【感染症】桁違いに強力な「細菌毒素」の不思議
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コロナ下の今、「感染症」と言えばウイルスを思い浮かべがちですが、細菌が出す毒素による感染症もたくさんあります。
驚くのはその強烈な毒力。わずか1グラムで500万人もの人を死に至らしめるものもあるといいます。青酸カリやフグの毒とは比較にならないほど強力な毒なのです。
知れば知るほど不思議さが増す細菌毒素について、堀口安彦・大阪大学微生物病研究所教授にお話を伺いました。人類史上で見ると、細菌感染症、いわゆる病原菌が引き起こす病気で失われた命の数は、ウィルスで失われた命の数と比べても、勝るとも劣りません。
ペスト菌、破傷風菌、結核菌、コレラ菌、チフス菌、等々、19世紀までの大規模感染症による死亡は、天然痘のようなウィルスによるものもありますが、むしろ細菌感染症の方が多かったといえます。
20世紀になって細菌感染症の脅威が急減したのは、何といっても抗生物質の登場によるでしょう。衛生的な環境、清潔な水が入手できるようになった地域では、なおさら安全になりました。
一方、ウィルスは抗生物質が効かないのが、大きな違いです。
また、ウィルスは細菌よりもはるかに小さく、構造が単純で、増殖も早く、変異のスピードが際立って早い、という違いがあります。
細菌も、ウィルスほど早くはないですが、変異していくので、抗生物質に耐性のある細菌なども現われています。患者の体内に菌がいなくても症状が現れる、というのは菌にとってのメリットがなさそうに見えるので不思議な現象ですよね。
ボツリヌス菌でも破傷風菌でも同じような現象が見られるとのことです。これって人間の観測する範囲、思考する範囲では説明できないロジックで菌と毒素の関係性が構築されてきたという話なはずで、それを研究している人がいる、というのは面白いなーと感じます。
外から見ると、何かの病気を治すために細菌や毒素の研究をしている、という風に見てしまいがちですが、そうではない研究の奥深さ、面白さが伝わってきました。