オミクロン株、欧州で拡大 日本、警戒度最高に
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報道や各国の迅速な動きは、多くのことが分かってきた印象を与えると思いますが、確かにわかってきたこともある一方で分かっていないことが多く、冷静に情報を捉える姿勢が大切だと思います。
分かっていることは、南アフリカで、すでにオリジナルの新型コロナの2倍は感染伝播をしやすいデルタを急速に置き換えており、デルタよりさらに感染が広がりやすい変異ウイルスである可能性があるということです。この点が各国の警戒感を高めさせている最大のポイントです。
ただし、ワクチン接種率や生活様式が大きく異なる日本でどのような影響をもたらすのかはまだ明らかではなく、ワクチンの効果を弱めるのか、弱めるとすればどの程度弱めるのか、重症化が増えるのかなどについても分かっていません。
また、このオミクロンはデルタよりもPCR検査で捉えやすいという特徴も分かっています。これが各国ですぐにオミクロンを検出できている要因となっていて、今後の迅速なデータ集積にもつながりやすいと思います。南アフリカでの発見に始まり、データの公開、世界での情報共有のネットワークの速さは素晴らしいもので、これこそがパンデミックでの経験により成し得たものだと思います。こういった研究のネットワークによって、今後オミクロンの特徴はスピード感を持って明らかにできると思います。
また、「分かっていない」が「ない」と翻訳される傾向を知り、最後に注意書きをさせていただくと、まだ明らかではないながらも、「ワクチンの効果が全くなくなる」「マスクの効果が全くなくなる」とは考えにくく、どちらもオミクロンに対する効果も(弱まる可能性はあっても)期待ができますので、引き続き、同様の感染対策が私たちの安全を守ってくれるということもご確認ください。日本には海外からの情報しかないと思われますが、その段階で警戒度を最高度に引き上げざるを得ない状況なのだと推察されます。オミクロン株への監視警戒度の扱いは、以下の時系列で変更されています。
・2021年11月25日 南アフリカの保健当局が変異株の状況を発表
・WHO(世界保健機関)
11月24日 監視下の変異株(Variant Under Monitoring: VUM)
11月26日 懸念すべき変異株(Variant of Concern: VOC)
・欧州CDC(疾病予防管理センター)
11月25日 注目すべき変異株(Variant of Interest: VOI)
11月26日 懸念すべき変異株(VOC)
・日本(国立感染症研究所)
11月26日 注目すべき変異株(VOI)
11月28日 懸念すべき変異株(VOC)
これら情報を含め、各国の感染状況も以下の情報公開から確認できます。
「SARS-CoV-2の変異株B.1.1.529系統(オミクロン株)について(第2報)」(国立感染症研究所 2021年11月28日)
https://www.niid.go.jp/niid/ja/2019-ncov/2551-cepr/10792-cepr-b11529-2.html
ここまでの情報から読める範囲では、(1)毒性が高い可能性がある(ワクチンを接種していた方が容易に感染している)(2)感染力が「非常に」高い可能性がある(すでに他国にも広く伝播しており、廊下を挟んで向かいの部屋の感染者からも感染した事例もあったと思われる)という事実を背景に、(3)変異タンパクの部位の数が極めて多い(性質が大きく変わっている可能性がある)という遺伝子配列に関する特徴が背景にあるため、各国は「万が一の可能性」を考えて迅速な対応を取っているのだと思います。
特に(3)に関して、従来のコロナウイルスが遺伝子変化により新型コロナウイルスとして変異した劇的な形質の変化を恐れるような変異(エスケープ変異株)かもしれないということへの警戒感が強いようです。パニック的になっても解決しませんので冷静であるべきだと思いますが、一方で従来の感染予防行動を徹底するなど、できることについてはできるだけ実行したほうが良いと思っています。27日時点で日本国内での感染は確認されていないとのことです。
特徴として、ウイルスのスパイクタンパク質に30超の変異があり、ワクチンの効果が効きにくくなる可能性や感染性を高める可能性もあるとのことです。ただし、データは不十分で、重症度など影響は不明とのこと。
こうした動きを受けて、厚労省は全国の自治体に対し、ゲノムサーベイランス体制の強化を要請する方針です。