経営の神様・稲盛和夫が教えた「私が飲食店を開くなら、こんな店にします」(ダイヤモンド・オンライン)
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「まずどれだけ粗利=売上総利益が取れるか」。稲森さんのおっしゃることは正論です。確かに正論なんですが……。稲森さんの製造業とわれわれ飲食業との違い。それは稲森さんも指摘している「粗利」の要素=「原価」の把握の難しさなんですよ。
製造業では商品ごとに「標準原価」を出す。「標準原価」とは「仕入れ値」=「直接原価」だけでなくそこに商品ごとの製造にかかるさまざまなコストが配賦されている原価のことです。ひとつひとつの商品に「会社のPL」がきちんと反映されている。言い換えれば「ひとつひとつの商品の売上」を積み上げると「全社のPL」になるように設計されている。ところが飲食業では商品(メニュー)ごとにこのような「標準原価」を出すのが難しい。ほとんど不可能に近いのです。
・・製造原価は「製造直接費」「製造間接費」に分けられて「材料費」「労務費」「経費」という3要素と掛け合わせると大きく6種類に分けられる。さらに「労務費」「経費」の配賦を考慮するともっと細かく分けられて例えば「経費」のうちの「直接経費」には工場や倉庫の賃貸料や設備の減価償却費や棚卸減耗費や電気代などが含まれてそれらの配賦の積み上げで・・
・・とまあこんな具合です。
ある有名大手の飲食チェーンがメニューごとの標準原価を出そうとしてあえなく挫折したことを思い出しました。たかがコーヒー1杯で配賦要素が100項目にもなってそれが店舗ごとに変動する(1000店舗あれば設備も家賃も光熱費も1000通りになるしさらに店舗ごとにアルバイト時給が10種類あればさらに10通りになる)。
そうなると経営の立場では各店舗に対して「標準原価」で管理するよりも「各費目ごとにかくかくしかじかのコスト比率でやれ」と命じるほうが効率的なんですよ。ですから飲食業で「原価」といえば「標準原価」ではなくほぼしかたなく「仕入れ値」=「直接原価」で表すようになっているんです。
飲食業でメニューの標準原価をまがりなりにも出せているのはわたしの知る限りではマックとサイゼリヤだけです。そう考えると稲森さんの会社を始めメーカーの原価管理ってすごいなあと素直に思いますし「経営の神様」が飲食業には手を出さない理由もわかったように思います。
注目のコメント
素晴らしい記事です。粗利が取れてないと繁盛すればするほど経費がかかります。経験から粗利が取れない原因は、短期的な客数の落ち込みを恐れて、値上げができないからだと思う。
”商売の醍醐味は「どれだけの粗利が取れるか」にあるというのだ。”