[ワシントン 3日 ロイター] - 米財務省は3日、貿易相手国の通貨政策を分析した半期為替報告書を公表し、ドイツを引き続き通貨政策の「監視リスト」に指定した。ドイツの新たな連立政権に対し、持続的な財政黒字に戻すことよりも、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)関連の「大胆な」支出を続けるよう求めた。

報告書によると、ドイツは家計と企業に対するほとんどのパンデミック関連財政支援策を2021年末まで延長しており、政府の財政赤字は国内総生産(GDP)の約6.8%に増加すると予測される。

ドイツの経常黒字は2021年6月までの4四半期に対GDP比7.5%へと増加した。純輸出が内需よりも早く回復したのが要因。

財務省と国際通貨基金(IMF)はともに、ドイツの対外的な立場は強いと見ている。報告書は「財務省は、2020年のドイツの対外的な立場は、経済のファンダメンタルズや望ましい政策によって保証されたものよりも強く、経常赤字はGDPの3.5%と推定している」と指摘。

メルケル政権下のドイツ政府は、新型コロナのパンデミックに対応し、新規国債発行を可能にするために国家財政規則を停止するなど「大胆な措置」を取ったと評価。ショルツ現財務相が率いる新たな連立政権に対し、路線継続を求めている。

米財務省はドイツに対し、歳入予測を改善し、パンデミック前の持続的な財政黒字をもたらした「慢性的な支出不足」に対処するよう求めた。

報告書は「景気回復が進んでも、ドイツの次期政権は財政黒字への回帰を避け、大幅な財政余力を引き続き活用すべきだ」と結論付けた。

IMFと欧州委員会は長年にわたって欧州最大の経済大国ドイツに対し、世界経済の不均衡を是正し、他国の経済成長を刺激する方法として内需と輸入を拡大するようさらなる努力を促してきた。