[東京 26日 ロイター] - 南アフリカなどで見つかった新型コロナウイルスの新たな変異株への懸念から、26日の金融市場では世界的にリスク回避の動きが強まった。株式などリスク資産が売られる一方、安全資産の債券が買われている。日本でも株安・円高が進み、日経平均は一時、850円を超える下げとなった。

南アフリカの専門家らは25日、少数ながら新型コロナウイルスの新たな変異株を検出したと発表した。この変異株は「B.1.1.529」と呼ばれ、体の免疫反応を回避したり、感染力を高めたりする可能性がある「非常に珍しい」変異を持つ。

英国は26日から、南アフリカと隣接するナミビア、ボツワナ、ジンバブエ、レソト、エスワティニの計6カ国からの航空機乗り入れを一時的に禁止し、これらの国から帰国した英国人に隔離を義務付けると発表した。

ジャビド英保健相は、新たな変異株にはワクチンの効果が低い可能性があるとの認識を示し「かなりの数の変異があることが分かっており、おそらくデルタ株の2倍だ。感染力がより高く、既存のワクチンが効きにくい可能性がある」と述べた。

日経平均は2万9000円を割り込み、一時2万8600円台まで水準を下げた。25日の米国市場が休場で参加者が少なく、前場の東証1部売買代金は1兆3740億4800万円と薄商いだったが、S&P500先物やダウ先物も下落しており、世界的な株売りが強まっている。

東海東京調査センターのシニアストラテジスト、中村貴司氏は「GoToトラベルや、入国制限の緩和など対策が具体化する中で水を差された格好で、タイミングとしては最悪」と指摘。景気回復の先送り懸念から、株価の年末高のシナリオに黄信号が点灯していると話す。

一方、債券は買われ金利が低下。円債市場では、日本の新発10年国債利回り(長期金利)は同0.5bp低下の0.075%と小幅な低下だが、米利上げペース鈍化を予想し、米FF金利先物が上昇。米10年債利回りはアジア時間に1.56%まで低下している。

為替市場ではドル/円が114円台後半に下落。南アランドは急落しており、1ドル=16.16ランド近辺と、2020年11月以来約1年ぶりの節目である16ランドを付けた。