[ 1日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は30日、上院銀行委員会で証言し、経済が堅調でインフレ高進が来年半ばまで持続すると予想される中、2週間後に開かれる次回の米連邦公開市場委員会(FOMC)で大規模な債券買い入れプログラムの縮小加速を検討すべきと述べた。市場関係者のコメントは以下の通り。

●「一過性」削除方針、あいまいさが原因か

<ナショナル・セキュリティーズ(ニューヨーク)のチーフ市場ストラテジスト、アート・ホーガン氏>

FRBがよりハト派的な発言をするのではないかという見方があったが、そうではなく、よりタカ派的な発言をしている。しかし、人々が来年の早期利上げに賭けるほどタカ派ではない。

「一過性」という文言をやめることは、おそらくあまりにもあいまいな文言だという意味であり、多くの人が一過性とは2─3カ月のことだと思っていたのに、どうやら2─3・四半期の意味だということで、やめる時が来たということだろう。

●インフレ懸念の高まりで利上げ前倒しも

<チェリー・レーン・インベストメンツ(米ニュージャージー州)のパートナー、リック・メックラー氏>

議長の発言で最も重要だったのは、インフレ高進のリスクが高まり、インフレ圧力が強いということだ。

議長はこれまで高インフレが一過性だと述べてきた。それが今回、懸念が高まったことを示唆した。FRBが金融引き締めのペースを加速し、過去10年間市場を独占した緩和サイクルの終了を前倒しすることが想定できる。恐らく利上げと債券買い入れの縮小を迅速に進めるだろう。

ただ、FRBは抑え気味に行動して市場にメッセージを発信するスタンスを取っている。劇的な変更は恐らくないだろう。

ファンダメンタルズに基づく投資家にとっては、やり方を劇的に変えるべきと思わせる要素はなかった。

●タカ派的、早期利上げに具体的言及なし

<BMOキャピタル・マーケッツの金利ストラテジスト、ベン・ジェフリー氏>

(新型コロナウイルスの)変異株のリスクを考慮すると、パウエル議長は多くの人の予想よりかなりタカ派的な印象だった。議長は(現在の)インフレについて一過性という表現をやめる時期に来ているとし、これまでの想定より早期のテーパリング(量的緩和の縮小)について議論することが適切な可能性があると指摘した。

(米国債)利回りが短期債と中期債主導で全体的に上向いたことは、より積極的な(金融政策の)正常化が従来の予想よりやや早まるのではないかという観測を反映している。

市場はテーパリングの終了が早まれば利上げの前倒しを意味する可能性があるという受け止めだが、この点についてパウエル議長から具体的な発言はなかった。