2021/11/25

【新】電気代値上げの冬に「省エネ」をアップデートせよ

NewsPicks編集部
まるで預言者のように、新しい時代のムーブメントをいち早く紹介する連載「The Prophet」。今回登場するのは、建築とエネルギーの専門家である東北芸術工科大学の三浦秀一教授だ。
このところ連日ニュースをにぎわせているのが、「世界的なエネルギー価格の高騰」と、それに伴う「光熱費の上昇」というトピックだ。コロナ禍に入ってから在宅時間が延びたことも相まって、光熱費はじわじわと庶民の家計を圧迫している。
そんな中で、改めて「住まいの省エネ」に対する関心も高まっている。
(x-reflexnaja/iStock/Getty Images)
日本で「省エネ」というと、照明をこまめに消したり、エアコンをなるべく使わないようにしたりといった「ケチケチ型」の対策をイメージする人が多い。一方、欧米では「建物の性能や設備の性能を上げる」ことを指す、と三浦氏は指摘する。
その究極の形が、「省エネ」と「再エネ」の2本立てでエネルギー自給率100%を目指す「ゼロエネルギー住宅」だ。
これまで、主に温暖化対策の文脈で注目されてきたゼロエネルギー住宅だが、住む人にとっての「実益」は意外と知られていない。
電気代がかからないぶん、長期的に見てコストパフォーマンスが良いのもさることながら、何よりも「快適さ」が魅力だと、自らも山形県にあるゼロエネルギー住宅に暮らす三浦氏はいう。
以下、三浦氏の近著『研究者が本気で建てた ゼロエネルギー住宅』(農文協)の内容から、ゼロエネルギー住宅が教えてくれる「新しい省エネ観」を紹介していきたい。
そこには、一軒家/集合住宅、持ち家/賃貸の別を問わず、私たちがこれからの時代の住まいを考えるうえで、重要なヒントが詰まっているはずだ。
INDEX
  • 「高断熱」でエネルギー需要が4割減
  • 日本の「省エネ基準」は古い
  • 「省エネ=不便」という誤解
  • 費用対効果は「長期」で考える
  • 「努力型」の省エネの限界