中古住宅、データは伏魔殿 不動産IDに既得権の壁
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注目のコメント
不動産IDルール検討会の委員として申し上げさせていただきます。
記事を拝読し、不動産IDは骨抜きにされようとしている、という書き方はちょっと表面的だなと思いました。
きちんとした不動産IDができれば、それを民間が活用するのは当然の流れだと考えるべきです。
細かな振り付けを国がしないといけないかのような発想はもう古い、というのが私の意見です。
本年5月12日に成立した「デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律」では、色々な法律のデジタル化(電子化等)のための法律改正がなされていて、その中に宅建業法の改正も入っています。その一環で、重要事項説明書や媒介契約書等の法定書面もデジタル交付が解禁されました(施行は1年以内)。
「デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律」
https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/houan/g20409028.htm
これに加え、2025年からの相続不動産の登記義務化(義務化となれば手続きのデジタル化は不可避)など、不動産の登録や売買のプロセスにおけるデジタル化がどんどん進みます。
そのタイミングで、不動産IDを導入することの意味を考えるべきでしょう。
今の状況は2008年当時のそれとは全く異なります。例えば今では可能な不動産の投資型クラウドファンディングも「不動産特定共同事業法(FTK法)」の壁のために実現していませんでした。これが、2017年に全面改正されて今の新しい環境の一部を構成しています。
不動産IDに対するニーズは社会経済のデジタル化や不動産取引のデジタル化が急激に進む中で顕在化しているもので、その中で始まったのが、今回の不動産IDルール検討会です。議事は、資料とともに公開されているので、直接下記のリンクからご覧になることをすすめます。
「不動産IDルール検討会」
https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/tochi_fudousan_kensetsugyo_tk5_000001_00006.html
まあ、しかし今回の記事は、今回の取り組みに対する応援メッセージとしてありがたく受け止めさせて頂きたいと思います。日経新聞にてコメントしました。
記者の方は各関係者に相当な取材を重ねてこの記事を書き上げてます。
タイトルでレインズは「伏魔殿」と断定している。断定することでハレーションが起こることは想像できただろう。それでも「伏魔殿」と、断定的なタイトルにしたのは、レインズを取り巻く事態があまりにもひどかったからに違いない。
国交省の方々とディスカッションしたが、「民間企業がレインズより便利なものを作ればいい」とコメントされてて、あまりの無責任さに呆然とした。
売買の新規物件は宅建業法でレインズに登録せよと定められいる。法律により独占的なデータベースとなっているレインズ。法律によって生まれた、強力なネットワーク効果を持っている巨大なシステムを民間が変えられるわけないだろ。政治の介入が必要なんだよ。日本の不動産をよくするためにはレインズから変える必要があるんだよ。中古住宅と言っても数百万円から数億円まで二桁価格差があるのに手数料の上限を3%に制限するから、庶民の価格帯の中古住宅の仲介にまともな人材が集まらないし、仕組みもできない。
個人向け住宅と事業用物件では政策課題も違うしマーケットも違う。個人向け住宅は公がやらないと誰もやらない。
中古住宅ローンで、履歴があると優遇金利とかすれば一発だと思うけど。