2021/12/2

【盲点】サステナブルな社会が「不足経済」を助長する

NewsPicks ジャーナリスト
電気代、クルマ、スマートフォン...。
身の回りで起きつつある値上がりは、コロナ禍による人手不足や物流の混乱など一時的な要因も含まれており、しばらくすれば解決すると考える人は少なくないかもしれない。
しかし、実情を細かく見ていくと、すぐには解決できそうにないことが分かる。モノの生産に必須の資源や部品などが、これからも不足し続ける明確な理由があるからだ。
こうしたモノ不足の未来、すなわち今後の需給を見通すためには、世界で起きている「3大不足」を踏まえる必要がある。
①日本や欧米、中国など世界的に不足している「電力」②クルマやゲーム機、家電などあらゆる製品不足をもたらしている「半導体」③クルマや家電などに欠かせない「鉱物資源」。
これら3つの不足は、さまざまなモノの生産に影響を及ぼす。しかもその根底には、「脱炭素」と「デジタル」という重要なメガトレンド(潮流)が横たわる。
つまり、今後も続く「構造的」な問題だということだ。ある不足が別の不足を招く「無限ループ」にも陥っており、解決の見通しは定かではない。
脱炭素やデジタルというモノを不要にしそうな潮流が、なぜモノ不足のループへと導くのか。その全体像を解説する。
INDEX
  • EVは「電気食い虫」
  • 「前のめり脱炭素」の痛み
  • リアルもバーチャルも半導体
  • ムーアの進化の「限界」
  • 脱炭素とデジタルの「コンボ」
  • 銅は「新たな原油」か
  • 不足の無限ループ

EVは「電気食い虫」