ドイツ・ショルツ新政権発足へ 社会民主党など3党連立
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首相は社民党のショルツ氏、
緑の党からは、新設の経済・環境大臣としてハベック氏と外務大臣としてベアボック氏、
自由民主党からは財務大臣としてリントナー氏、
といったふうに、重要閣僚を3党で分担しています。
3党の協調が崩れれば、すぐ成り立たなくなります。
ドイツでは、連立政権を組む時は、各党から何百人ものチームを出して、複数の委員会をつくって、何百ページにもなる政策協定をつくります。
政党が持つ政策策定能力が非常に高いといえます。
そして、政策協定を遵守することが非常に重視されます。細部まで契約を詰めておかなければ、パートナーシップなど維持できない、という発想です。
政策協定の目玉としては、
・2030年までに脱石炭
・毎年40万戸の住宅建設(ドイツでは住宅価格の高騰が大きな政治問題になっています)
・最低賃金を12ユーロ(約1500円)に引き上げ
・大麻の合法化
・外国人の帰化条件の容易化。5年間の居住でドイツ国籍がとれるようになりました(これまでは8年)。
脱石炭あたりは緑の党、住宅建設や最低賃金引上げあたりは社民党、外国人の帰化推進は自由民主党、が特に推しているところでしょう。来年G7議長国のドイツですが、布陣を見るに、やはり心配なのは外相ポスト。中露に対して比較的マイルドであったメルケル政権に比べると、態度の硬化は目に見えています。
ベーアボックという人は醜聞も重なり、閣僚としての腕前は未知数。何かやらかさないか、個人的には心配です。
リントナー財務相の誕生も、徒らな財政拡張には歯止めがかかるでしょうが、SPDの党是と噛み合うのか。SPDが左右の劇薬を飲み、相互の緊張関係を巧く利用出来るのか、注目です。財政(緊縮気味)ではFDPが浮き、外交(反中・反ロ)では緑が浮くという事前からある懸念がどの程度トラブルを生まないで済むかが注目でしょう。左派色の強まりは格差拡大も問題視されるドイツにおいて再分配政策の背中を押すでしょうが、SPDは債務ブレーキ法(いわゆる均衡財政の憲法化)の修正までは肯定していません。
次の注目点はバイトマンの後任、そしてバイトマンの後任にシュナーベルを当てるならばその後釜の人選も注目されます。後者は基本的に女性で埋めてくるでしょう。
いずれにせよアフターメルケルのドイツ/EUは重しを失うのは必至であり、国内外で色々なステークホルダーが色々なことを言い出すはずです。例えば台湾に対して配慮するような動きがEU全体で勢いづいているのはその一端に思えます。