米「経済的威圧に対抗」と中国けん制
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中国は、現在でも台湾の「平和的統一」を掲げています。中国にとっては、軍事衝突に至らない経済的威圧は、「平和的統一」の手段の一つと理解されるでしょう。米国の報告書を見ても、現段階で、台湾武力侵攻について中国が有しているのは「初期的能力」とされます。未だ、台湾武力侵攻を実施する能力は有していないのです。
また、中国は米国と軍事衝突したくありませんから、武力侵攻は最後のオプションになります。あるいは、武力侵攻の能力を見せつけて軍事的圧力をかけ、「平和的統一に導く」ことも考えているでしょう。中国が言う「平和的統一」に導く手段としては、軍事的圧力だけでは不足です。台湾に限らず、社会に不安を蔓延させるのに有効なのは、物資を不足させることです。経済的威圧は、台湾社会に対して、蔡英文政権が独立に向かえば、台湾は経済的に枯渇するぞという脅しです。台湾の人々の生活を成り立たなくさせるという意味でもあります。
緊張が高まれば、電気、ガス、水道などの重要インフラに対するサイバー攻撃なども同時に行われるでしょう。経済的手段も威圧のレベルを超えて、厳しい制裁や、さらには海上封鎖や航空封鎖による物資輸送の途絶も企図されます。
これら手段を用いられる段階は、いわゆるグレーゾーンです。平時とグレーゾーンの間に境目はありません。また、グレーゾーン事態は、直線的に緊張が高まったり、手段が強化されるものでもありません。経済的手段を始めとするあらゆる圧力に対して、その程度が低いうちからしっかりとこれを認識して牽制し、抑え込む必要があるのです。