[ソウル 1日 ロイター] - IHSマークイットが1日発表した11月の韓国の製造業購買担当者景気指数(PMI)は50.9と、前月の50.2から上昇した。ただ、生産は2カ月連続で縮小し、サプライチェーン(供給網)の混乱が長引く中で韓国経済が勢いを回復しきれていない状況が示された。

景況改善・悪化の分岐点となる50は14カ月連続で上回った。

ただ、IHSマークイットのエコノミスト、ウサマ・バッティ氏は「11月のPMIは小幅に上昇したが、これが生産の2カ月連続縮小を覆い隠した。供給不足が需要に痛手となる中、新規受注の伸びも総じて停滞した」と指摘した。

半導体市場をはじめ、原材料不足を背景に生産は引き続き縮小。新規受注の減速も企業を一段と圧迫した。

新規受注と輸出受注はほとんど増加しなかった。日本や中国本土、台湾などアジアの主要市場の需要が増加する一方、自動車業界の供給の問題が響いた。

原材料価格の上昇を背景に、投入価格も2004年4月の調査開始以来の大幅上昇となり、製造業部門の負担増大が示された。

こうした中、企業はコスト上昇を顧客に転嫁し、産出価格の上昇率が4カ月ぶり高水準に達したほか、人員も2カ月連続で削減した。

一方、今後1年の見通しについては、世界的な需要回復に伴い供給網の問題が和らぐとの見方から、信頼感が3カ月ぶりの高水準に改善した。

バッティ氏は「供給網への圧迫が和らぎ、世界的な需要回復で新製品の発売や量産が加速されるとの期待が信頼感を支えている」と指摘した。

11月PMIには、新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」出現の影響は反映されていない。