[フランクフルト 29日 ロイター] - 新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン」の出現で投資家の不安心理が高まる中、欧州中央銀行(ECB)の政策当局者は29日、ユーロ圏経済は相次ぐ新型コロナ感染波への対応を学んできたとし、市場の動揺の鎮静化に努めた。

ECBのラガルド総裁は28日、ユーロ圏では新型コロナの感染再拡大やオミクロン株の経済的影響に対応する態勢が以前より整っていると強調。来年のユーロ圏経済の回復に対する懸念はあるが、これまでに多くを学んできたとし、「感染第5波やオミクロン株のリスクに対応するため、われわれはより良い準備ができている」と述べた。

デギンドス副総裁も同日、オミクロン株が見つかったことやユーロ圏で新型コロナが流行していることを受けて、先行き不透明感が強まり経済予測が難しくなっているとしたものの、欧州ではワクチン接種率が大幅に上昇しているため、こうしたリスクに以前よりもうまく対処できると主張した。

一方、ECB理事会メンバーのデコス・スペイン中銀総裁は、ECBが金融政策を決定する際には「慎重過ぎるぐらい慎重になるべき」と指摘。ユーロ圏で来年あるいはそれ以降に利上げが実施される可能性は低いと語った。

週明け29日の市場では投資家がオミクロン株の影響を見極めたいとの見方を強めたことでいったんは落ち着きを取り戻した。