段階に携わりたい」という気持ちもあります。でも、一度ボールを渡してしまえば、プロジェクトは僕の手を離れて自走していく。
自走を軸にすると途中で頓挫するプロジェクトもありますが、多くの案件を動せるので、結果的には生産性の高い働き方につながります。
だからこそ、「手を出したい」という気持ちをグッとこらえて経過を見守るんです。
自分の知らないところで勝手にプロジェクトが進んでいたりすると、子どもが成人して独立する姿を見るような感覚というか、「この企画やってよかったな」と感じます。
今進めている大規模YouTube番組『ADEL33』は、プロジェクトが自走した好例。
元々、ちょっと尖った企画だったので、ひとまず自分のYouTubeでやってみようと思い、企画にシンパシーを感じてくれそうな人に声をかけてみたんです。
すると、「出資するよ」「クラファンやってみる?」といろいろな人が参加してくれて、次第にプロジェクトが大きく動きはじめました。
そういう意味で、最初に火をつけて、いろんな人を巻き込みながら燃え広がる様子を見るのが企画者としては一番嬉しい瞬間です。そして、頃合いを見計らって「最初に考えたの俺だよ」と言えれば最高(笑)
一方で、「やりたい」と言ってくれる人が近くにいないと成り立たないので、その意味でも僕の仕事のやり方って本当に「コミュニティありき」なんだと思います。
関係性の質を担保できる限界は150人
──ところで、高瀬さんは11月15日にオープンした「Hustle Hub by LG gram」の初代コミュニティリーダーです。これはどんなコミュニティなんですか。
「Hustle Hub」は“前進しつづける人”を応援するために、「毎日を、前向きに。」というメッセージとともにLG gramが立ち上げたコミュニティです。
僕の主な役目は、毎週金曜日20時からのYouTube LIVE配信のMCと、公式Facebookグループの活性化の2つ。
YouTubeでは、“前進しつづける人”を体現するゲストへのインタビューと、クリエイターが1時間で1つのアウトプットを作り上げるリアルタイムショーを交互に生配信します。
──「Hustle Hub」のメンバーになれば、YouTube LIVEによる「学び」と、公式Facebookのグループ内での「交流」、2つを同時にできるわけですね。
僕もコミュニティオーナーとして、Facebookのグループに参加します。
会員の皆さんとの交流を通じて、新たなビジネスが生まれたり、成長して前を向くきっかけが作れたりする場所にしていきたいです。
というのも、先程もお話しした通り、僕が独立後ここまで仕事の幅を広げられたのは、人とのつながりによるところが大きいです。それでは知り合いをたくさん作ろう、というのが、これまで主流だった価値観。
今後は、無闇やたらにつながりを増やすのではなく、心地よく、かつ能動的に交流ができる、質の高い関係性を自分で作りにいくことが重要になるのではないでしょうか。
その点を追求すると、150人くらいが「質」を担保できるつながりの限界。
だからこそ、所属するコミュニティ選びの重要性は増しているし、自分が心地よいと思うコミュニティにインターネットを介して自由に出入りするのが日常になる。
「Hustle Hub by LG gram」を、そんな時代に選ばれるコミュニティに育てていきたいです。
撮影:茂田羽生
デザイン:小谷玖実
執筆・編集:中野佑也、大高志帆
デザイン:小谷玖実
執筆・編集:中野佑也、大高志帆
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